自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

朝はゆめむ

2010年01月18日 | 日本画「情景」

 さくらのはなのちるをゆめみしあさのゆめ

(桜の花の散るをゆめみし朝の夢)

 

 

     あさはゆめむ

   さくらのはなの ただはらはらとちりいそぐを

   はらはらとはなはひそかにいきづきて かぜにみだれてながるるを  

   いろあはきさくらのはなのひまもなくななめにちるを── 

 

  神通川の蒼い流れと、さくらの織りなす優しい花むらが散って崩れてゆくさまは、はかなく切なくて、晩春の宿のめざめの感傷はときを経てなお鮮やかに思い浮かびます。

 

 

                                       「花残月」麻紙岩絵具30P

                                            (詩 三好達治)

 

 


ふるさとの雪の夜

2010年01月04日 | 写真と文
        


 暖冬の予想に反してもう2度目の大雪です。

 満18歳と3カ月め、免許取り立てホヤホヤの太郎が夜の買い物に出かけることになりました。
 高速だって運転してきたのだからへっちゃらだい、と言いたいところでしょうけど、とてものこと心もとない様子、当然ママが助っ人に、やじ馬気分で弟の次郎まで同乗してゆくことに。

 玄関の戸をあけると、漆黒の夜空から白いものが無限に舞いおりる異次元の世界が音もなく広がっていました。
 長いこと見るのを忘れていたような雪の夜空です。
 冷たい息とともに嘆声やら歓声やら吐きながら飛び出す子どもたち、嬉々としてじゃれ合う2匹の犬ころ(大型!)を見るようです。
 除雪する間もみるみる降り積んでゆく雪に髪の毛が濡れるので、帽子でもと思いましたが女物しかありません。仕方なく毛糸のキャスケットとつば広のクロッシエを出してきました。

 いやだぁ、こんなの。 と渋りながら、それでも兄弟かわりばんこにかぶってみて、
  あらぁ、似合うじゃない
  へぇぇ、イカしてる・・・
 ママと二人本音半分でおだてたら、まんざらでもなく鏡に映して眺めています。
 ほほー、こりゃ二人とも草食系だ。
 
 帰ってきた太郎を改めてこっそり観察しました。
 (あ、やっこさんカミ染めてる!)
 
 今やっと気付くのだから大した変りようではないはずなのに、気がつけば見るほどにやわらかな栗色の髪、握っても滑り落ちそうな、それとも手の中で弾んで弾み返しそうな?
 分厚く重なった豊かな毛は、流れ落ちるにつれ見心地よくそいであって、額にかかる髪のカットの仕様といい、一種の芸術作品かも?

 次郎は漆黒の天然パーマです。
 これだって栗色に替えたらなかなか見ごたえがありそうです。
 小じんまりとした青春のシンボル華やかな顔が、大きな体に乗っかっています。
 あと3年したらどのような変化を遂げるのでしょう?

 ホントに新たな視点でした。
 男の子のお色気ってなものに、初めて開眼したみたい。




 雪の舞い狂う夜空を視界いっぱい目にしたとき、いつも決まって表現しがたいひとつの想念が胸に迫るのを感じていました。
 近頃それが静かに薄れてゆくのに気付きます。
 休みなくときは流れ、子どもたちのエネルギーがとってかわって古い記憶を消してゆくのは何の不思議もないことですが、今頃年若い男の子の毒気にあてられて苦笑している姿を重ねると、もうそのこと自体が可笑しくて、ちょっぴり哀しくて、
 ただただこのあとはなんとかいい歳の取り方をしたいものと心から願ってしまいます。