フルート以外の音楽家に何人か尊敬している巨匠がいます。
その中でも今もっとも私が尊敬しているのが、
ピアニストのマリア・ジョアン・ピレシュさんです。
彼女の音楽ほど、自然に、人の心に染み入るように、
そして、
音楽には普遍的に人の心をとらえる和声の流れというのがある
のですが、それを演奏に、しかもここまで”自然”に醸している
演奏家は他にあまり見たことがありません。
以前、実は彼女の生の「言葉」を聞く幸運があったのですが、
そこで、彼女のあの音楽のルーツを、すぐ納得できました。
それは、彼女が音楽の勉強で手にしたもの、だけでなく、、、
それまでの彼女の人生、そしてその、想像を絶する様々な重圧、
苦悩、喜び、などから得た彼女の哲学が音楽に姿を変えている。
その根底が、あの彼女の至芸につながっているのだと思います。
◆◇◆◇
で今、嬉しいことに、毎週土曜日の12:30からNHKで、
彼女のピアノ・レッスンが放送されていて、
彼女の言葉と音楽を聞くことができます。
そんな今日のレッスンのテーマは、
「本番の恐怖をどう乗り越えるか」
彼女の言葉を聞いて、自分なりにまとめてみました。
まず”本番の恐怖”というものは、(大・小あるにせよ)
誰もが経験すること。
なぜ恐怖に陥るか・・その存在というのを私たちは具体的には
つかむことができない、恐怖は、目に見えない「敵」である。
無理やり恐怖の理由を考えるならばそれはやはり、
<人(聴いている)にどう思われるか、
間違えたらどう思われるか、
どう比較され、どうクリティーク(批評)されるか、・・>
などなど、対人的なことが挙げられる。
しかし私たち人間は、形はそれぞれであれど、必ず、
「内側に、その人そのものの本質的な良さ」を持っている。
にもかかわらず、
人間は弱いもので、とかく外見にとらわれがちで、
そういうときは本質を見失いがちになる。
さてそこで、
「恐怖という、自分の恐れるものに対しては、
敵が襲ってきてからあたふたする前に、
自分から先に『受け入れる』または『迎え入れる』準備が必要だ」
「恐怖よ、いつでもこい!おいで、私の中に受け入れるから」
と・・・自分の中で起こっている恐怖を、消えるように否定
するのでなく、心臓のバクバク音も、震えも、自分で認め、
「受け入れる」のです。それとともに舞台に立とう、と。
ここで、少し私の体験談に飛びますが、
以前、フルーティストのヤーノシュ・バーリントさんに
教えていただきました。
「まず私たちは舞台という重圧を乗り越えなければならない、
私達管楽器奏者は特に”アガリ”は呼吸に大きな影響を及ぼす。
だからこそ、呼吸を整えなければならない。
本番前に舞台袖で、2分でも3分でも出来ることだから、
目を瞑って『深呼吸』をしてごらん。
最初は5秒で深く吸い、5秒で深く吐く、
次は6秒で、そして次は7秒で・・・
と、息が整って落ち着くまでやるんだ。」
実は私は以前、日本の自分の師匠に、
「お前は心臓に毛を生やそうナ」と言われていました(苦笑)
そして私もいつしか、ドイツでリサイタルなどの大舞台を
経験するようになり、その舞台経験の「慣れ」もある程度
緊張緩和の助けにはなりましたが、
私は今でも必ず、コンサートの前の舞台袖で、目を瞑り、
緊張で固まりがちな「胸郭」を柔軟に開く準備運動のためも
かねて、「深呼吸」と「瞑想」時間を1分とります。
そして、「よしっ!」と一言自分にゲキを飛ばし!?
あとはにっこり笑って舞台に向かうことを儀式としています。
その瞑想中、心臓はもちろんバッコバッコ言っています。
でも、そのバクバクを、
「おぉ~~~バクバクいってるいってる!緊張してるぞ~~~」
みたいな風に、その鼓動・緊張状態を認めるようになってから、
舞台のライトの下にたっても、
いつしか集中できるようになったのです。
そして、ピレスさんは今日言いました。
「緊張のときには、『呼吸』をすることです。」
まさに、今私が上記に書いたこと、
彼女も今日、しっかりと言いました。
◆◇◆◇
そして追記するならば、前回書いた「呼吸」のことにも、
この今日の話はすごくつながるのです。
体や肩を緊張させることなく、「無理やりじゃなく」息を深く吸う、
そして深く吐く、これこそが、フルート演奏自体にも、自然で
緊張のない豊かな音にとつながる、とても大切なことのです。
呼吸というのは、
実は私は坐禅を組んでいた時期があるのですが、
目を瞑り深く呼吸をし、体と心が整うまでを実感するのは・・
少し毎日の積み重ねが必要かもしれません。
でも音楽や演奏、それから音楽に限らず日常生活においても、
心を静かに過ごすには、
そして、物事の外見にとらわれず、自分勝手にとらわれず、
本質の良さ、人の良さを見極めるためにも、
この、どんどん情報がはいってくる忙しい世の中、
目を瞑り深く呼吸をし平穏な時間を、自分のために、
できれば毎日 ―2,3分ですむのです― 取り入れたいですね。
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その中でも今もっとも私が尊敬しているのが、
ピアニストのマリア・ジョアン・ピレシュさんです。
彼女の音楽ほど、自然に、人の心に染み入るように、
そして、
音楽には普遍的に人の心をとらえる和声の流れというのがある
のですが、それを演奏に、しかもここまで”自然”に醸している
演奏家は他にあまり見たことがありません。
以前、実は彼女の生の「言葉」を聞く幸運があったのですが、
そこで、彼女のあの音楽のルーツを、すぐ納得できました。
それは、彼女が音楽の勉強で手にしたもの、だけでなく、、、
それまでの彼女の人生、そしてその、想像を絶する様々な重圧、
苦悩、喜び、などから得た彼女の哲学が音楽に姿を変えている。
その根底が、あの彼女の至芸につながっているのだと思います。
◆◇◆◇
で今、嬉しいことに、毎週土曜日の12:30からNHKで、
彼女のピアノ・レッスンが放送されていて、
彼女の言葉と音楽を聞くことができます。
そんな今日のレッスンのテーマは、
「本番の恐怖をどう乗り越えるか」
彼女の言葉を聞いて、自分なりにまとめてみました。
まず”本番の恐怖”というものは、(大・小あるにせよ)
誰もが経験すること。
なぜ恐怖に陥るか・・その存在というのを私たちは具体的には
つかむことができない、恐怖は、目に見えない「敵」である。
無理やり恐怖の理由を考えるならばそれはやはり、
<人(聴いている)にどう思われるか、
間違えたらどう思われるか、
どう比較され、どうクリティーク(批評)されるか、・・>
などなど、対人的なことが挙げられる。
しかし私たち人間は、形はそれぞれであれど、必ず、
「内側に、その人そのものの本質的な良さ」を持っている。
にもかかわらず、
人間は弱いもので、とかく外見にとらわれがちで、
そういうときは本質を見失いがちになる。
さてそこで、
「恐怖という、自分の恐れるものに対しては、
敵が襲ってきてからあたふたする前に、
自分から先に『受け入れる』または『迎え入れる』準備が必要だ」
「恐怖よ、いつでもこい!おいで、私の中に受け入れるから」
と・・・自分の中で起こっている恐怖を、消えるように否定
するのでなく、心臓のバクバク音も、震えも、自分で認め、
「受け入れる」のです。それとともに舞台に立とう、と。
ここで、少し私の体験談に飛びますが、
以前、フルーティストのヤーノシュ・バーリントさんに
教えていただきました。
「まず私たちは舞台という重圧を乗り越えなければならない、
私達管楽器奏者は特に”アガリ”は呼吸に大きな影響を及ぼす。
だからこそ、呼吸を整えなければならない。
本番前に舞台袖で、2分でも3分でも出来ることだから、
目を瞑って『深呼吸』をしてごらん。
最初は5秒で深く吸い、5秒で深く吐く、
次は6秒で、そして次は7秒で・・・
と、息が整って落ち着くまでやるんだ。」
実は私は以前、日本の自分の師匠に、
「お前は心臓に毛を生やそうナ」と言われていました(苦笑)
そして私もいつしか、ドイツでリサイタルなどの大舞台を
経験するようになり、その舞台経験の「慣れ」もある程度
緊張緩和の助けにはなりましたが、
私は今でも必ず、コンサートの前の舞台袖で、目を瞑り、
緊張で固まりがちな「胸郭」を柔軟に開く準備運動のためも
かねて、「深呼吸」と「瞑想」時間を1分とります。
そして、「よしっ!」と一言自分にゲキを飛ばし!?
あとはにっこり笑って舞台に向かうことを儀式としています。
その瞑想中、心臓はもちろんバッコバッコ言っています。
でも、そのバクバクを、
「おぉ~~~バクバクいってるいってる!緊張してるぞ~~~」
みたいな風に、その鼓動・緊張状態を認めるようになってから、
舞台のライトの下にたっても、
いつしか集中できるようになったのです。
そして、ピレスさんは今日言いました。
「緊張のときには、『呼吸』をすることです。」
まさに、今私が上記に書いたこと、
彼女も今日、しっかりと言いました。
◆◇◆◇
そして追記するならば、前回書いた「呼吸」のことにも、
この今日の話はすごくつながるのです。
体や肩を緊張させることなく、「無理やりじゃなく」息を深く吸う、
そして深く吐く、これこそが、フルート演奏自体にも、自然で
緊張のない豊かな音にとつながる、とても大切なことのです。
呼吸というのは、
実は私は坐禅を組んでいた時期があるのですが、
目を瞑り深く呼吸をし、体と心が整うまでを実感するのは・・
少し毎日の積み重ねが必要かもしれません。
でも音楽や演奏、それから音楽に限らず日常生活においても、
心を静かに過ごすには、
そして、物事の外見にとらわれず、自分勝手にとらわれず、
本質の良さ、人の良さを見極めるためにも、
この、どんどん情報がはいってくる忙しい世の中、
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できれば毎日 ―2,3分ですむのです― 取り入れたいですね。
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