
水戸市立博物館で2月9日から始まり3月15日まで開催の、宇宙誕生から140億年間の水戸の歴史という壮大なテーマの展示が、新型コロナウイルスの影響のため3月1日で会期が終了となってしまいました。

宇宙科学、地質学、古生物学、考古学などの幅広い資料を一堂に集め、水戸の大地の成り立ちをたどる展示で、来館者も多く好評の企画でした。

榎本武揚(1836~1908)が明治31年富山県で発見された鉄隕石を購入し、刀工・岡吉國宗に製作を依頼した「流星刀」、世界各地でも大地を身近に感じる隕石を材料とした刀剣類が残っているそうです。大地に対する人類の憧憬を表すものといえるでしょう。

41億~38億年前、地球に小天体が衝突しマグマの海だった状態から、陸と海が形成された頃の地殻の痕跡、アカスタ片麻岩は世界最古の石です。

水戸の基盤岩は鶏足山塊(中生代)⇒水戸層(新第三紀)⇒見和層(第4紀)⇒上市礫層(第4紀)⇒関東ローム層の順に堆積しています。
こうしてできた水戸の地層は、約2万年前に海岸線が今より約120mも低くなり強い浸食作用によって現在の那珂川流域を中心に深い谷となりますが、その後海水面が上昇して土砂がたまり、那珂川下流域を中心に広大な沖積低地が形成されました。

偕楽園周辺から産出したマッコウクジラの化石は、中新世(約2,300万年前~約500万年前)には水戸が海の底だったことを示しています。

偕楽園周辺の水戸層の石切り場から産出したとされる同じ時代のアロデスムスの化石は直良信夫のコレクションで、彼は最初は新種発見としてミトアザラシと名付けたという話が残っています。
急ぎ足での鑑賞でしたので会期中もう一度訪れるつもりでしたが、残念ながら突然の終了になってしまいました。