◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ 何ができるか、何をすべきか・・・

2011-03-20 08:49:45 | 【つぶやき】
3月11日、東日本が、前代未聞の大変な災害に見舞われました。・・・

私は東京住まい。東京ももちろん大きく揺れ、相当怖い思いはしましたが・・・
それでも、幸いにも事なきを得ました。

しかし、連日の報道を通して、東北の方々の被害のあまりの甚大さ、
そして未だ辛い避難生活・・・

3か月ほど前に、北上市を中心に東北地方を訪れたばかりでした。
あののどかな風景、そして、穏やかな口調でとってもあたたかい東北の方々を思うと、
テレビを見るたびに今の惨状に胸がつぶれる思いです。・・・
本当に、地震による被害を受けられた方々に、心からのお見舞いを申し上げるのみです・・・。


震災後、そんな今の日本の惨状に、自分が何ができるのか、何をすべきか、・・・・
この緊急事態、音を出すことも憚られ、わからずに、
とにかく、募金と、節電と・・・など、
自分の身近のできることのみを、ただただやりながら、

テレビの向こうで昼夜寝ずに、惨状と不安の隣り合わせで戦っておられる方々、
うまく届かない物資・・心の中で憂い、ただただ一生懸命応援するしかできませんでした。


そして震災以降、この自分の・・・「音楽家」という職業について、
とても考えが巡ります。

音楽家は、やっぱり緊急事態には無力です。本当に悲しくなるくらい。

こんな状態だからレッスンもいつから再開してよいものか・・と考えあぐねていたところ、

しかし、地震からほどなくして、
生徒さんからレッスン希望のお声が早々とあがりました。

東京も、余震と、不思議な現象で発生してしまった物資不足、
計画停電の詳細がわからずいつ停電するかわからないうろたえ、
そして放射能の不安・・・
色々な不安で、精神的に疲れが出てきているのを感じられます。
・・―もちろん、東北の被災された方々とは比べものになりませんが・・・

こんな時に、練習ももちろんできなかっただろうし・・レッスンに
いらっしゃるのも大変だろうな、と戸惑いながらもレッスンを再開したところ、

レッスンが終わると、
「やっぱり楽器吹くって良いです!」
「フルートを吹いて、ここ数日の疲れが癒されました・・・」

と、笑顔でお帰りになる生徒さんを見送るたびに、

今は被災者の方々に直に何かヘルプができる、というわけでは、、
口惜しいことにないけれど、
それでも、誰かの、不安を和らげることのお役にはたっているのかな。


音楽の力は、やっぱり・・・

 お医者様のように、命を直に助けられるような
 ダイレクトに人を助け役にたてる職業ではないけれども、

音楽にできること、人々の癒しになれること。
そして近い将来、私たちでも役に立てること、―それは絶対にある。

自分のできることはひとつひとつ、精一杯頑張らなければと思います。

音楽の力を以て癒しが許される時期が近い将来きたら、
もっとやれることがきっとある。


ブログを書いている今もまた、大きく揺れました・・・(><)
東京が震源ではなさそうだけれど、千葉や茨城の近いところで
大きい震度が出たのではと心配が募ります。

けれど、私たち一人一人に必ず備わっている、人間の底力を信じて ―
本当に、一日も早く・・・安息の日が訪れることを願って!!!
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◆名言だなぁ・・~トーンホール考(ムラマツフルートジャーナルより)

2011-03-02 20:21:34 | 雑談
時々、うちに送られてくる『ムラマツフルートジャーナル』

ページ数の少ない、うす~いメーカーの情報誌(紙?)のようだけど、
これがけっこう端から端まで色々なフルート情報が。毎回楽しく読んでいます。

しかし今回の「フルート再考」の記事に、
いつにも増して、とてもピピッとくるものがありました


  「歌口で鳴っている音を聴くのではなく、
   トーンホールから出ている音を聴かなければならない」

   ニコレさんがよくおっしゃっていた言葉です。・・・
   フルートはリード等の発音体を持たないため、
   トーンホールを塞ぐパッドの気密性の影響を受けやすく、
   音が低くなるにしたがって特に低音域では音の密度が希薄になりがちです。
   ・・・
   ニコレさんはトーンホールから出ている音を聴くことによって、
   管(空気柱)の長さを意識し、音と体をコントロールしなさい
   とおっしゃっていたわけです。・・・

(トーンホール;フルートの管体から立ち上がっている、キィと接触する穴のことです。)


なるほど・・・これは本当に意識して考えれば考えるほど、
とても音の響きに重要なことです。

知らずのうちにきちんと意識しているフルート吹きの方もたくさんおられると
思いますが、あらためて意識をおいてロングトーンなど練習すると、
鳴りがとても充実してくる・・・。


よく、中音域のE(ミ)や♭E(♭ミ)、F(ファ)が鳴りにくい、
あるいは響きが悪い、音程が低い・・などの悩み、ありますよね。

それからもちろん、足部管にあたる、いちばん低音のCや#C、Dなども!

これらは、実はすべて、右手指まで押さえる音たち・・
すなわち、「管が長い」と表現しますが、歌口から押えている距離が長いのです。
 →息がより必要な音たち、ということです。

左手で担当するシ・ラ・ソあたりは、やはり「管が短く」息が届く距離も短く、
息もそこまで圧力が必要なく、鳴らしやすい。


従って、この、右手で押さえる指の音たちも、この「管の長さ」というものを
意識して、息の加減を心得て吹くと、実は、鳴りにくさは解消されるのです。

・・なんて一言で言っても、これの実行がなかなか難しいのですよね。。


このためにはまず、フルートを吹いていて、押さえる指先に、びりびりと音の響く振動が
伝わるのを感じられることが、第一条件です。

(この振動すらまず感じない場合は、すでに管に入る息の出が十分でなく、息が管の中に
届ききれてないか、指を強く押さえ過ぎか・・・なのでおそらく・・・(><)
まずは適切なアンブシュア・適切な息の方向で、管に息をいれる方を学ばねばなりません・・)


そして、音の振動が指に少しでも伝わるならば、あとはさらに振動が増すよう、
息の入れる量や方向(息が歌口のエッヂにしっかりあたる角度)を試行錯誤したり、

それから、意外とこれが私の経験上重要ですが、
指の押さえる「力の強さ」そのもの、と、力の「方向」、そして押さえる指の角度も影響します。

「力の強さ」は、金属の振動を止めてしまうような強い押さえ方では音がつぶれてしまいます。

「指の角度」と力の「方向」は、少し共通点がありますが、
押さえる指の表面積が、あまりに広すぎでべったり押さえてしまったり、
また方向的に、押さえながら内側に引っ張ってしまったり・・
これもまた、金属の振動をとめてしまいますし、
内向きに押さえる力が働いてしまうのは、顎やアンブシュアにも影響を及ぼしてしまいます。


(ここまで言っておいて、なんといってもまずは、
キィがちゃんと調整されており、タンポ(キィの黄色いフェルト)がすかすかでなく、
きちんとふかっとした状態であることが不可欠、前提条件ですが

それさえクリアしていれば、あとは、
金属の響きを押さえて止めない程度の"強すぎない"指の押しで、

そして、ニコレ氏のおっしゃった言葉のように、
そのとき、その音で押している指まで・・・トーンホールの振動を指先に感じ、
管の長さを意識して息を、音を、出すようにする。


この、トーンホール=管の長さ を考えることで、
フルートの金属の響きも止めすぎない、指の適切な力加減、押さえ方も意識できますし、

何より、必要な管の長さ分、吹きすぎず、弱すぎず、・・
息が、とても適切な量とスピードになり、無駄がなくなる、

また、「音の響きをしっかりと聴く」よい訓練にもなるでしょう。

より無駄なく響く音のために、一石二鳥、どころか、いいことづくめです。

ぜひぜひ、まずはロングトーンのお供(!?)に、
常に傍らで管の長さとトーンホールを押さえる指に、意識を置いてみてください
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