◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆「指の動きが悪い」・・なぜ!?

2008-10-23 14:49:19 | 持ち方
今回は、「私は指の動きが悪くて・・」というお悩みについて。

もちろん、指の運動機能には個人差というのがまずありますので
これから書くことはあくまで、参考の一端としてお読みください。

◆◇◆◇

「指の動きが悪い」 と悩んでいらっしゃる生徒さんに、
私も日々あの手この手の色々な角度から、
その難所が出来るような方向へ導くことを試みております。


もちろん、難所を吹くには、普段(不断)の練習が第一です。

そして普段、”テクニックの基礎練習”として音階や分散和音の
練習をすること、それはもちろん少なからず身になります。

が・・?

そのときの「やり方」、というよりはむしろ「心がまえ」が
ここで非常に大切な分かれ道となります。


私はドイツ修行時代に先生にキッパリと言われました。

「基礎練習に、その日その日に毎日練習目標も定めず、

音に対する細心の(耳の)注意も払わないで、ただ日課として

書いてある音符をただひたすら最後までこなす(通す)

などというものは、おおよそ時間と体力のムダです。

それどころか最悪の場合は、

間違った吹き方を”重ね塗り”しているにすぎない」、と。


◇◆◇◆

さて、「速い動きが苦手」 これには時々、
単なるその人の運動能力に因るものでないことがあります。


私の今までの自分の経験、そして行っているレッスンの中で、
音階などの基礎練習「以前」の問題というものが、指運びに
かなり大きな影響を及ぼしている場合があると考えています。

その中で、無責任にならないよう、
本当に確実な変化がみられた原因をとりあえず大きく2つ・・

一つには、

【楽器の、バランスをきちんと考えた上での「持ち方」】

これは、バランスが悪い持ち方によっては、
指や手、腕、肩などの緊張を引き起こし、運指時に楽器がブレ、

また何より肩の緊張は、呼吸に多大な悪影響となり、
息がまっすぐ管に入っていきません。


意外と見落としがちな、持ち方の見直し →
  体のあらゆる部分において余分なところに力みのない演奏法

というのは、速い指の動きはもちろん、呼吸や豊かな音の為にも
非常に重要な根底問題なので、多分に見直す必要があります。



そして指運びがうまくいかないと言われるもう一つには、
(おもに、音階など速いパッセージができない、というケース)

指実際の、動きの遅さだけが原因でなくて、それ以前の、

【「頭(脳)での音の認識」】

そして、それに伴う息の運び方、さらに言うと、
管に入る息の「不適切さ」が原因となっている場合があります。


このことを文章で説明するのはとても難しいですが、

一定のテンポでしか(しかも速くばかり)練習しないケースに
よく起こってくる害です。


フルート曲によく見られる長い連符の渦・・例えば12連符、
4・4・4で分けるか、6・6で分けるか、はたまた・・など、

これらは、意外と仕切り方を変えると、今まで出来なかった
難しい指まわりがいきなりスラッとできてしまうことがあります。

これは、頭でその音群の認識方法を定めるからなのです。

そして、それを以ってしてはじめて、
「その音」のための「その息」が成されるのです。


モイーズの『ソノリテ』という言葉も、

元々はその「頭の認識」を養っていくことでもあると、
ニコレさんから以前お聞きしたことがあります。



具体的に言えば、「音を頭で認識する」とは、

フルートという楽器はもちろん指使いがあって、
そこに指をおいて息を吹けば、一応その音は鳴りますが・・

最終的には、
声で歌うのと同様に、吹く音いちいち、きちんと頭でまず音を
(瞬時に先行して)奏でる必要があります。

それでこそ、体がその音を鳴らすための用意ができて、そこで
はじめて意味をもった「真の音」が鳴るのではないでしょうか。

※この「意味をもった真の音」に関しては、
 さらに述べたい事項がありますので、後日後述します。


その、「頭の認識度」を息運びと共に鍛え深めていくことこそが、

誰もが、難所でよく言われてしまう、
「ゆっくり練習をしなければならない」

の真意であると、私は思うのです。


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◆アンブシュア、そもそもは・・

2008-10-01 20:39:44 | アンブシュア
フルートにとってアンブシュア(口の形)もまた大切な問題です。

多くのフルートを吹く方が一度は気にしたことと思います。

私も、自身長年悩みましたし、未だ悩むところもありますし・・

でもそんな中で、自分自身にも、教える中にも、いくつかの
”こうするほうがいい”というチェックポイントがあります。

ただ、人それぞれ、
唇、歯の形、顎の大きさなどはそれぞれですので、
それら全てに対して動かぬ”絶対の教え”というのはありません。

その人それぞれの持つ特徴を踏まえて、
その人に一番合ったいい音ポイントというのを探っていきますが、

・・ではその探る上で何が大切になるかといいますと、


『唇は息の「出口」であり、楽器(の歌口)に空気を伝えるもの』


というアンブシュアの役目の「大元」を常に見失わないことです。


自分の経験も含め、アンブシュアの形にこだわりすぎるときは、

逆に他のヘンなところにいつの間にか緊張が生じてしまったり、
音の根本である息がいつの間にかおろそかになっていたり・・

とかく、この大基本が忘れられているように思います。



大切なことは、

・ 唇や口の中、ノドの緊張で息の通りを邪魔しない

・ 唇(口穴)という息の「出口」で、
  美しい息柱のためのきれいな出口を形づくること

・ そしてその息柱がきれいに楽器に伝わるための、
  唇と(楽器の)歌口の「適度な距離間」を把握すること


◆◇◆◇

そしてさらに、

唇にどの程度の緊張が必要ですか、という問いに関していえば、


この答えはとても白黒でいえないものです。

なぜなら、完全な脱力ではもちろん吹けません。

ということは、少しの緊張はどこかしらにあるものです。



ただし、フルートを吹くときの口の穴は、

音域・音量などの様々なニュアンスによって、
それは実際すべて息のスピードや量で成されるわけですから、

その息の出口である口穴の大きさはそれに応じて常、微妙に
変化します。


・・・ということは、
口周りの筋肉は、そのさまざなニュアンスに対応できるほどの、
いつでもいかようにでも(?)動ける柔軟性というのを要します。


(またこれと関連して、
ブレスで口の形がくずれるといけないからと、口を
あまりあけないでブレスをするという説を耳にしますが、

これは逆に下顎と顎周辺の筋肉が結果的にかたまり、
しなやかでないアンブシュアで、いけないと私は思います。

また、フルートのブレスは、時にとても短い瞬間に、
大量の息をとりこまないといけない場合もありますし、

そんなときに息の入口が小さくては、せっかく息を多く
取り込みたくても、瞬間的に大量には入ってくれませんよね)



・・・と、いうことは、口・顎まわりのどこか決まった箇所だけが
ガチっと筋肉が緊張してしまうことは、
(よくある例ですと、両唇の端などといった)

筋肉の緊張とは、”収縮”でしかないそうで、当然そこに
柔軟性はなくなるので・・・よくないということになります。
 


意外といきなり頭部管を口につけて練習し始めてしまうと、
実際問題、楽器は唇の下に位置するので、

知らず知らずのうちに下唇をひっこめて下方向に吹いたりなどと、
口の穴が美しい息柱を出す”マル”にまとまらなくなってしまうことがあります。


ですので、楽器を始めたばかりの人はもちろんのこと、
もう長いこと楽器を吹いている方でも・・・
音に悩んでいらっしゃる方は案外、

いつもの楽器練習の前にひとつ立ち止まって、
手の平に、フルートの口で息をかざす練習をしてみると、


その息が充分なスピードで”まとまって”出ているか、

目からウロコな発見が、案外その手の平にあたった息から
得られるかもしれません。


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