顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

まもなく梅雨明け…季節の色を探して

2021年07月10日 | 季節の花
オリンピック開幕を控えて東京都にまた緊急事態宣言が発令されてしまいました。せっかく万全の準備をして造り上げた国立競技場も、無観客での開閉会式とは虚しい限りですが、結局コロナに打ち勝てなかったということ、仕方がないとしか言いようがありません。

今年の梅雨もまた大きな被害を与えて間もなく終わろうとしています。おそらく忘れられない夏になるでしょうが、せめて変わらない季節の色を偕楽園公園に探してみました。

この賑やかな実は、ウワミゾザクラ(上溝桜)です。青い実は塩漬けにして酒の肴に、熟した実は果実酒にして滋養強壮の効果があるそうです。また鳥やツキノワグマの大好物ともいわれます。

同じサクラの仲間で葉や枝は似ていますが、花はまるっきり違い白い小花がブラシのようにびっしりと咲きます。
古代の亀甲占いで溝を彫った板に使われたのが名の由来ですが、ウワミズザクとよばれることも多くなりました。

繊細な刷毛のようなネムノハナ(合歓の花)は夕方から咲き始める一日花です。昆虫を呼び寄せる目立つ花弁がなくても、長くて鮮やかな色の雄蕊と甘い香りで虫を呼びます。

夜になると葉をたたんで眠るようになることが命名の由来で、この「就眠運動」はオジギソウやカタバミなどでも見られます。

茨城県立歴史館のハス(蓮)は、今年は例年になくいっぱい花を付けました。

泥水の中から清浄で美しい花を咲かせる姿が仏教の世界では好まれ、蓮華をかたどった様々な意匠が使われています。

昭和26年(1951)に発見された約2000年前の大賀ハスといわれていましたが、その後在来種との交配が進み純粋の種ではなくなったとか、詳細は分かりません。

ホタルブクロ(蛍袋)は、捕まえたホタル入れて遊んだからという命名説などがあります。ただし成虫の蛍は水分を摂るだけなので、実際の受粉作業はマルハナバチ(丸花蜂)などが行います。

袋の中を覗いてみました。白い雌蕊の根元には縮れた雄蕊が見えます。雄蕊と雌蕊の成熟する時期をずらせて自家受粉を避け、昆虫による他家受粉をさせる仕組みがあり、袋の内側の毛は、マルハナバチが蜜を吸うときの足場の役目をしているそうです。