残響
山本洋三詩集「夕日のように」(1984刊)所収
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残響
何ものか激しく鳴ったあとの
残響だけが
ぼくの聞いたものの全てだ
ぼくのひきつった喉から
粉々に砕け飛び散った
陶片のような言葉を
恥じている余裕は
今もない
耳の森
真っ二つに避ける時
鳴っていたものの何であったかを
ぼくは乾いた眼で追い求めよう
海の底に沈む醜い魚類の
銀の浮袋につめ込まれた沈黙を
丸ごと飲み込むためにぼくは
激しい残響の中
舌を根本から
確実にかみ切る
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詩集といっても、その昔、自費出版したもの。
以前、一部をホームページにアップしていましたが、今は削除してしまいました。
この詩を見てもわかるように、若書きもいいところ。
この詩は、ずいぶん気取っていますが、
まあ、ノンポリながら大学闘争を経験して
教職についたばかりの頃のウツウツとした心境を
精一杯大げさに書いたものらしいです。
「30」の詩も、この詩集に入っています。
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自分の作品というのは恥ずかしいものですが、
30年も前のものですから
こうして時々、書として紹介できればと思っています。