大串貝塚公園の紅葉です。
東茨城台地の東端、水を透さない水戸層(凝灰質泥岩)の上の上市層(砂礫層)に水を豊富に含み、斜面からは水が湧き出しています。
水戸藩の藩校弘道館前のムクロジ(無患子)もきれいに黄葉しました。
面白い形のムクロジの実、果実の外皮は洗剤として用い、中の黒い種子は羽根つきの玉にしたといわれます。
羊歯の黄葉を見つけました。ウェブ図鑑で調べると多分ヒメワラビ(姫蕨)、繊細な葉がきれいに染まっています。
これは草紅葉というのでしょうか、イネ科チガヤ(稚萱)の紅葉に初めて気が付きました。コロナのおかげかもしれません。
ヤマイモ(山芋)の葉はきれいに黄葉するのでよく目立ちます。山芋掘りの名人は、この時期に見つけて後で収穫するための目印を付けておくと聞いたことがあります。
水戸城三の丸の土塁の上の銀杏は、最後の黄色を輝かせていました。手前のすっかり葉を落とした大木は、ケンポナシ(玄圃梨)です。
ケンポナシの実が落ちていました。白い小さな実の肥大化した果柄をかじると、まさしく梨の味と香りがしました。
なぜか親しみを感じるセンニンソウ(仙人草)は、花のあとになって名前の由来が分かります。果実より伸びた銀白色の長い毛を仙人の髭にたとえました。
公園のフェンスに絡みついたサルトリイバラ(猿捕茨)、棘のある蔦が猿を捕まえて逃がしません。
散歩道の高い藪の中で見つけたサネカズラ(実葛)は、茎や葉から出る粘液が奈良時代から整髪料に用いられたためビナンカヅラ(美男葛)ともよばれます。野生のものを初めて見ました。
高速道の下のフェンスに絡みつく蔦も紅葉しています。一番多く見かける蔦紅葉のナツツタ(夏蔦)です。
この蔦紅葉は三枚葉、ツタウルシ(蔦漆)だったら大変です。ウルシの中でもっとも強いかぶれ成分を持つといわれています。
蔦の葉はむかしめきたる紅葉かな 松尾芭蕉
蔦紅葉搦手門に火がついて 大倉敏代
蔦もみぢ濡れしは今かしぐれけむ 水原秋櫻子
色に出て竹も狂ふや蔦紅葉 加賀千代女