
水戸市の東部、国道51号線塩崎十文字を南に200mくらいの左手にある折居の泉は、鹿島神宮の主神、武甕槌命(たけみかづちのみこと)が東国を征討したとき、馬から下りてこの地の霊水を飲んだので、そこから「下り井」といわれたそうです。後に、水戸藩9代藩主徳川斉昭公が無量水と名づけました。

かって松の老木が覆い、古来よりこの付近を通っていた塩街道の旅人を癒やした泉も今は枯れてしまい、伝説が残るのみです。(なお、源義家という説もあるそうです)

向かい側にあるのが折居神社、祭神はもちろん武甕槌命(たけみかづちのみこと)です。

創建などの詳しい資料はありませんが、古くは折居大明神と呼ばれていたそうです。

現在の水戸市長はここが地元で、そのブログには「私の住む塩崎町には宮薙という伝統行事があります。毎年7月15日早朝6時に地元の折居神社境内に集合し、神社掃除を行います。」と書かれていました。

参道と境内には、推定樹齢400年の大シイの他に300年のシイ、タブの木が全部で5本あり、水戸市の保存樹に指定されています。

折居神社の後ろは、大串貝塚です。奈良時代に編纂された「常陸国風土記」に記載があり、文献に記録された貝塚としては世界で最も古く、これにまつわる巨人伝説「ダイダラボウ」とともに知られています。

斜面には秋の野草が咲き乱れ、秋の季語「花野」のミニスポットになっていました。
キバナアキギリ(黃花秋桐)は、桐の花に似ているので命名のシソ科の多年草で、花冠より突き出した紫色の雌しべが目立ちます。ミズヒキ(水引)とツユクサ(露草)が色を添えています。

いたるところで目にするヒヨドリバナ(鵯花)、ヒヨドリの鳴く頃に咲くので命名されたキク科の多年草です。

野菊の区別はよくわかりませんが、多分これはカントウヨメナ(関東嫁菜)。奥に見えるのは、大串貝塚の貝層断面閲覧施設です。

アザミの仲間は世界中に300種類以上、日本でも100種類以上あるといわれます。いちばん見かけるノハラアザミ(野原薊)のようです。
花野は、秋の草花の咲き乱れた広い原野などを連想する秋の季語です。
花野に出る筈の道にてかく昏し 能村登四郎
竪横に風の機織花野哉 中川乙由
菊咲てきくの嗅なき花野かな 志田野坡
竪横に風の機織花野哉 中川乙由
菊咲てきくの嗅なき花野かな 志田野坡