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大阪市教育長「卒業式…における国旗掲揚・国歌斉唱」通知に対して 児童・生徒の権利尊重をした「指導」への転換に踏み出そう!

2019-02-09 12:08:57 | 当該から
大阪市教育委員会は、これまでの市民交渉で話し合ってきたことを「検討する」と述べていたにもかかわらず、昨年とまったく同じ内容の通知を学校に出しました。

以下、ZAZAのメンバーで中学教員松田幹雄さんからの報告です。


2019.2.8大阪市教育長「卒業式…における国旗掲揚・国歌斉唱」通知に対して
児童・生徒の権利尊重をした「指導」への転換に踏み出そう!
2019年2月9日 D-TaC
(Democracy for Teachers and Children~「君が代」処分撤回!松田さんとともに)

■2019年2月8日、大阪市教委は、今年度の卒業式と来年度の入学式に向けて、教職員に対して「君が代」起立・斉唱職務命令を出すことを学校長に指示する教育長通知を出しました。私たちD-TaCは、市教委への要請・協議を通じて、特に、児童・生徒に対する「君が代」指導の内容・あり方にかかわる私たちに対する市教委回答の内容を教育長通知に盛り込むことを要求してきました。しかしながら、今回の教育長通知は、昨年の通知とまったく変わらないものでした。私たちとの要請・協議の経過を無視した居直りと言えます。強く抗議するとともに、学校及び教職員のみなさまには、「君が代」の扱いについての歴史的経過と児童・生徒の権利尊重の観点に立って、教育の情理を踏まえた指導に踏み出すようお願いするものです。(2019.2.8教育長通知は画像で。)

■2012年2月、橋下・維新市政の下で、教職員に「君が代」起立・斉唱を義務づける大阪市国旗国歌条例制定が強行されて以降、大阪市教委は、卒業式・入学式に向けた教育長通知を出して、「①ピアノまたは吹奏楽による伴奏で児童・生徒にしっかり国歌斉唱をさせる指導の徹底、②自ら起立して国歌を斉唱することが教育効果を高めることになることの教員への周知、③教職員への起立・斉唱職務命令の発出」を学校長に指示してきました。「君が代」の歴史に目をふさぎ、歌詞の意味も教えないまま、強制によって式出席者全員が起立・斉唱する場面を演出して、子どもたちに「国は崇高なもので、従うべきもの」という意識を刷り込むことを目的とした憲法違反の通知です。私たちD-TaCは、国旗国歌条例廃止、教育長通知撤回を求めるとともに、特に、児童・生徒に対する「君が代」指導の内容・あり方にかかわって要請を継続し、児童・生徒の権利尊重を訴えてきました。
今年度の卒業式に向けては、昨年10月29日付で、以下4点の要請を行いました。
【要請事項】
1.卒業式に向けた12月校長会での指示文書と1月(2月)教育長通知に、「(『君が代』起立・斉唱に関わって)教育活動の一部または全部に参加できない意思を示す児童・生徒がいた場合」の対応について明記すること。
2.卒業式に向けた12月校長会指示と1月(2月)教育長通知に、「(子どもの権利条約の規定をふまえ)『君が代』斉唱に関わる正確で十分な情報を提供し、考え、態度を決める主体は児童・生徒であるという立場でていねいな指導を行うべき」との市教委の立場を示すこと。また、「指導内容についての権限は学校(学校長)にある」こと明示すること。
3.「君が代」指導にかかわって、「君が代」の扱い・意味の変遷についての研修等、教職員を援助する手立てをとること
4.教職員に「君が代」起立斉唱を強制する国旗国歌条例と職員基本条例は、式場全員の起立斉唱を「演出」することで、児童・生徒に、国への畏敬の念・国には従うべきものという一方的な観念を刷り込み、「教育の荒廃」をもたらしていることを直視し、市長に対して廃止の意見具申を行うこと。

■これに対して、大阪市教委から11月27日付で回答があり、その回答をめぐって、本年1月7日付で協議にあたっての質問書を提出して、1月17日に協議を行いました。
大阪市教委ホームページへの議事録アップはもう少し後になりますが、要請書と回答は以下からみることができます。
http://www.city.osaka.lg.jp/templates/dantaikyogi/kyoiku/0000456975.html

私たちの要請事項1と2に対する大阪市教委の回答は同一文書で以下の通りでした。
「学習指導要領の『特別活動』においては、『入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする』と示されております。教育委員会といたしましては、入学式や卒業式につきましては、学習指導要領に則って取り組む教育活動の1つと捉えております。さらに、学習指導要領の趣旨を踏まえ、教育活動の一部、または全部に参加できない意思を示す児童生徒がいた場合、その思いを尊重するとともに、指導にあたっては、児童・生徒の実態をふまえながら、参加のあり方について、当該児童生徒の気持ちに寄り添った丁寧な対応を心がけることが大切であると考え、今後も適切な指導に努めてまいります。」

■この内容は、私たちD-TaCに対しては、2年半以上前から市教委が回答していることでした。私たちは、市民団体に対して回答している市教委の立場を学校に対しては一切知らせていないことを問題にし、学校現場にきちんと知らせることを要求してきました。1月17日の協議では、昨年4月の全市校長会での卒・入学式にかかわる指導部長指示が一部変わったことについて、その意味について問い、本年度卒業式に向けた教育長通知に反映させることを求めました。

【質問】12月校長会では、卒業式に向けた指示文書は出していないということですので、4月全市校長会での指導部長訓示の内容が、市教委の各学校に対する現在の指示事項と考えられます。その中にある「各校園では、学習指導要領に則り、[追加]児童生徒の気持ちに寄り添いながら、国旗と国歌の意義を理解させるとともに、国歌を歌えるように指導し、それらを尊重する態度の育成に努めていただいております。」の意味を説明してください。
【回答】前回の回答と重なるが、「学習指導要領の特別活動において、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国旗掲揚並びに国歌斉唱につきましては、学習指導要領に則って取り組む教育活動の1つと捉えております。さらに、学習指導要領の趣旨を踏まえ、教育活動の一部、または全部に参加できない意思を示す児童生徒がいた場合、その思いを尊重するとともに、指導にあたっては、児童・生徒の実態をふまえながら、参加のあり方について、当該児童生徒の気持ちに寄り添った丁寧な対応を心がけることが大切であると考えている」ということで説明させてもらう。

私たちは、「4月全市校長会指導部長訓示の文書の表現は、先の説明と反対の意味となっている。卒業式に向けた教育長通知の指示①(国歌斉唱教育にかかわる項)の最後に、『なお』という文言を加え、続いて『教育活動の一部、または全部に参加できない意思を示す児童生徒がいた場合』の対応を加えること」を要求しました。出席した市教委担当者は「検討する」と答えて協議を終えていました。

■教育活動の論理や交渉経過からすると加えるのが当然の文言を加えず、市民団体に回答した市教委の立場を学校現場に知らせない判断をしたことは、大阪市教育委員会が吉村・維新の政治支配のもとにおかれ、「君が代」強制による「調教」「洗脳」教育を少しでも崩したくないという意思を有していることを示しています。

1月17日の協議では、市教委回答の中で以下のことも明らかになっています。
●学習指導要領には、国旗国歌一般ではない「日の丸」「君が代」についての説明はない。
●「(「君が代」の)由来などを知ることは大切なことだと考えている」
●「(「君が代」指導について)教職員を援助する手立てについては現在実施していない」
●「要請事項2については、各学校の実態に応じ、学習指導要領の趣旨と内容に則って行うのであれば問題ないと考えている」
1.17協議の市教委冒頭回答については、以下
https://democracyforteachers.wordpress.com/2019/01/25/
https://democracyforteachers.files.wordpress.com/2019/01/20190117boutoukaitou.pdf

■以上を踏まえて、学校及び教職員のみなさまには、再度、「君が代」の扱いについての歴史的経過と児童・生徒の権利尊重の観点に立って、教育の情理を踏まえた指導に踏み出すようお願いいたします。
<実践にあたっての資料>
資料:卒業式・入学式の国旗・国歌について
https://democracyforteachers.files.wordpress.com/2015/08/handout01.pdf
吉村大阪市長あて「児童・生徒の『君が代』学習・指導にかかわる公開質問書」
https://democracyforteachers.wordpress.com/2019/01/19/
※なお、現在の音楽教科書に載っている国歌「君が代」の説明(画像)は、控えめに言っても不正確、もっとはっきり言えば嘘です。「君が代」を「我が国」とする解釈は、1999年国旗国歌法成立過程で、「君」は天皇を指すことを前提に、現憲法の下での解釈としての政府見解です。1999年以降の政府解釈としてきちんと説明すべきです。





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