この仕事をしていると、色々な出会いがあります。
もちろん、人との出会いもかなりの醍醐味がありますが、今回は『物』です。
ふさがれた床を剥がしたり、ずっと置いてあった物を外したり、地面を掘り返したりってのが主な仕事ですから、ほぼ毎日、何らかの出会いは経験しています。
トイレの交換なんて、その最たる例で、新築の時に1回掘り返しているところを、20年ぐらい経って掘り返すんですから、出てくる物は、当時の工事屋さんに「ま、いいや、ここに捨ててしまえ」と、道徳心も無く破棄された物がほとんどですが、「だらしがないなあ…」とか「ひどいなあ」なんて思う前に、ほとんど小学生時代に埋めたタイムカプセルを掘り返して、中身を見ては感動する、中年のお父さんのそれに近い物があります。
江別市の一部では、未だに土器も出てくる事があるんですよ、当社のエクステリア班がお客さんの家の庭を掘り返して、鏃みたいな土器が見つかって、関係機関からのお願いで、工事が2週間先延ばしにされた事もあります。
ま、それは特殊な例ですけどね。
蛇口屋の工事の場合、一番出てくるのは、飲料水の缶です。
それも希に、コカコーラの500ミリの瓶とか、かつてはスチール缶だった炭酸飲料系の缶とか、保存状態の良い形で出てこられると、持って帰りたくなってしまいます。
真っ暗なトイレの床下で、蛇口屋が床を開いて、地面を掘り返すまで、ひっそりと、ただ、その身を横たえて待ち続けていたんですねえ。
今蛇口屋が、拾って鉄クズ屋さん、ないし、ガラス破棄の工場に持って行ってあげるからね。再びリサイクルの波に乗って、この世を巡ってください。
一度、トイレの地面を掘り返す度に、鯖の水煮の缶詰の空き缶が出てきた事があって、さすがに4軒連続の時は、『蛇口屋は、鯖の水煮好きの方が工事した箇所を追っている?』と犯人の足取りを追う刑事さんの気分に浸ってしまった事があって、次の5軒目で、鯖の味噌煮の缶詰めの空き缶に出会った時は、『醤油が切れた?』などと、勝手にオチを付けてしまいました。
昔ですからね。今みたいに缶詰もワンタッチで開く物なんて無くて、きっと缶切り持参で工事に来ていたんでしょうね。その鯖好きの方。
まあ、連続で出てこられたのは、多分、単なる偶然でしょう。
で、そんな飲料や食用の缶や瓶の次に出てくるのが、忘れられた工具ですね。
スケール、のこぎり、ハンマー、軍手、モンキーに、パイプレンチなんてのも出てきます。
こちらは瓶や缶に比べて、原型をとどめていない物が多くて、機能もすっかり失われています。
職人さんの手を離れてしまうと、工具って、死んでしまいますからね。
こちらの方は、手厚く葬ってあげていますよ。
工事の数だけ出会いがある。
でもこちらの出会いは、破棄されたり、忘れられたりってものばかりですからね。
少し悲しいから、あんまり出会いたくはないんですけどね。
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