もしかすると・・今から書こうとするこの事を、
まずこのブログの念頭にもってくるべきだったかもしれません。
フルートを奏でる。
その自身の音色を磨くには、まずは自身の音を本当に聴く
「聴く力」 「集中力」、そして、
音色を、そして音楽を求める不断の「努力」と「忍耐」
を要します。
よく、音を楽に、美しく響かせるにあたってどうすれば、と
色々な技術的な質問を受けます。
そして私は職業柄・・そのフルート吹く方々の音色、
そして音楽を磨くお手伝いをしているわけですが、
もちろんそれは、その人それぞれの体の特徴も考慮にいれつつ、
お腹のこと、呼吸のこと、口の形のこと、楽器の保持のこと、
姿勢のこと・・色々なアプローチから、
いわゆる”具体的な技術的な要素”を考えます。
ただし、本当のところ、その具体的な技術的な要素と匹敵する、
いえ、もしかして
それ以上に大切なことが、「音創り」にはあるというお話です。
さてここに、いわゆる”ロングトーン”という基礎練習のこと、
そして、その代表格であるM.モイーズ著 「ソノリテについて」
(Leduc社)を例に挙げてお話します。
この本の冒頭にはまず、こう書いてあります。
>この著書から、美しい音を得る確実な方法をみつけようと
期待すべきではない。
>この問題は理論的に取り扱うことはできない。~中略~
>「美しい音」とは理想としていろいろ考えられるであろうが、
それは自然のままの肉体の状態だけではつくりだすことは
できないという確信を得たのである。
ソノリテの教本を持っていらっしゃるフルート吹きの方は
非常に多いと思います。
・・・しかし、この冒頭にこめられた意味を、いったいどれだけ
咀嚼されているか?
ワイマールでの留学時代、私は幸運なことにオーレル・ニコレ氏
のマスタークラスに立ち会う機会がありました。
多くの若手フルーティストが集まるマスタークラスの中、
彼は、まず最初にこの「ソノリテ」の冒頭を吹くこと要求しました。
最初のフレーズ、「シ―♭シ」(2回繰り返す)
ニコレ氏は言いました。
「きみは、今のそのフレーズにどんな”ファンタジー”を持っているのか!?」
ようするに、そのシ~♭シを吹くにあたって、自身、
どういう表情をその音にのせようとしているのか。
明るいのか、暗いのか、優しいのか、力強いのか、云々・・
その”ファンタジー”を毎回怠ることなく想像力を働かせ、
様々な音色のバリエーションの「目標」を定めつつ、
その音色を実際奏でることに・・この冒頭に書いた、
自身の耳と脳に全集中力を研ぎ澄ませ、
その自分の要求する音色をしつこく求め、
納得のいく音が出るまで出し続ける・・・
これこそが、【de la Sonorite】なのだ!!
(※最後の e は斜め線付)
ただ音を綺麗に雑音なしに鳴らすための教材ではない!
2回繰り返すなら、なぜその2回に変化をつけようとしないのだ!!
・・と若手フルーティストを一蹴しました。
◆◇◆◇
そして、私が今回特筆すべき大切なこと、
【笛の音は、人の声に通ずる】
こんなことがありました。
以前、プロの声楽家の方にフルートのレッスンをしました。
声楽はプロ、しかしフルートは初心者でした。
楽譜はもちろん、音符から音楽の流れも読み取れる彼女は、
フルートの単なる技術的な面だけが、砦でした。
色々とフルートを吹くための技術的な(体の)説明をし、
音は出てきたものの、今ひとつ不満足・・といったところで、
私は彼女に、今自分のできうる最上の響きで、という注文で、
その音を歌っていただきました。
そして即座に、
では、その美しい響きをフルートでそのまま表現しようと
してください、と言ったところ、音は・・すごく美しい響きに。
まるで魔法のようでした。
人は誰でも、
高い声、低い声、ゆったりあたたかい声、金切り声、・・・
これらの声をだすのに、具体的な体の技術説明などは
逆にまわりくどく、難しいです。
頭(脳)でただこれらの声を出そうという「意思」と「イメージ」
だけで、体は自然とそのモードをつくるのです。
フルートの息遣いも、また然りなのです。
もちろん、手や肩や口やノドを緊張させない、といった
具体的なアプローチ方法も一方で必要不可欠です。
でも人間には、そういう言葉では言い切れない、
『自然な力』というのも備わっていて、それが時には、
1000の言葉をもってしても太刀打ちできないほどの
力をもっているのではないでしょうか。
「フルートを奏でる」ことは、楽器という媒体があるだけで、
まさに「歌を歌う」ことと奥深いところでは一緒なのです。
フルートの美しい音を出すのには、そして音楽を奏でるには、
まさに声と同様の、その音を出したいという「意思」と、
頭での想像力「ファンタジー」が必要であること。
そしてまさにそれがないと、普段の基礎練習・・
ソノリテ、そしてロングトーンの本来の意義を成さないということ。
・・・意外と、いつもの練習でフルートの譜面を開いたあとで、
すぐ楽器を構えることをふと立ち止まり、歌ってみると、
体の余分な力も抜けたり、音楽の大きい流れがつかめたり、
収穫は大きいのではないでしょうか!
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まずこのブログの念頭にもってくるべきだったかもしれません。
フルートを奏でる。
その自身の音色を磨くには、まずは自身の音を本当に聴く
「聴く力」 「集中力」、そして、
音色を、そして音楽を求める不断の「努力」と「忍耐」
を要します。
よく、音を楽に、美しく響かせるにあたってどうすれば、と
色々な技術的な質問を受けます。
そして私は職業柄・・そのフルート吹く方々の音色、
そして音楽を磨くお手伝いをしているわけですが、
もちろんそれは、その人それぞれの体の特徴も考慮にいれつつ、
お腹のこと、呼吸のこと、口の形のこと、楽器の保持のこと、
姿勢のこと・・色々なアプローチから、
いわゆる”具体的な技術的な要素”を考えます。
ただし、本当のところ、その具体的な技術的な要素と匹敵する、
いえ、もしかして
それ以上に大切なことが、「音創り」にはあるというお話です。
さてここに、いわゆる”ロングトーン”という基礎練習のこと、
そして、その代表格であるM.モイーズ著 「ソノリテについて」
(Leduc社)を例に挙げてお話します。
この本の冒頭にはまず、こう書いてあります。
>この著書から、美しい音を得る確実な方法をみつけようと
期待すべきではない。
>この問題は理論的に取り扱うことはできない。~中略~
>「美しい音」とは理想としていろいろ考えられるであろうが、
それは自然のままの肉体の状態だけではつくりだすことは
できないという確信を得たのである。
ソノリテの教本を持っていらっしゃるフルート吹きの方は
非常に多いと思います。
・・・しかし、この冒頭にこめられた意味を、いったいどれだけ
咀嚼されているか?
ワイマールでの留学時代、私は幸運なことにオーレル・ニコレ氏
のマスタークラスに立ち会う機会がありました。
多くの若手フルーティストが集まるマスタークラスの中、
彼は、まず最初にこの「ソノリテ」の冒頭を吹くこと要求しました。
最初のフレーズ、「シ―♭シ」(2回繰り返す)
ニコレ氏は言いました。
「きみは、今のそのフレーズにどんな”ファンタジー”を持っているのか!?」
ようするに、そのシ~♭シを吹くにあたって、自身、
どういう表情をその音にのせようとしているのか。
明るいのか、暗いのか、優しいのか、力強いのか、云々・・
その”ファンタジー”を毎回怠ることなく想像力を働かせ、
様々な音色のバリエーションの「目標」を定めつつ、
その音色を実際奏でることに・・この冒頭に書いた、
自身の耳と脳に全集中力を研ぎ澄ませ、
その自分の要求する音色をしつこく求め、
納得のいく音が出るまで出し続ける・・・
これこそが、【de la Sonorite】なのだ!!
(※最後の e は斜め線付)
ただ音を綺麗に雑音なしに鳴らすための教材ではない!
2回繰り返すなら、なぜその2回に変化をつけようとしないのだ!!
・・と若手フルーティストを一蹴しました。
◆◇◆◇
そして、私が今回特筆すべき大切なこと、
【笛の音は、人の声に通ずる】
こんなことがありました。
以前、プロの声楽家の方にフルートのレッスンをしました。
声楽はプロ、しかしフルートは初心者でした。
楽譜はもちろん、音符から音楽の流れも読み取れる彼女は、
フルートの単なる技術的な面だけが、砦でした。
色々とフルートを吹くための技術的な(体の)説明をし、
音は出てきたものの、今ひとつ不満足・・といったところで、
私は彼女に、今自分のできうる最上の響きで、という注文で、
その音を歌っていただきました。
そして即座に、
では、その美しい響きをフルートでそのまま表現しようと
してください、と言ったところ、音は・・すごく美しい響きに。
まるで魔法のようでした。
人は誰でも、
高い声、低い声、ゆったりあたたかい声、金切り声、・・・
これらの声をだすのに、具体的な体の技術説明などは
逆にまわりくどく、難しいです。
頭(脳)でただこれらの声を出そうという「意思」と「イメージ」
だけで、体は自然とそのモードをつくるのです。
フルートの息遣いも、また然りなのです。
もちろん、手や肩や口やノドを緊張させない、といった
具体的なアプローチ方法も一方で必要不可欠です。
でも人間には、そういう言葉では言い切れない、
『自然な力』というのも備わっていて、それが時には、
1000の言葉をもってしても太刀打ちできないほどの
力をもっているのではないでしょうか。
「フルートを奏でる」ことは、楽器という媒体があるだけで、
まさに「歌を歌う」ことと奥深いところでは一緒なのです。
フルートの美しい音を出すのには、そして音楽を奏でるには、
まさに声と同様の、その音を出したいという「意思」と、
頭での想像力「ファンタジー」が必要であること。
そしてまさにそれがないと、普段の基礎練習・・
ソノリテ、そしてロングトーンの本来の意義を成さないということ。
・・・意外と、いつもの練習でフルートの譜面を開いたあとで、
すぐ楽器を構えることをふと立ち止まり、歌ってみると、
体の余分な力も抜けたり、音楽の大きい流れがつかめたり、
収穫は大きいのではないでしょうか!
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