この年まで気ままに安穏に大きな病気もせず
子や孫たちはそれぞれ独立して一応生活に不安はなく
こうして大過なく母の年令を越えて生きたのだから、あとはもう神様の御意のまま。
などと超越した気分でいたつもりが、たった一本の抜歯に至るまでのハラハラドキドキだった日々
思い出すだけでな~んか気恥かしい。
流転の海第八部「長流の畔」を読んでいて、ちょっとにやりとなりました。
相変わらず借金の返済やら資金繰りやら新たな事業の立ち上げ準備の合間に
お金にならぬ人助けなどで急がしく立ち回る主人公熊吾に、老化は音もなく忍び寄ってきます。
「若い時ならともかく七十に近い人間には抜歯はこたえるという。
若い頃から虫歯一本なかったのに、わずか四カ月で入れ歯のじいさんになってしまった
歳は少しずつ取るのではなく、いっときに取るのだな
窓ガラスに映る自分の姿のあまりのみすぼらしさに熊吾はうなだれる」
にやりとなったあとで、私もうなだれるしかありません。
設定も規模も大違い、むしろ真逆といえるのだけど
~だけど老化に変わりはないわけで
たしか、主人公熊吾は私よりう~んと若いのだから、
ほんとは私の方が20歳近く年上というわけで。 (^_-)-☆
動物実験の段階で、健康で長生きに一番効果があるのは「腹七分目の食生活」
と最近立証されたそうですが、それは絶対人間にも当てはまるって断言できます。
ついこの間、始めての入れ歯で実感させられたのだから。
わずかな食べ物を恐る恐る口に入れて、歯がぐらっとなるときの、痛み2分、ビリビリ8分
それが怖くて腹7分を通り越し腹5分がやっとの状態で毎日は青息吐息
ところがです。その結果にきたのは、ここ10年来忘れてしまっていた思いもかけない体の軽さでした!
息切れもなくあの弾むような足どりが、なんと喜ばしく、なんと素晴らしかったことでしょう!
大袈裟と笑われそうですが、驚きと恐怖と感動の貴重な体験でした。
残念なことに始めての入れ歯が出来あがってからは、体重は元のモクアミ、動悸はするし足の運びもどんより重く
熊吾の心配通りとなってきたようです。
これから急に歯は抜け続けて、いっときに年をとるのかしら? これ以上?