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一日一書 48 北原白秋・朝

2013-04-02 10:10:36 | 一日一書

 

半紙

 

北原白秋「朝」

 

 

   朝

 

よかったな、雨が霽(は)れて、

涼しいな、

朝のお茶もいいものだな、

ほう、小さな栗の毬(いが)だな、

まだ、青いね、

おや、ありやさいかち虫だね、

もうきちきちやつてるぞ、

ほう、墓石に陽が射したね、

ほう、緑だ、

すばらしい緑だ、

おい、菊子、菊子、

飯だ、飯だ。

 

 

何か書く詩はないかと思って岩波文庫「北原白秋詩集・下」をパラパラ見ていて見つけた詩。

白秋39歳の、1923年刊行の「水墨集」という詩集に収録されています。

白秋の若い頃の詩は、するどい感覚による豊麗な表現が目立ちますが

この辺になると、ずいぶんと枯れてきています。

ほとんど、日常のつぶやきみたいで

今なら、さしずめツイッターですかね。

「菊子」というのは、白秋の確か3番目の妻の名。

「おい、菊子、菊子、飯だ、飯だ。」なんて、今どきは、とても言えないセリフですけど

決して威張っているというのではなく

「上機嫌」な白秋の息づかいが伝わってくるようです。

 

 


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