顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

梅花いろいろ…水戸の梅まつり2019

2019年02月23日 | 水戸の観光
水戸の梅まつりも1週間経ち、約20%の梅が開き始めました。100種といわれる梅の種類も苗畑を入れると200種を超えているという話も聞きましたが、写真を撮れるのは散策路際の梅ばかり、その一部をご紹介します。

まず偕楽園表門前の「緋の司」です。李系紅材性八重、いつも早めに咲いて陰陽の世界の入り口を飾ってくれます。(偕楽園)

表門を入ってすぐの左側にある「緑萼」は人気の花です。野梅性の八重ですが、八重にしては端正で清楚な花は、陰の世界の入り口にふさわしい雰囲気を醸し出しています。(偕楽園)

「道知辺」は野梅性、強い芳香で夜間でも道標(みちしるべ)になるというのが名の由来とも言われています。咲き始めは淡紅で老けると紫紅色になり、盆栽にも好まれます。(偕楽園)

「芳流閣」は南総里見八犬伝に出てくる建物の名前で、その屋根の上で義兄弟がお互いを知らずに戦う名場面が錦絵などに描かれました。因んで名が付けられたのでしょうか、野梅性一重で初めは受け重ね咲きで開くと離弁になると図鑑でも現地案内板にも出ていますが、八重のように見えます?…。(弘道館)
ボランティア仲間のTさんから芳流閣に関する書籍2紙のコピーを送っていただきました。それぞれに「5弁花であるが旗弁や6,7弁花もあらわれやすい」「旗弁も出るので時には半八重のようなものも見受けることがある」の記述があり、納得しました。ありがとうございました。
「実生野梅」は梅の種子を蒔いて出て来る原種に近い梅です。梅や果樹の種子を蒔くと、種子の親ではなく、いわゆる先祖返りで原種に近いものが出てくると聞きました。出てきた苗木は確実に固定の品種を増やす接ぎ木用の台木として使用されます。(弘道館)

「麝香梅」は野梅性八重で早咲き、確かに香りが強く感じられました。碗型の花がだんだんと平らに展開していきます。(偕楽園)

「八重冬至」は早咲きの冬至梅の八重種、野梅性の結実種とされています。新暦の冬至は12月22日、その頃に咲き始まるというまさしく名前通りの温暖化が進んでいます。(弘道館)

偕楽園東門の見晴亭西側にある「梓弓」は、野梅性一重、薄い紅色は老けるとだんだん白くなる移り白という性質の花です。伊勢物語の「梓弓引けど引かねど昔より心は君によりにしものを」からいうと、心変わりの移り白は似合いませんが…。(偕楽園)

花弁のない「酈懸(てっけん)梅」も咲き始めました。野梅性の結実品種、園内に何本も植えられていますが、目立たないので満開でもお客様は通り過ぎてしまいます。よく見ると退化した花弁の一部が見えることがあります。別名茶筅梅。(偕楽園)

「白加賀」は野梅系で実梅の代表種、30g程度の大果が生り、梅干しや梅酒に最適とされます。家紋が梅の加賀前田藩では、江戸の藩邸にも白い梅が植えられ、加賀の白梅と呼ばれていたのが名の由来という説もあります。(弘道館)

「烈公梅」は偕楽園を造った水戸藩8代藩主徳川斉昭公の諡号の付いた水戸に所縁の名花で、水戸の6名木です。昭和8年、弘道館孔子廟の東側にあった老木が新種とされ名付けられました。(弘道館)

その烈公梅の下で2月21日、在日大使館の大使やスタッフを招待してのイベントが開かれていました。対試場で行われていた剣術は弘道館当時からの北辰一刀流を伝える水戸東武館の教士の方々、年配ながら古武士の風格があり在りし日の御前試合を見るようでした。