今回の記事は前回の続編ともいえるかもしれません。
私を含め音楽を志すものにとって、楽器の境なくとても大切な
ことですので、表現に手間取り長文になってしまいましたが・・
最後までお読みいただけましたら、幸いです。
=========================
この数日間、夏休みをかねて日本で毎年行われている音楽祭、
「草津夏季国際音楽フェスティヴァル」に行ってまいりました。
日本屈指の名湯の地・草津温泉にて行われる、世界に名高い
各楽器のヨーロッパの一流の教授たちが、夏の終わりの気持ち
の良い草津に一堂に会し、2週間まるまる、朝はマスタークラス、
夜はその教授たちを中心としたコンサート、と音楽三昧・・
一流演奏家たちの、稀有で貴重な競演もいっぺんに聴くことが
できる(そして名湯も堪能)、音楽愛好家にとっては夢の空間。
そしてその音楽祭は私にとっても、私の音楽・・だけに留まらず、
今の私の人生を導いてくれたともいえる、宝物みたいな場所。
私は学生時代からそこで、実に10年近い長いながい間、
音楽祭のスタッフとして、働かせていただいておりました。
あのときの、ヨーロッパの一流に属する音楽家の一流音楽という
すばらしい空間を、毎年どっぷり2週間、とても間近に接する
ことができたその経験が、今の私の音楽人生にかけがえのない
宝物となっており・・思えばそれが、
私が音楽の道を本格的に志すきっかけともなったのです。
特にドイツから帰ってからは、以前と違い、ドイツ語で直接
プロフェッサーから通訳を介さない生の言葉で音楽談話ができ、
彼らプロフェッショナルの音楽に対する考えや取り組みを、
生の言葉として知ることができるので、
今回はそんな彼らの貴重な言葉の一端を皆さまにも少しでも
お伝えできれば・・と、ブログを書かせていただきます。
◆◇◆
今回初めて音楽祭をゆっくりと堪能できたので、色々な楽器の
クラスを聴講したり、コンサートを聴くことが出来ました。
まず、その中で強く切に感じたのは、私も以前からブログで
記述しておりました、
楽器は様々、その都合も様々あれど・・ 「音楽は音楽」
ということです。
多くの教授の言葉を聴講したなかで、受講生に対して注意する
言葉の表現は様々であれ、教授それぞれに音楽の創造力はあれど
その大元で動かぬ、一環していることは、
その音楽のもつキャラクターを、真に音楽表現しているか?
ということでした。
音楽には、演奏家には、飽くなき探究心が不可欠だ。
テクニック練習を重ねるうちについ忘れさってしまう、
「その音楽そのものと向き合うこと」
それが、音楽の道を志す今日の若い演奏家に一番足りず、
プロフェッサーたちが切に伝えたいメッセージ。
そのためには、前回私もブログで書きました、”本当に音を聴く”
もう一度端的に書きますが、
本当にその箇所箇所で自分の望む音が、果たして本当にこれで
出ているのか・・耳をよく注意深く研ぎ澄ますことです。
そのためには、本当にゆっくりから練習を始めないことには、
音が本当に聴こえ、脳、そして体に伝達しないものだと。
これは草津でもやはり、多くの教授がおっしゃっていました。
とても新鮮だった言葉は、ピアノの遠山慶子先生のお言葉、
私たち演奏家は、そのとき演奏する楽曲の作曲された時代や
背景(例えば宮廷とか)などをよく勉強し、よく想像力を働かせ、
そしてそれを音楽にし・・
その時代の世界を、コンサートという生の空間を通して、
お客様に再現し運んであげるお仕事なの、とおっしゃられた。
そして、ドキッとしたお言葉も。
「練習とはこわいもの。技術的に難しいとき、変に集中して
しまって、何度も何度もその箇所を繰り返していくうちに、
そこにあるべき音楽をつい忘れてしまうの。
いつも、どんな難しいパッセージにも音楽を忘れてはいけない」
教授方は、とにかく楽曲を奏するのにファンタジーの宝庫。
巨匠、しかし子供のように、純粋に楽しみながら音楽している。
高音のひらひらしたパッセージ・・でも難しいから力が入って
しまうようなところを、蝶々が舞うようでしょ!?と表現したり、
その楽曲がバロックや古典の宮廷音楽時代の作曲であるような場合、
これは宮廷音楽、ひらひらしたドレスで踊るの、想像できる?とか
とにかく創造力を生徒に促す・・
しかしそれはだからといって、単なるイメージと感性からくる
何となく・・というだけのものではなく、
そこで発生する、音楽に絶対必要不可欠な「緊張」と「緩和」の
”寄せてはかえす波”の中には、トニカ・ドミナントなどの和声、
様式、拍感、転調、などなど・・
これら、きちんとした「知識」から発生する緊張と緩和の法則。
それに「感性」と「想像力」が加わり、感動を伴う音楽が創られる。
楽器の分野を問わず、すべての音楽を志す者に・・
これはもちろんものすごく時間と手間と根気がかかり・・努力が
必要なことですが、そこを努力した人だけに与えられる、
音楽をよく聞かせ、奏者自身にも聴いている人にも、最高に楽しい、
これぞ「音」を真に「楽」しめる、神からのプレゼントだと・・
私は自分自身の変遷でもって、強く確信しています。
◆◇◆
私はフルートという、ハーモニーを同時に奏でられない単旋律
の楽器を吹く者として、特に声を大にしてお伝えしたい、
機械的で抑揚に乏しい演奏でなく、本当に良い音・良い響きで
音楽を音楽らしく奏でたい、と思うならば・・少しでもいい、
どうか、
楽器を奏するのに必要な技術的なことや、実質的に楽譜に書いて
ある通りの強弱などの表現を実行しようと練習する前に、
並行に、
「音楽全般」に必要な基本的なこと、ハーモニーや様式、
またヨーロッパ音楽にまつわる作曲家や時代背景の歴史など、
興味をもって取り組んでみてください、と。
もしそれら音楽の知識に興味はあるけど・・その勉強をどこから
どう始めていいかがわからない・・というフルートの方がもし
いらっしゃったら、私は、私の知りうる限りですがその取り組み
方を、喜んで、努力を惜しまずご提供したく思っています。
そこをもってしない限り・・いくら吹き方や運指・音の響かせ方を
がむしゃらに技術的な吹くことのアプローチから練習しても、
本当にその音楽やハーモニーにあった生き生きとした息運び、
またそこから来る正しい音程には辿りつかない・・
例えチューナーのメーターが「0」を指したって、
微妙に音が和音にとけこんでなく音痴に聴こえたり、
それから、演奏中のからだの動き!ここに多くの無駄が発生し、
音楽の自然な流れの大きな妨げとなります。
(体を全く動かさないという意味ではなく、適材適所な動き)
しかしこの、フルートを吹く際の「動き」に関しては、
私自身が何よりまだ研究途中でもあり、これ一つで立派な
ブログネタになることですので、またそのうち自分の中である程度
確信がかたまったら、書かせていただきたく存じます。
自身の音楽とフルートに対する取り組みを、気持ち新たに、
また次への活力となった素敵な3日間の休暇となったのでした♪
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私を含め音楽を志すものにとって、楽器の境なくとても大切な
ことですので、表現に手間取り長文になってしまいましたが・・
最後までお読みいただけましたら、幸いです。
=========================
この数日間、夏休みをかねて日本で毎年行われている音楽祭、
「草津夏季国際音楽フェスティヴァル」に行ってまいりました。
日本屈指の名湯の地・草津温泉にて行われる、世界に名高い
各楽器のヨーロッパの一流の教授たちが、夏の終わりの気持ち
の良い草津に一堂に会し、2週間まるまる、朝はマスタークラス、
夜はその教授たちを中心としたコンサート、と音楽三昧・・
一流演奏家たちの、稀有で貴重な競演もいっぺんに聴くことが
できる(そして名湯も堪能)、音楽愛好家にとっては夢の空間。
そしてその音楽祭は私にとっても、私の音楽・・だけに留まらず、
今の私の人生を導いてくれたともいえる、宝物みたいな場所。
私は学生時代からそこで、実に10年近い長いながい間、
音楽祭のスタッフとして、働かせていただいておりました。
あのときの、ヨーロッパの一流に属する音楽家の一流音楽という
すばらしい空間を、毎年どっぷり2週間、とても間近に接する
ことができたその経験が、今の私の音楽人生にかけがえのない
宝物となっており・・思えばそれが、
私が音楽の道を本格的に志すきっかけともなったのです。
特にドイツから帰ってからは、以前と違い、ドイツ語で直接
プロフェッサーから通訳を介さない生の言葉で音楽談話ができ、
彼らプロフェッショナルの音楽に対する考えや取り組みを、
生の言葉として知ることができるので、
今回はそんな彼らの貴重な言葉の一端を皆さまにも少しでも
お伝えできれば・・と、ブログを書かせていただきます。
◆◇◆
今回初めて音楽祭をゆっくりと堪能できたので、色々な楽器の
クラスを聴講したり、コンサートを聴くことが出来ました。
まず、その中で強く切に感じたのは、私も以前からブログで
記述しておりました、
楽器は様々、その都合も様々あれど・・ 「音楽は音楽」
ということです。
多くの教授の言葉を聴講したなかで、受講生に対して注意する
言葉の表現は様々であれ、教授それぞれに音楽の創造力はあれど
その大元で動かぬ、一環していることは、
その音楽のもつキャラクターを、真に音楽表現しているか?
ということでした。
音楽には、演奏家には、飽くなき探究心が不可欠だ。
テクニック練習を重ねるうちについ忘れさってしまう、
「その音楽そのものと向き合うこと」
それが、音楽の道を志す今日の若い演奏家に一番足りず、
プロフェッサーたちが切に伝えたいメッセージ。
そのためには、前回私もブログで書きました、”本当に音を聴く”
もう一度端的に書きますが、
本当にその箇所箇所で自分の望む音が、果たして本当にこれで
出ているのか・・耳をよく注意深く研ぎ澄ますことです。
そのためには、本当にゆっくりから練習を始めないことには、
音が本当に聴こえ、脳、そして体に伝達しないものだと。
これは草津でもやはり、多くの教授がおっしゃっていました。
とても新鮮だった言葉は、ピアノの遠山慶子先生のお言葉、
私たち演奏家は、そのとき演奏する楽曲の作曲された時代や
背景(例えば宮廷とか)などをよく勉強し、よく想像力を働かせ、
そしてそれを音楽にし・・
その時代の世界を、コンサートという生の空間を通して、
お客様に再現し運んであげるお仕事なの、とおっしゃられた。
そして、ドキッとしたお言葉も。
「練習とはこわいもの。技術的に難しいとき、変に集中して
しまって、何度も何度もその箇所を繰り返していくうちに、
そこにあるべき音楽をつい忘れてしまうの。
いつも、どんな難しいパッセージにも音楽を忘れてはいけない」
教授方は、とにかく楽曲を奏するのにファンタジーの宝庫。
巨匠、しかし子供のように、純粋に楽しみながら音楽している。
高音のひらひらしたパッセージ・・でも難しいから力が入って
しまうようなところを、蝶々が舞うようでしょ!?と表現したり、
その楽曲がバロックや古典の宮廷音楽時代の作曲であるような場合、
これは宮廷音楽、ひらひらしたドレスで踊るの、想像できる?とか
とにかく創造力を生徒に促す・・
しかしそれはだからといって、単なるイメージと感性からくる
何となく・・というだけのものではなく、
そこで発生する、音楽に絶対必要不可欠な「緊張」と「緩和」の
”寄せてはかえす波”の中には、トニカ・ドミナントなどの和声、
様式、拍感、転調、などなど・・
これら、きちんとした「知識」から発生する緊張と緩和の法則。
それに「感性」と「想像力」が加わり、感動を伴う音楽が創られる。
楽器の分野を問わず、すべての音楽を志す者に・・
これはもちろんものすごく時間と手間と根気がかかり・・努力が
必要なことですが、そこを努力した人だけに与えられる、
音楽をよく聞かせ、奏者自身にも聴いている人にも、最高に楽しい、
これぞ「音」を真に「楽」しめる、神からのプレゼントだと・・
私は自分自身の変遷でもって、強く確信しています。
◆◇◆
私はフルートという、ハーモニーを同時に奏でられない単旋律
の楽器を吹く者として、特に声を大にしてお伝えしたい、
機械的で抑揚に乏しい演奏でなく、本当に良い音・良い響きで
音楽を音楽らしく奏でたい、と思うならば・・少しでもいい、
どうか、
楽器を奏するのに必要な技術的なことや、実質的に楽譜に書いて
ある通りの強弱などの表現を実行しようと練習する前に、
並行に、
「音楽全般」に必要な基本的なこと、ハーモニーや様式、
またヨーロッパ音楽にまつわる作曲家や時代背景の歴史など、
興味をもって取り組んでみてください、と。
もしそれら音楽の知識に興味はあるけど・・その勉強をどこから
どう始めていいかがわからない・・というフルートの方がもし
いらっしゃったら、私は、私の知りうる限りですがその取り組み
方を、喜んで、努力を惜しまずご提供したく思っています。
そこをもってしない限り・・いくら吹き方や運指・音の響かせ方を
がむしゃらに技術的な吹くことのアプローチから練習しても、
本当にその音楽やハーモニーにあった生き生きとした息運び、
またそこから来る正しい音程には辿りつかない・・
例えチューナーのメーターが「0」を指したって、
微妙に音が和音にとけこんでなく音痴に聴こえたり、
それから、演奏中のからだの動き!ここに多くの無駄が発生し、
音楽の自然な流れの大きな妨げとなります。
(体を全く動かさないという意味ではなく、適材適所な動き)
しかしこの、フルートを吹く際の「動き」に関しては、
私自身が何よりまだ研究途中でもあり、これ一つで立派な
ブログネタになることですので、またそのうち自分の中である程度
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自身の音楽とフルートに対する取り組みを、気持ち新たに、
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