散歩道の林の中にマンリョウ(万両)の赤い実、千両との違いは、実が葉の上にあるのが千両で、葉の下に垂れるのが万両。光沢のある実と緑の葉は正月の縁起木として親しまれています。
葉も枝も幹も緑色をしているのにアオキ(青木)というのは、青信号というのと同じ。奈良、平安時代は、色を表す形容詞が、白、赤、青、黒の4つしかなく、緑色は青に分類されていたという説があります。信号機も最初は緑信号という正式名称でしたが、慣習的に青信号と呼ぶのが定着し、現在のようになったと言われています。
通りかかった庭先のカンボケ(寒木瓜)の鮮やかな色が冬景色の中でいちだんと目立ちます。炎のような緋色をしているので、緋木瓜とも言うそうです。
少し足を伸ばして茨城県植物園、梅より早く春を告げる花、ロウバイ(蝋梅)が満開です。これはソシンロウバイ(素心蝋梅)、花被片全部が淡い黄色で、名前の通りの蝋細工のような半透明な花です。
いわゆる原種のロウバイ(蝋梅)は開花がやや遅れまだ数輪が開いているだけです。花の中心部が暗紫色の花をうつむき加減に咲かせています。
臘梅のいろの溶けゆく山日和 板谷芳浄
臘梅を透けし日差の行方なし 後藤比奈夫
臘梅を透けし日差の行方なし 後藤比奈夫
生垣や公園に植栽されるトベラは、扉と書きます。悪臭がある枝を扉に挟んで邪鬼を追い払う風習があったため、名前が付きました。球形の果実が熟すと3裂して紅い実と種子が出てきます。
2,3輪咲き出したボケ(木瓜)、果実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも言われます。庭木や盆栽、生け垣、切り花として観賞され、また果実は香りもよく果実酒やジャムになるそうです。
早春の花ミツマタ(三椏)は、枝が三つ叉に分かれるので名前が付きましたが、写真で見てもなるほどその通りです。和紙の原料としてよく知られ、また蕾のうちは蜂の巣のように見える小さな花は筒状の萼で、花弁はありません。
寒椿は椿と山茶花の交雑種で、特に山茶花の性格を多く引き継ぎ、区別が難しいようです。名前からくるイメージの方が強い花で、検索してみると、宮尾登美子、永井路子など10人の作家がこの題名で小説を発表しています。
今生の色いつはらず寒椿 飯田龍太
一度死ぬための生なり寒椿 佐藤火峰
一度死ぬための生なり寒椿 佐藤火峰
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