◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆下顎(下唇?)に楽器をつけるとき

2011-05-20 21:42:41 | アンブシュア
アンブシュア、
吹く際に音が出にくいと、やっぱりどうしても気になってしまうもの・・・ですよね。

いつも私はわりとブログでは、
アンブシュアの前に、呼吸…というか、
体のあちこちの固まりに邪魔されずに息が出せる体の環境(立ち姿勢や構え方)を正すことが、
まずは大切だと割とそちらを力説(?)していますが、

実はアンブシュアだって、
この構えがわりと大きく影響してしまっていることだとは・・・意外に大きな「盲点」です。

歌口のエッヂに、つぶれていない丸さの「息柱」が、
"いい角度"と"ほどよい距離"で当たっていないと、
まとまった良い音としては鳴ってくれないのですが、

どこが盲点なのかというと、
音が十分になっていないとき、というのは、
実は口の穴(息の出口)の前に、エッヂがちゃんと位置されていないことも多いです。
(もちろん!それ以前に口の中やノドが原因で鳴っていないことも多くありますが

そしてそれは、わりかし構えが原因になっている場合もある、ということ…。

よくお見受けするのは、左腕・ひじの下がりすぎ・引きすぎ、
あるいは右腕・ひじの引きすぎ、あるいはその両者!?

なかなか演奏している当事者には見えずに気づきにくいのですが、
口の穴とエッヂの間隔(距離も高さも)が大幅にずれているために、
顎を引き、下唇を引き、下めに吹かないといけないはめになり、
そして当然そのことで口の穴の形はくずれ、音も丸みを帯びなくなる…

悪い螺旋のできあがりとなってしまいます。

息の出のすぐ前にちゃんとエッヂが位置されているか・・・確認して、
楽器を持つ左手でその高さと距離を調整してみると、
案外、ビックリする音が出る・・かもしれません!?


そしてさらに、最近のレッスンで特に面白い発見は、
フルートの、下顎・あるいは下唇への"圧迫加減"と音の出の関係です。

これが意外と、レッスン中注意してみると、
音がつぶれたり、出だしがかすれたり・・・すっきりと出てくれないのには、
この下顎(下唇と下顎の部分、総称して下顎と記述します)への
つけ位置・つけ加減が影響が強かったりします。

強く押し付け過ぎは、息が楽器に入るのを妨げ、また下顎の負担も大きいのでダメ、
だからといって、
やさしく当て過ぎも、息がしっかり入っていかないし、指回りとともに楽器が動いてしまうしでダメ、

また、p(ピアノ)やf(フォルテ)でもその圧の加減は違ってきますから、、、
その加減は、案外に難しいものです


そういえば去年の夏のF.レングリさんのセミナー。
こんなことをおっしゃっていました。

「リッププレートが下唇にあまりにかかっては駄目だ。
下唇を押しつぶすことになって、口の穴が崩れるし、息も下方向に行ってしまう。」

当たり前でいながら、意外と成されていない、とっても大事なことです。


過去ドイツで、私のアンブシュアを治してくださった先生も、こんなことも言われました。
「アジア人は西洋人に比べ、顎の骨が小さい。
今までたくさんのアジア人(フルート学生)を見てきたけど、
実に80%の人は吹くときに下顎の出が充分でないね。」

確かに、そうだと思います。

下顎の過度な引きによって、
 上下の唇が揃わずアンブシュアは崩れるわ、
 喉の筋肉は余計に緊張して締まってしまうわ、
 口の中に十分な空間はできなくなる(=息がつぶれる)わ、
  ↑おまけに、口の中があまりに狭いと、タンギングまでうまくいかなくなるという、
   ありがたくないオマケまでついてくる・・


だからまずは、楽器が近すぎて下顎が引かれないように、
少し、左腕・左手の位置をあまり体に密着させすぎずに・・・

極端な話、もし体にべったり左肘がついてしまっているような場合は、
左手のポジションをすこ~し体から離してやんわり前に位置させるだけで、
下顎は前に出るゆとりができ、早ければこれだけでも音は変わってきます。

あとは、下唇にかかるか、かからないか・・・くらいの位置にマウスピースはセットすれば、
(↑唇の厚さによります、あくまで、あくまで一般的な話です)
どれほどの圧迫が必要なのかという問題ではあまりなくなってきます。

要は、下唇を圧迫でつぶしてはいけない、という問題ですから・・・。

ただ、下唇にかかるかかからないか、の位置ですと、もしかして人によっては
エッヂの位置もかなり下になってしまうので、
そこは、楽器を”そのまま”少し、左手を使って調整して(押し上げて)、
エッヂの位置は少し高めに。(その際やはり下唇をつぶさないよう注意、です)

下唇が厚くてお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
この場合は、少なからず、下唇にかからないと・・・とてもじゃないけど
エッヂとの距離が遠く、吹くのに困難と思います。

この場合は、下唇に少しかけますが、その際は本当に、
押し付けすぎず、離しすぎず・・・のコントロールに注意をはらってください。

いずれにせよ、これらのためには、案外に左腕?左ひじ?のポジションが
重要な役割になってくると思います。


いつも、この手のブログを書くときには、
色々言葉を選び長時間かかるし、それでも迷いがあり・・・
(文章に表すのは本当に難しいからです。。)
しかしやはり、参考になります!とのお手紙をいただくと、やっぱり書いていて
いいのだろうか、と気持ちは行ったり来たりです・・・。

とにかく、あくまで参考の一端に・・・と切にお願いしております。

今回の話題も、特に文章表現は難しいです。わかりにくかったら、すみません。
やっぱり、あくまで、参考の一端に、してください!ね。
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◆日本の家屋と音響を考える

2011-05-06 20:27:38 | 雑談
最近引越をしまして普段の練習&レッスンの環境が大きく変わりました。

以前はメゾネットタイプのマンションで、壁はコンクリート打ちっぱなし、
実は天井がすごく高い4~5mほどの、稀有なタイプの部屋でした。

天井が高く、音が伸びて、かといって響き過ぎず…

吹き心地が気持ちよい、というか、
ドイツ時代に住んでいた家と少し似た、音がスッと上に伸びる感覚がありました。


マンガ「のだめカンタービレ」をお読みになられた方は記憶にございますでしょうか、
のだめちゃんがパリに留学して、初めてピアノの音を出した時の第一声、

「音が違う…」

あれは、確かにあるのです。


そこには、日本とヨーロッパの気候の違い(湿気による空気の重さ)や、
そして家屋の材質の違い…などが存在するのですが、

日本の湿気や木造住宅などは、音の伸びに良いとはやはりどうしても言い難く、
そういう環境下においては、気を付けないと時として力で楽器を鳴らしてしまいます。

大きく豊かな音を求めんと鳴らそうとする結果が、
却って響きを損なう吹き方をしてしまう危険性が潜んでいます。


私も留学したては、力任せにを鳴らしている!(特に高音)と
ドイツの先生にずいぶんと叱られたものです。。。

最初は、いくら先生に響きの悪い音を現行犯逮捕(!?)されても、
なぜ、どこが、自分の音が汚いのか、その事実にも気付けず…
"気づかないのか!?
だったら、自分の練習やこのレッスンを録音して聞いてみろ!
録音を通すと、(真に鳴っていない音になると)途端に響きが変わって
音が貧弱に細く聞こえるから!"

それからというもの、私はレッスンを録り続け…そうすると、

先生に注意されたタイミングの音をよくよく聴いてみると、
その音の響きが確かに、かすかだけど違って悪いこと、

そしてそれが、力任せだったりあるいは逆に息の圧力具合が足らなさすぎだったり、
意識をせずにいかに無頓着に鳴らしていた音だったか… 徐々にその状態時がわかり、

そして、一音一音各音に一体どれくらいの息具合が必要なのか、
配分がわかってきました。


そんなこんなの苦行!?で何とかヨーロッパ留学時代に会得した力任せでない響き、
また再び日本に戻ってきた直後は、再び響きの環境の違う場所に
音の響きのキープが難しくしばらくまた苦しみましたが、
(昔の吹き方に戻ることは、悲しいかな、思ったより容易なのです・・・

帰国後すぐ引っ越した天井の高い鉄筋マンションは、
また再びヨーロッパでの感覚を少し思い出させてくれたものでした。

しかし最近引っ越した新しい家は、再び木造の一軒家。
しかも防音・吸音が施されている壁です。

さぁ、また気をつけねば

しかし、過去のイタイ自分…悪い吹き方を反面教師に十分注意して練習をすれば、
却って響きの伴わない生音での練習環境も強みになる、と
今回久々に木造家屋に戻って感じたことです


この響かない環境であらためて、口の力に頼らず、音を豊かに鳴らすために見つけた
吹奏上特に注意するポイントは、

吹き口なども気になるとは思いますが、やっぱりまずは息のポンプ。
 →横隔膜の上手い使い方(いわゆるお腹の支え)
そして、その息のポンプを上手に機能させるための「環境」=上半身の上手な脱力。

広い会場を一杯に満たすような、豊潤な音のためには、
普段の、そして不断の、体の(演奏のための)呼吸システムの鍛練がまず本当に根本だと
我ながら自分に、そして生徒さんにも、その必要性をどうしても強く感じるのです。

やっぱり普段から絶えず呼吸に必要な筋肉を動かし、使い、鍛えておかなければ
呼吸筋肉は一朝一夕には「適切適度な良い働き」には動いてくれない。
(こと舞台上や本番の緊張下においては!

ぎゅっと、筋肉に一気に力をにいれる方が、むしろ容易かもしれません。
しかし呼吸のためには、ガチッと力が入る固い筋肉が必要なのではなく、
"しなやかな"動きの筋肉が必要なのです。



今回の引っ越しで、無駄な力が入りにくい気持ちの良い音出し環境では確かになくなりましたが、
これはこれで、また出ている音をシビアに良く聴くことができる
次の舞台上での自分の響きを楽しみに、厳しく励んでいかねばと思う次第です。

今はちょっと公の演奏はお休みしていますが、今から出産後に向けて、
大プログラムも考えているところです!
その復帰の時にむけて・・今がじっくりと取り組める修行時期、と頑張ります!
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