顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

弘道館シンポジウム

2017年12月17日 | 水戸の観光

藩校時代の弘道館をCGによる復元で考える催しが、弘道館の至善堂で行われました。今の弘道館は明治元年のいわゆる弘道館戦争と昭和20年の水戸大空襲により、当時日本一の規模を誇った藩校の諸施設が消失し、奇跡的に残った正庁と至善堂、それに正門が消失を免れて現存しており、国の重要文化財に登録されています。

教育遺産として現存している数少ない施設のため、近世日本の教育遺産群として日本遺産にも登録され、その敷地32000坪という当時の全容を視覚的に捉えることはとても意義あることで、携わった方々に敬意を表したいと思います。
北側にある現在の梅林付近には文館があり、居学、講習、句読、寄宿の4寮と編集局、系纂局、講習別局、教職詰所などがありました。

今回は茨城大学熊澤研究室の方々により文館のほか、武館、医学館などの建物もCGで復元され、しかも動画によってあたかも当時の学生が構内を歩いているような視点で体感することができました。
三の丸小学校付近には武館があり、剣、槍術などいろんな武術の道場がありました。

医学館は現在の三の丸市民センターあたりで、居学寮、蘭学局、本草局、製薬局、養牛場などを備えた本格的なものでした。

ただ、現存以外の建物の詳細は、弘道館全圖という平面図と玄関式台に掲示の鳥瞰図しか残ってないため、CG制作には苦労を重ねたようで、今回も中間発表という形になりました。今後新しい資料が見つかればその都度手が加えられ、植栽なども含めてより忠実な再現が期待されるところです。

外に出ると正庁前の蝋梅の蕾が大きくなっています。あと1か月ちょっとで春一番の香りを176年前の学び舎に振りまいてくれることでしょう。