これも橋下教育改革の一環?子どもが笑うどころか、これでは子どもが困るばかりである。
大阪の府立高校の約2割にあたる24校の図書館が、昼休みや放課後などに生徒が利用できない「開かず」の状態にあり、府監査委員が改善を求めることが分かった。近く監査結果を公表する。2009年に行政改革で専任の学校司書が廃止され、業務を割り振られた教職員の手が回らないのが理由。府教委は司書の代わりに全教職員が協力して図書館業務をカバーするため、各校に運営組織の設置を指示したが、約4分の1にあたる34校で未設置となっている。
◇監査委「法改正に逆行」
学習指導要領は、学校図書館の計画的活用をうたっている。今年6月には学校図書館法が一部改正(来春施行)され、専任の学校司書を置く努力義務が課された。今回発表する定期監査の結果では、24校で生徒の利用について何らかの時間制限があることが判明、監査委は「逆行する現状は問題で、図書館の利用促進を図るべきだ」と指摘する方針だ。
府教委は従来、学校司書を実習助手として採用。生徒の読書活動の支援のほか、貸し出しや選書、蔵書管理などに従事してきた。しかし、橋下徹知事(現大阪市長)が就任直後の09年、財政難による人員削減の一環から、図書館専任の実習助手の廃止を決定、理科や家庭科に配置転換した。一方で、司書教諭の資格を持った教員の配置を推進したが、担当教科の授業と兼任になるため、図書館業務に割ける時間が限られるのが実情という。
府立高校の元校長は「法の求めに現場が追いついていない。子どもの図書離れが指摘される中、学校教育で読書の環境を整えるには、現場の努力だけでは足りず、国の支援が必要だ」と訴える。
文部科学省が隔年で実施している「学校図書館の現状に関する調査」(12年度)では、全国の公立高校の71%が司書教諭以外に専任の学校司書を配置。香川、鳥取、島根など14県では配置率100%を達成している一方、広島(3.3%)、岩手(6.2%)など9道府県は50%未満と、自治体ごとのばらつきが目立っている。大阪府は43.2%で、08年度の95.4%に比べ低落傾向が顕著だった。【林由紀子】