顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

蘭 パフィオペディルム (水戸徳川家の蘭)

2017年01月13日 | 季節の花
水戸徳川家の14代、徳川圀斉(光圀公と斉昭公から偏諱)氏(1912-1986)は、蘭、とりわけパフィオペディルム(通称パフィオ)の栽培で有名です。

このメドウスイート“ピュリティ”というパフィオを初めてみた時、白花の美しさに魅了されて栽培を始めた氏は、交配を行い,歳月をかけて新しい品種を次々と作り出し,ラン栽培をライフワークとされました。

「マユミ」    常陸太田市の真弓山では、寒水石という白い大理石が採れ、当時は藩の御用石で、偕楽園内の吐玉泉の井筒や、弘道館記や水戸八景の石碑などに使われています。

「サクラガワ」  偕楽園下を流れる桜川は、光圀公が磯部(桜川市)の桜を移植したので命名されたと言われています。いま桜川沿いに光圀公由来のヤマザクラ中心の当時の景観を復元しようと、「水戸桜川千本桜プロジェクト」が活動しています。

「ヒタチ」と右奥は「カシマナダ」  このように白花に魅せられた氏ですが、いろんな色のパフィオを作り出し、茨城県にちなんだ名前も多く付けられました。
この水戸徳川家の蘭展は水戸市植物園で1月22日まで開かれています。

なお、季語としては以前から「秋」とされてきましたが、現実では、どちらかと言えば「冬」から「早春」、カトレヤ(冬)春蘭(春)のように固有名では問題なくても、名前を略するのを好まない俳句では、パフィオペディルムの俳句が出る可能性は低く、また蘭としての例句もあまり見つかりませんでした。

公愛すパフィオペディルム甘き罠   顎髭仙人


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