昨日の2018.3.28判決を受け「君が代」不起立解雇撤回訴訟原告団よりの支援御礼と報告です。
「規律や秩序の保持の観点から問題ある者は、排除しても当然」!?
本日は、多くの方々が私たちの控訴審判決に来て下さり、お礼申し上げます。
判決は、控訴審での稲葉裁判長の強圧的な訴訟指揮に相応しい、決めつけと開き直りによる不当極まりないものでした。
以下が、その概要です。
その1.個々の事実関係は、ほとんど考慮されていないこと。
野村の場合ですと、内藤地裁判決にあったような校長や事情聴取でのやり取りに基づいた悪口のような事実認定を放棄し、ごく簡単に事実を述べているにすぎないこと。
その2.3人の共通の要素を、以下のようにくくり、個別の認定を不要としていること。
控訴人らは、「自らの主義主張を優先することに重きを置き、上司の指導、命令等に従う姿勢に乏しく、法令等および上司の職務命令を遵守することが期待できず、学校の規律や秩序の保持の観点から問題があるとして、その成績が良好といえないと判断したことは、やむを得ないものといえる」。
その3.起立斉唱の実施、大阪府国旗国歌条例・職員基本条例について
大阪府では、起立斉唱の実施率が低かったことが認められるが、「全国の公立学校における卒業式等の学校行事において、国歌としての君が代斉唱は広く行われており、慣例上の儀礼的所作が都道府県をまたげば各別というべき理由はな」いとし、職員基本条例は、分限処分を行う際の標準的な処分量定を定めたものにすぎないので違法ではないし、控訴人はそれに該当していない。また「国旗国歌条例は、『我が国と郷土を愛する意識の高揚』をも目的とし」ていることは、教育基本法に矛盾抵触するものではないので違法性はない。
その4.再任用について
起立斉唱は、「毎年複数回行われるから、かかる職務命令違反は、他の非違行為とは異なり、その反復、継続が予想され得るものであり、非違行為として軽視することはできない」し、しかも「今後職務命令に違反するおそれがあるかどうかは、本人の意向次第であ」るので、「府教委として、勤務成績を判断する上でこれを重視せざるを得ない性質のもの」であって、95%以上の高い再任用合格率から見て、「勤務成績のうちの良好な部分よりも問題のある部分に重きを置く判断」をしても、「採用における裁量権の範囲内」である。また体罰や飲酒運転で停職処分など戒告処分よりも重い処分を受けた者等が採用されている事例があるが、「職員である時の非違行為に対する処分の軽重と、採用にあたっての過去の非違行為に対する評価とはそれぞれの目的に応じた異なる基準となることは何ら不当なことではない」ので、平等原則違反に当たらない。
その5.意向確認について
「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む」との記載は、府教委として確認したい具体的遵守事項が端的に記載されているものであり、これが他の戒告処分等と比べて、恣意的な扱いであるとか、平等を害するものとはいえない。」
その6.期待権について
再任用の期待権は、一般的に存在するが、控訴人らに対する府教委の裁量権の逸脱濫用はないので該当しない。
以上が、稲葉判決の主要な内容です。この判決文は、まずその2で、3人の共通の「自らの主義主張を優先することに重きを置き、上司の指導、命令等に従う姿勢に乏しく、法令等および上司の職務命令を遵守することが期待できず、学校の規律や秩序の保持の観点から問題があるとして、その成績が良好といえないと判断したことは、やむを得ないものといえる」という稲葉裁判長の価値観が根底にあり、不起立をするような者は他の処分者と同一に扱うことはできないと断定しています。また平等原則や比例原則違反を免れるため、再任用にあたっては、体罰や飲酒運転などの他の非違行為による処分者と別異に扱うことを公然と容認した判決です。そのために採用にあたっては差別しても不当ではないと開き直っていますし、意向確認については、府教委が一番聞きたいことを具体的に聞ただけであり、何が悪いと開き直っています。
つまり私たち3人が再任用されるためには、不起立の正当性を主張するのをやめるのみならず、上司の命令にはただ従うのが教員の本分であると誓約し行動する必要があるようです。
私たちは、このような判決を到底容認できませんし、上告して更に闘いを継続していく所存です。
今後とも、みなさんのご支援をお願いいたします。
2018年3月29日
「君が代」不起立解雇撤回訴訟原告団(山田肇、菅平和、野村尚)
「規律や秩序の保持の観点から問題ある者は、排除しても当然」!?
本日は、多くの方々が私たちの控訴審判決に来て下さり、お礼申し上げます。
判決は、控訴審での稲葉裁判長の強圧的な訴訟指揮に相応しい、決めつけと開き直りによる不当極まりないものでした。
以下が、その概要です。
その1.個々の事実関係は、ほとんど考慮されていないこと。
野村の場合ですと、内藤地裁判決にあったような校長や事情聴取でのやり取りに基づいた悪口のような事実認定を放棄し、ごく簡単に事実を述べているにすぎないこと。
その2.3人の共通の要素を、以下のようにくくり、個別の認定を不要としていること。
控訴人らは、「自らの主義主張を優先することに重きを置き、上司の指導、命令等に従う姿勢に乏しく、法令等および上司の職務命令を遵守することが期待できず、学校の規律や秩序の保持の観点から問題があるとして、その成績が良好といえないと判断したことは、やむを得ないものといえる」。
その3.起立斉唱の実施、大阪府国旗国歌条例・職員基本条例について
大阪府では、起立斉唱の実施率が低かったことが認められるが、「全国の公立学校における卒業式等の学校行事において、国歌としての君が代斉唱は広く行われており、慣例上の儀礼的所作が都道府県をまたげば各別というべき理由はな」いとし、職員基本条例は、分限処分を行う際の標準的な処分量定を定めたものにすぎないので違法ではないし、控訴人はそれに該当していない。また「国旗国歌条例は、『我が国と郷土を愛する意識の高揚』をも目的とし」ていることは、教育基本法に矛盾抵触するものではないので違法性はない。
その4.再任用について
起立斉唱は、「毎年複数回行われるから、かかる職務命令違反は、他の非違行為とは異なり、その反復、継続が予想され得るものであり、非違行為として軽視することはできない」し、しかも「今後職務命令に違反するおそれがあるかどうかは、本人の意向次第であ」るので、「府教委として、勤務成績を判断する上でこれを重視せざるを得ない性質のもの」であって、95%以上の高い再任用合格率から見て、「勤務成績のうちの良好な部分よりも問題のある部分に重きを置く判断」をしても、「採用における裁量権の範囲内」である。また体罰や飲酒運転で停職処分など戒告処分よりも重い処分を受けた者等が採用されている事例があるが、「職員である時の非違行為に対する処分の軽重と、採用にあたっての過去の非違行為に対する評価とはそれぞれの目的に応じた異なる基準となることは何ら不当なことではない」ので、平等原則違反に当たらない。
その5.意向確認について
「今後、入学式や卒業式等における国歌斉唱時の起立斉唱を含む」との記載は、府教委として確認したい具体的遵守事項が端的に記載されているものであり、これが他の戒告処分等と比べて、恣意的な扱いであるとか、平等を害するものとはいえない。」
その6.期待権について
再任用の期待権は、一般的に存在するが、控訴人らに対する府教委の裁量権の逸脱濫用はないので該当しない。
以上が、稲葉判決の主要な内容です。この判決文は、まずその2で、3人の共通の「自らの主義主張を優先することに重きを置き、上司の指導、命令等に従う姿勢に乏しく、法令等および上司の職務命令を遵守することが期待できず、学校の規律や秩序の保持の観点から問題があるとして、その成績が良好といえないと判断したことは、やむを得ないものといえる」という稲葉裁判長の価値観が根底にあり、不起立をするような者は他の処分者と同一に扱うことはできないと断定しています。また平等原則や比例原則違反を免れるため、再任用にあたっては、体罰や飲酒運転などの他の非違行為による処分者と別異に扱うことを公然と容認した判決です。そのために採用にあたっては差別しても不当ではないと開き直っていますし、意向確認については、府教委が一番聞きたいことを具体的に聞ただけであり、何が悪いと開き直っています。
つまり私たち3人が再任用されるためには、不起立の正当性を主張するのをやめるのみならず、上司の命令にはただ従うのが教員の本分であると誓約し行動する必要があるようです。
私たちは、このような判決を到底容認できませんし、上告して更に闘いを継続していく所存です。
今後とも、みなさんのご支援をお願いいたします。
2018年3月29日
「君が代」不起立解雇撤回訴訟原告団(山田肇、菅平和、野村尚)