自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

ラベンダーの季節

2010年06月28日 | 写真と文
 気がつけばいつかラベンダーの咲く季節が訪れていました。
 
 彼と初めての富良野への旅を、夢のように鮮やかに彩ってくれた花です。

 帰ってから横を流れる用水に沿って幾株か植えこみ、それからもう20年以上たちました。



 戸外での雑事は不得手で、手入れなど任せきりだったのにもかかわらず、

 あの旅の心の高ぶりを充分思い起こす小さな花園になってくれましたが、

 二人で一緒に眺められたのはたった3度で終わりでした。



 それ以来、季節が来てカーテンの隙間からこぼれる紫を見るたび胸が痛み、

 そのくせ引き付けられて離れがたく、彼が逝った桜の4月から初夏のラベンダーの季節は、

 かなりの間ひそかに暗い時期でもあったのです。



 花は変わらずひっそり咲き続け、香りだけを長い間残しては枯れてゆきました。

 ただ年月は音もなくしのびやかにやってきて、すべてを忘却の彼方へ押し流そうとするようでした。

 自然に任せて人の手を入れぬまま少しずつ衰えも見え始めるとき、

 花にまつわる様々な想いもまたひとり胸に収め、

 時間の波に乗って消えてゆくのが自然な姿かとも近頃は思えてきます。



 ・・・S先生が入院なさったときもラベンダーが盛りでした。

 お見舞いにつくった小さな花束、今年もPちゃんが急の怪我で入院しなかったら、

 たぶんポプリになるまで出番がなかったに違いありません。




   ラベンダーの花言葉=あなたを待っています・清潔・優美

   花ショウブの花言葉=あなたを信じています・優しい心・優美な心