◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆アンブシュアを心配する前に、右手??

2008-11-23 16:01:44 | 持ち方
フルートのもつその美しい音色を極めることは、
フルートを吹く上で追い求める永遠の課題の一つだと思います。

そこでよく問題にもちあがるのが、アンブシュア(口の形)。

けれど、ちょっと待ってください!
口の形は、言うなれば息の出口。

水まきホースの口がよく例えにあげられますが、口の形状は
息の出方や方向が変えられるという一つの要素ではあります。

しかし、もともと息でつくられるこの楽器の音は、口を考える前に、
注意すべき「盲点」が実はたくさんあるように思います。


このブログによく登場する、「音を頭でイメージすること」は
今回はさておき(とはいえ技術面とは別に常に大切な事ですが)

今日は技術面において、アンブシュア以前に見直す箇所の一つ、
「右手の持ち方」について少し言及したいと思います。



以前、「持ち方はバランス」というお話をしましたが、その中でも
特に、”右手が楽器にどうつくか”が、アンブシュア(に限らず、
腕や肩、ひいては呼吸までにも)に多大な影響を及ぼします。
あえて、
”右手が楽器をどう持つか”という書き方はしませんでしたが、


右手の親指や、ましてや他の動かす指で、楽器を
”(握るように)持って”しまうことは、
一見楽器をしっかり支えているかのようですが、

この長い楽器・・右手に力が加わりすぎていると、「てこの原理」で
反対端であるリップ部分にも反動で振動が大きく伝わってしまい、

その振動を感じた口が、振動に堪えようと、力が入ってしまう、
という悪循環ループに陥ってしまうのです。

そういううちに、おのずと力んだアンブシュアになってしまう
可能性もあるわけです。


またスムーズな運指の問題からいっても、
本当にリラックスしての速い指の動きの実現には、

理想的には(ピアノ等でもいえることですが)どこの関節にも
過度の力がはいっていない状態をつくってあげることが、
速く、邪魔なく、そして一本一本きちんと独立した指の動きを
させてあげることができるのです。

そのためには、指でなるべく楽器を持つことなく、
前述した「バランス」で楽器を保持することが必要なのです。

◆◇◆

さて、前置きが長くなりましたが、具体的な話です。

① ×            ② ○
  



まずは、親指の指紋側の面積をたくさん使ってがっしり管を
つかんでしまっているようでしたら、やめます。(①)

親指はたたでさえ他の指に比べて短い上、五本すべての指先が
一つの管に位置しなければいけないわけですから、

その短い親指がさらに、指紋部分を完全に上に向けるように
べったり指の腹で管につけて、楽器の下から持ってしまうと、

他の長い指などは否応なしにさらに関節を曲げないと
キィの上に指を置けない状態になってしまいます。

その状態で、(― 人によっては関節が過度に曲がった指でも
問題なく速く動かせるかもしれませんが)

実際的には、指の動き(特に「薬指」)が完全には独立せず、

あるいは、各指が微妙に変な方向に曲がってしまうために、
リングキィだと穴がふさがらない、などの問題が生じてきます。

仮に指の動き的に問題がないにしても、さらには
「手首の曲がり」と相まって、楽器を内側に回してしまい、
下唇・下顎が自然と引かれてしまい、

自在なタンギングや、柔軟なアンブシュアによる音の跳躍や
pp~ffなどの音量のレンジに対応しきれない、など、
フルートを吹く上でどこかしら不都合が生じてくるはずです。


これらすべてをクリアするには、前述したような、

手指をリラックスさせた状態 ―
どこの関節も過度に緊張していない、各関節が緩やかな曲線を
描いているような状態をつくってあげることです。
(もちろんこれには手首も含みます)


右親指は、指の腹の方でなく、なるべく指先に近い方(そうすると
親指が長くなり、他の指が曲がる負担が少なくなります。)
そして、
爪の右上側(ほとんど指先に近い部分)で、管の真下でなく、
管体の少し手前側に軽くつけ、前方向に押す程度で充分です。

もちろんこの親指は、正しいバランス
(左人差し指の付け根の支えを軸とした、
下顎・左人差し指・右親指の”バランス”)をしないことには
楽器がズリ落ちてしまうようでうまくできませんので、
今までどちらか片方の手に負担をかけて持っていた場合には、
一朝一夕にはできず、時間をかけて慣れなければなりません。


しかし、本当に最終的に、
一部の手指に過度の負担がいかない正しいバランスで
楽器を支えることができれば、

アンブシュアへの負担も減り、腕や肩などの過度の力みも減り、
しいては呼吸等への良い影響にもつながっていけることでしょう。


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◆ 11/16(日)サロンコンサート in 表参道

2008-11-07 10:20:26 | コンサート情報
来週末、11/16(日)に表参道でサロンコンサートがあります。

   

青少年音楽協会というところからお呼ばれいただいた
今回のサロンコンサートですが、そのサロンがすてき!

サロンというよりは、家。 木の家。

(その青少年音楽協会の母である 故・カニングハムさんという方
のお住まいだった家を、カニングハムさん亡き後も、そのまま
青少年音楽協会がコンサートを提供する場として家を維持し、
現在も音楽家のコンサートを多く行っているそうです。)


とってもあたたかい。そして、懐かしい。

壁隣りがすぐ根津美術館の緑深い庭なので、
ここが表参道!?と思ってしまうほど、そこは別世界。

サロンの窓からの景色は、林の中にいるよう。


そんなあたたかい木の家に、木目調のグランドピアノ・ベーゼン
ドルファーはその空間を取り込んだかのようなあたたかい音。

ホールのような残響では全くないので、それはそれでフルートと
しては、残響を利用できないのは少し怖いところですが・・・

これはこれで、そこの家の木のあたたかさを響きに取り込め、
そこでしか鳴らせないような音をつくれれば、と思います。


選曲も、今回はそれを意識して、小さな空間でも楽しめそうな
心地よい曲をプログラミング。

オープニングは、モーツァルトの『アンダンテ』。

ハ長調のあたたかい響きが、木とともに、そのコンサートの
空間をあたたかくつくってくれることでしょう。

それから、テレマン『無伴奏ファンタジー』変ロ長調、

続けてバッハ『フルートソナタ』変ホ長調から、

同じく変ホ長調のブラームスの『ソナタ Op120-2』へと、

寒くもなってきましたし、心が温まるようなあたたか系調性!?
で音楽の世界を楽しんでいただこうと思います。

ブラームスは、本当は・・心を揺さぶられるような2楽章、
死生観が窺える3楽章と・・もちろん全楽章やりたいですが、
今回は、この空間にあわせAmabile(愛らしい)な1楽章のみを。
(全楽章披露は、リサイタルまでがまんです。)

これだけで、その曲をブラームスが書きながら何を思ったか・・?
そんなことに思いを馳せられる、心にじんと染み入る一曲です。

そして中間にお茶休憩が入り、

後半は、ドイツからフランスの響きへとガラっと雰囲気を変え、

まずはピアノ(ピアノ:瀬川玄)に、「水 三部作」と称して、

リスト『エステ荘の噴水』、ラヴェル『水の戯れ』、それから
ドビュッシー『水の反映』と、それぞれの作曲家の特徴を
混ぜ込みつつ、清らな水の流れの世界を織り成してもらいます。

そして、「水の反映」に続けてそのままドビュッシー、
フルート&ピアノで『牧神の午後』

もともとオーケストラで奏でられる、のどかな牧神の午後ですが・・

少ない楽器でやる以上、オーケストラのような響きを第一目標に
してしまうのではなく、フルートとピアノ、それならそれだけで、
どこまで”のどかな牧神の午後”の世界をつくれるか。

あと一週間で最後の詰めをしていこうと思います。


・・・フルートのブレス的には、ホントは”のどか”とはかなり
程遠いのですが・・・!?

体の中では、長~いフレーズとの9分間のあくなき闘いです(泣)


この曲を吹くと、昔、故・小泉剛先生にレッスンでこの曲を
みていただいた際に言われた言葉をよく思い出します。

 『フルートではな、f (フォルテ)は心も体の中(支えのこと)も
  解放して吹けるが、p (ピアノ)は、表面上(顔)では穏やかな顔
  しつつも、反面お腹はすご~い厳しい顔せにゃならんのだ!』

・・・顔で笑って心で泣いて!?

小泉先生はいつも、
その曲に必要な音楽想像や音楽表現を、時には立ち上がって
(これがけっこうビックリする)急に踊りだしたりして!・・・

一見ゆるく穏やか、でも時には体を張って!?非常に
情熱的に、フルートを越えた「音楽」を教えてくださった先生。

昨年お亡くなりになった先生、
でも先生は確実に私の心の中で生きておられます。
その教えは一生しっかり心に刻み、また次世代へとつなげます。


のどかで幻想的な「牧神」の後は、
明るいニ長調の『コンチェルティーノ』(シャミナーデ)で
華やかに締め!でこのコンサートを終える予定です。


この会場はもともとが「家」なので座席数は少なく、残席が
いくつあるかわかりませんが・・もしご興味がおありの方は、
青少年音楽協会にぜひお問い合わせてみてくださいね!


◆11月16日(日) 開演 14:30

◆表参道・MFYサロン(カニングハム・メモリアルハウス)
 (東京メトロ 表参道駅 A5出口、根津美術館 隣)

◆チケットお問い合わせ (社)青少年音楽協会事務局
 TEL:03-3400-3386(平日のみ)



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