蛇口屋

リフォーム業界のあれこれ

冬のY談(あんまり刺激的でもないです)

2007-01-29 20:05:19 | Weblog
蛇口屋の仕事って言うのは、人ん家にお邪魔して、そこそこの時間をかけて工事して、帰って行く。
人間関係を構成するには短く、初対面と考えるなら長い時間を、見ず知らずの他人様のお宅で過ごしていると、特に女性が絡むとピンク色した抜き差しならない事態に巻き込まれる事がままあります。

マンション系にお住まい皆さんは、多分、一般住宅と違って、若干大らかな傾向にあるような気がします。特に、マンション改修工事などで、とてつもなく長い時間(3ヶ月~1年間)一緒に過ごしていると、蛇口屋達、工事している人間も、なんか一緒に住んでいる仲間というか、一種の家族みたいな錯覚に陥る傾向にあるようです。

札幌の北にある、とあるオーナーマンションの改修工事を行った時、それはもう、ピンク色の事態に巻き込まれました。
そのマンション、レディイスマンションだったんですよね。
独身の女性だけのマンション。皆さん、18歳くらいから20代で、その話が出たときは会社内で社員は色めきだち、『一体誰が?』と言う話が出て、もの凄い醜い争奪戦になりました。結局、社長の一言で、担当は蛇口屋になりました。
当時の蛇口屋はそりゃあもう、硬派でしたからね。硬派。今はおぢさんなんで、プチ硬派ですけどね。

そんな蛇口屋でしたが、工事中、すれ違う女性の美しさや可愛らしさに、ちょっと『役得』かも…、なんて思ってしまいました。
でもそれは工事が本格化することで、淡い、表面上の事で、仄かに抱いていた甘い気持ちなど露と消えてしまいました。

まず、本当に、工事が滞りました。

断水、排水禁止は、ことごとく無視され、文句を言われ続けていました。
物によっては彼女たちの私室まで入らなきゃならない時があって、掃除するから2,3日待って欲しい、とか、入らないでやってとか、来年にはここを出るから、工事はその後お願いしますとか、本当に、自分中心の世界観で言いたい放題言われていましたね。全て少なくとも数日前に掲示板による張り紙、全室にチラシ配布で告知しているにもかかわらず、皆さん、銘銘に勝手な言動、行動を取って蛇口屋を困らせてくれます。

本当に、もう、工事がどうにもならない、と言うときには、オーナー立ち会いの下、強行突入もさせていただきました。
積み上げられているブラジャーとパンティーをかき分け進み、工事の箇所にたどり着いたこともありました。
どういう訳か、いないはずの男性に怒鳴られた事もありました。もの凄い非常識なカップルでしたね。大学生でしたが、強制退去させられてましたよ。

本当に、蛇口屋に取っての女性への淡い希望とか、期待とか、夢とか、ってものを、ブローアウト式洗浄便器で綺麗に流していただきましたね。もう、こびりつく物さえない。

某、コミックスで『もう愛などいらぬ!』と言っている南斗鳳凰拳の経絡秘孔が左右反対に付いている方の気持ちがケースは違えどちょっぴり判ってしまう蛇口屋でした。

あの当時、色気とか、女性の持つ全ての物が、蛇口屋に取っては日々の敵その物でしたね。
前の会社の人によく言われるのが、工事後半の蛇口屋はナチスの将校の様だったと言っていました。

それでも救われたのが、水商売系のお仕事をされている女性の方々ですね。挨拶はしっかりしているし、家の中は片づいているし、何よりも協力的でした。

この工事は2期に渡っていて、さすがに、2期目は、社長に泣きついて他の工事に廻して貰いました。その後、社長の息子さんである専務さんが、このマンションに入って、一人の女性に手を付けて、その女性、もてあそばれた事を知って、屋上から飛び降りるの飛び降りないのの大騒ぎになりました。専務の仕事を手伝っていた方も、家庭を捨てて、そのマンションに住んでいた女性へと走ってゆきました。

今考えてみると、そこはまさに魔淫の坩堝だったんですね。

でも、そういう事態って、蛇口屋はへっちゃらなんですよ。
よく木石に例えられるくらい、鈍い人間で、遠回しに気持ちを伝えるとか、何となく気がついて貰うとかっていうあらゆる攻撃は全く通用しません。だいたい伝わるのって早くて4~5年掛かるって言われています。

その後、他のマンション、超高級マンションでしたが、日常生活において、服を全く着ないと言う、珍しくも潔い、ご夫婦の方々に出会いました。

今風に言えば裸族って言うんですか?

本当に、室内にいるときは一糸まとわぬ姿で、普通に日常生活を営んでおられました。

ここも長い工事でしたので、最初の内は服を普通に着られているご夫婦だったんですが、蛇口屋にも馴れだした頃、突然、カミングアウトされて、その後そのような接触となった訳です。

ホント、普通にされていますからね。こっちも普通に察しないと駄目だなあ、って概念から、馴れてくると、彼らが普通なんじゃないかって思って来るんですよね。不思議な物で。

今思い起こすと、マンションって不思議な人がいっぱいいたなあ。
それに比べると、一般住宅にお住まいの方って、本当に普通の人しかいないですよね。
それでも、あの頃の苦労って、ちょっぴり楽しかったと思い出す蛇口屋なんですよね。





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2 コメント

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怪談もY談も (ichi)
2007-01-30 12:49:31
 怖い話ですねぇ。
 女性の集団が苦手な私は、レディース・マンションなんて鬼門です。
 
 建築の仕事を始めたばかりの頃、築一年目のマンションの点検、というのに連れて行かれた時、留守宅にも上がり込むことがありました。(勿論了解を戴いて)
 家族用の広さがあるにも拘わらず……つまり、独身の片付け下手の男の子が住むようなワンルームマンションでは無かったにも拘わらず、床にベビーフードの瓶詰めが落ちていたりする家があったことに驚いた事があります。
 仕事柄、実際に生活をしている家の隅々までを見させてもらう機会が多いですが、本当に人それぞれだと思うこの頃です。 流石に、「裸族」には遭遇したことがありません。
 
ほんとですよね (蛇口屋)
2007-01-30 22:52:07
良くある、テレビドラマの一場面、一室なんて本当にお目に掛かったことが無くて、どれもが生きている人間の臭いがする物ばかりですね。
逆に言うと、ドラマのシーンで使われる室内こそ無機質に見えてしまう蛇口屋なんです。

色々な体験をている蛇口屋ですけど、一番怖い思いをしたのは、同性愛趣向者の方でした。
ホント、今までの人生の中で、一番怖かったです。
今までも色々ありましたが、きっとこれからも色々あるんでしょうね。

この仕事を続けるためにはそこそこの覚悟が必要な様です。

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