◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆管楽器の息は、音楽の生命

2010-08-16 18:19:37 | 呼吸
久々の更新
外国人のゲストも無事にドイツに戻りやっとブログが書けます・・


ドイツの友人たち・ザンドラとディエゴの来日からあっという間の3週間!

コンサートと、レッスン等の通常業務(?)に加え、
初にっぽんの彼らのお世話に、自分の時間は皆無というほどに
怒涛の日々ではありましたが・・

彼らと過ごした3週間は、慣れた日本でありながらも、
新たな外国人の視点で、東京のすばらしさをたくさん再発見できた・・
かけがえのない日々でした


彼らと合同で行った、サロン・テッセラのコンサートもおかげさまでほぼ

ドイツバロックの世界から、ディエゴのチャランゴと、
熊本さんの素敵なパーカッションが加わり、暑い夏に、熱い!ラテンの夜♪

お越しくださった方々には、あらためて御礼申し上げます、
どうもありがとうございました!


さて、この3週間の彼らの滞在の中で、収穫はそれだけではありませんでした

滞在中、ザンドラたっての希望で、できるだけ私の生徒さんのレッスンに
合同で参加してもらいました

時々、彼女の視点でアドヴァイスをしてもらったのですが、
これがまた・・生徒さんにはとても良い刺激になって、
レッスンを受けるうちに演奏がどんどん生き生きと変わっていくのです!


これには、彼女のマジックがありました。

実はドイツ人、基本的に「ドレミ」で歌えません。。

彼らは、ド・レ・ミを ツェー・デー・エーというドイツ語で読みます。

そしてこのツェーデーエーは、私たちが、曲の中でドレミファソ~と
歌いながら言えるほど、早口で読めるシロモノではないため
彼らドイツ人が歌うときは タララ~ とか ラララ~ です。

しかし、こんな小さなこと・・ですが、これが思いのほか効果が大きい!

ドレミファソーと歌うより、それはもちろん、
タララララ~の方が、音楽的流れは止まらずにありますよね!?

(私はこの件に関し、ドイツにいるときにすでにこの違いの面白さを感じ・・、
ドレミを用いて歌うことは、フレーズの流れ、ハーモニー(和声)の流れの前には、
「ドレミ教育の弊害」という論文を書きたいと思うほど!?^^;何かある気がします)


身振り手振り、生徒さんの横で一生懸命に歌いながら
息の出、音楽の流れを促すザンドラ。

生徒さんは、横で朗々と歌われるうちに、どんどん影響され、
息が出て、表現が増していくのです・・・


そして。
それだけではなく、
彼女は、フルートを用いずに息の出だけの練習を、レッスン中よく取り入れていました。

フゥーッ・フゥーッ
フッ・フッ・フッ・フッ フゥーッ

などなど。

ついつい、すぐ楽器を用いての練習にはいりがちですが、
大抵、何らかの原因で音の出、音の豊かさが十分でない人は、
まずこの息だけの練習においても、十分な風音が口から出ていません。

しかし、練習しはじめが不充分で始まっても、
フルートを構える邪魔(?)がなく、息のコントロールに集中できるため、

力を抜くポイントをうまく促しながら、数回続けてフゥーッと吐くごとに、
どんどん息は深く、豊かに、スピードを伴って流れ出てきます

ザンドラからこのことの大切さを学んで以来、私もこれをレッスンに
積極的に取り入れていますが・・・すごく効果大です!!


息の出が十分豊かにまとまるまで、根拠と体力はお互いにいりますが
それで息の出を整えた後でのフルートの音色は、100%の確率で伸びやかで・・
豊かな音へと素晴らしい変化を遂げる


このように、
管楽器演奏において、息運びが生命、ということの大切さを、
彼女の朗々と歌うレッスン、そして具体的な息練習と、
様々な角度から、教えてもらいました

私にとっても、本当に貴重で有意義な勉強期間でした!!


しかし実は、私の勉強月間は今回のこれだけに留まりません!

明日から、某音楽祭にフェリックス・レングリ氏の講習会を少し覗いてまいります!(^-^ゞ

レングリさんは、最初はドイツ時代に、
私の住んでいた町ワイマールに講習にいらしたことで、その凄さを目の当たりにしました。

演奏の巧みはもちろん言わずともがな!ですが・・指導がまた素晴らしい。

ご自身がとても努力の方とのことで、彼から出てくる指導の言葉に、
とても重みがあるのです…。

いつか、じっくりと吸収したいと思っていた彼のフルートイズム。
念願かなって(しかも日本で!)長期のマスタークラス。

短期間でしか行けませんが
しっかり勉強、吸収し、自身の演奏にもレッスンにも・・反映させていきたいと思います!

できるなら…できるだけ!このブログにも講習会レポートを書きたいと思っております!
楽しみにしててください♪(^-^)/

ではでは☆行ってきま~す

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◆横隔膜と骨盤の関係

2010-04-02 15:15:24 | 呼吸
先述のカイロプラクティック以来、演奏時の体の姿勢バランスについて、
あらためてあれやこれやと考えが頭を廻っています


ところで私は、自身がフルート指導をする際に良い音を出せるための手順として、
いくつかのチェックポイントを心づもりしています。

中でも最近特に音の変化への効果が高いことで重要視しているのは、
「楽器を構える前」にできること、必要なことです。

実は、構える前の体の状態がどうか、どんな姿勢か・・その如何が、
次に楽器を構えてどんな音が出てくるか、の行く末を相当な割合で支配している・・。
(適切な姿勢をつくることは、腕をあげ、楽器を構えてからでは実はちょっと遅い!?


さてそんな体の状態チェックの中で重要なポイントは、
体の下半身から上半身の流れにかけて、各々が適切なポジションにあるか・・なのですが、

具体的には、
・ひざがピンとまっすぐに伸びすぎていないか?(腰の緊張と骨盤の不安定さを誘発します)
・骨盤の位置は適切か?
・背中・腰の部分が縮まりすぎていないか?(呼吸時における肋骨の柔軟性を妨げます)
・胸、そして肩部分があがりすぎていないか(→鎖骨や首まで緊張をもたらします)

などなど・・・(まだ書ききれませんが)

これらの項目は、楽器の適切な保持やスムーズな指の動きなどにも有効なのですが、
一番はすべて、
管楽器必須の呼吸のため、ひいては豊かな音のため、であります。

体のあちこちで変な力がかかってくると、豊かな音をつくる・深い呼吸のための筋肉が
きちんと機能してくれず、有機的な呼吸からどんどん遠ざかってしまいます。

◆◇◆

さて、今日はそんな呼吸に関するお話が本題です。(前置き長くてすみません)

私は自身のレッスンに、《アレクサンダー・テクニック》の考えを
(→演奏時の体の有機的なパフォーマンスの方法論・・とでもいいましょうか・・)
少なからず取り入れておりますが、今日はその中で私にとって大切な絵図をご紹介。

  



学生の頃から、
「楽器を吹くには、おへその下あたり(丹田)まで意識がないとだめだ、
動かないとだめだ、」などと、よくダメダメを耳にしておりました(笑)。

とはいえ、・・何が「ダメ」なの?
呼吸をする機能は胴体の上部にあるのに、なぜ下腹部まで?

こんな疑問をもたれた方、他にもいらっしゃるのではないでしょうか。

ですからこの絵図を見たときはまさに目からウロコ、
今までのギモンがポロポロ、いえボロボロとはがれていくのがわかったかのようでした。


仕組みとは、こうです。(表現が少しおかしいところがあったらすみません。。)

呼吸の大切なカギである横隔膜は、ドーム状になっており、

息を吸うときドームは「下がり」ます(左図:白い下向き矢印)
(腹式呼吸で吸息時にお腹がせり出すのは、息を吸うと横隔膜が下がり、
その下にある内臓たちが横隔膜に押し出されるからなのですね

そして息を吐く(音を出す)とドームが「元に戻る」。(左図:黒い矢印)
(だから横隔膜は通常早く「戻りたい・上がりたい」なので、長いフレーズなどを
コントロールする際は、横隔膜がすぐ戻らないように上手に圧力をかけていくのです)

そして!
横隔膜を動かす筋肉と骨盤にある筋肉(骨盤隔膜というそうです)は実は「繋がって」いて、
両者は一蓮托生・・だから、より深い呼吸には「丹田に意識」という表現が使われるのですね~。

呼吸のための筋肉システムとは、掘り下げて調べてみればみるほど、
なんとわかりやすい構造で、より身近と感じられるのだろう!と思いました。


これらの呼吸の仕組みをきちんと知り、自分の体とよく向き合いながら訓練すれば、
色々な情報におどらされる(?)ことなく、正しく深い呼吸法が身につけられ、
ひいては深く豊かな音、途切れない長いフレーズ演奏へと繋がっていけます。


ついつい練習やレッスン時に、目に見えやすい観点から気にしてしまいがちで(汗)
私もレッスン中に「あっ」と気づいたりして自己反省多々ですが・・・

これは深い音を効率よく出すには、すべての大前提といえると思います。


本当にこれらの呼吸機能をしっかり体に定着させるには、
最初のうちは、かなりの意識と訓練が必要かと思いますが、

(私は、グラーフ氏に出会い、彼の教則本『Check up』の講習を受けたことがきっかけで、
しばらくの間、そのCheck up(の1、2、3番)で呼吸訓練に取り組んでみました。)

最初は誰でも、呼吸で使う筋肉はまだきっと柔軟でないです。
でも、少しの意識から訓練して動かしていくうちに、根気よく頑張れば、
筋肉は柔軟性をきっと増してくると思うので・・
呼吸が浅くて苦しい~という方はぜひこの意識も参考になさってみてください!


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◆息遣い/弦の弓使い

2009-09-11 09:23:32 | 呼吸
昨日は夜から、19日の下北沢の教会でのコンサートの、
チェロとピアノと3人で初リハーサル。

ピアニストはおなじみの私のパートナー、そしてチェリストは、
前述しました東京フィルハーモニーの首席の金木さん。

金木さん・・こんな音楽の大先輩と一緒に
演奏させていただくのは、私は日本では初!

昼間にレッスンがあったので、今回はウォーミングアップも
練習も十分にしきれないまま、バタバタとリハに駆け込むことに
なってしまい、ちょっとリハ前は不安・・

しかしいざリハが始まったら、そんな不安もどこへやら、
目の前で奏でられる金木さんの音に圧倒!


チェロとの室内楽は、ドイツでも経験したことありますが・・
グイグイ音楽を引っ張るオーラは、ケタ違い!

最初にお隣でチェロの音が鳴り出したときは、正直本当に
鳥肌がたってしまいました。さすが普段、オーケストラで
先頭にたってオケを引っ張っていらっしゃるお方です・・


中でも、今回とっても勉強になったのは、弦の弓使い。


以前、管楽器奏者の間では、歌を意識することが息遣いや響きに
とても大切なことを書きましたが、この弓使いもまた然りで、

音楽の緩急ある中にも、弦楽器の弓のような、決して止まること
のない流れ・・そこを息に意識することは非常に有用なことです。



はじめは、金木さんのあまりの音の豊かさに圧倒され、
自分のこのお腹のエンジンで、果たしてこの豊かなチェロの音に
釣り合うのかと、大きな音を出そうと却ってあせる(汗)

しかしリハに少し慣れて周りが見えてくると、チェロの音色に
釣り合うようにとやはり知らずのうちに頑張って鳴らそうとし、
それに伴い体が少し緊張状態になってしまい余計鳴らなくなる
・・というガンバリ過ぎの自分に気づく。いけないいけない。。


金木さんのチェロのように・・ゆったりと深く、それでいて
エネルギーのある音色を出すには、まず体と視野をひろく
「開放」させること。(脱力すればいいだけではない。)

そして具体的には、体(特に上半身)と・・下顎の緊張が、
この音を「開放させる」ことから一番遠ざけてしまう
原因となることを再認識。


間近でその弓使いを見ると、その空気の動きをも感じ取れる。
チェロの弓使いに倣い、深くゆったりとしなやかな弧を描く
ように息を出してみる。

だんだん上半身の力も抜け、心も体も落ち着き、やっと
チェロとピアノの音と溶け合おうとする。



そういえば昔から・・もっと息をふんだんに使って!と
先生に言われていたことを、久々に思い出しました。

単にひとこと「息を使う」といっても、それはビューと
吹きつけるような息の単なるスピードと量のことではなく、

弦の弓使いのように、切れ目のない、とめどない、
「スウィング」のある長いたっぷりとした息遣い・・

「しなやかな」、とでもいいましょうか。


間近で弾かれる金木さんの弓使いに吸い寄せられるように、
自分の音楽も惹きつけられ、息遣いが変わっていく。

(多少、チェロにとりつかれたように吹きすぎて、息の量の
計算を誤った箇所もアリ、、そこはもう一度独自で見直し。。)



19日のプログラムは、トリオでやるのは
バッハとゴーベールとウェーバーなのですが、

バッハは特に・・原曲ヴィオラ・ダ・ガンバのソナタの、
ヴィオラと弾くチェンバロの右手パートを、デュオのように、
今回初めてフルートで試みます。

というか本当にデュオですから、チェロとフレーズ感を
合わせていかねばなりません。

そういった意味で、今回演奏するバッハは、管楽器で吹くバッハの
それよりも、弓使いに合わせもっとぐっとテンポが落ちたなかで、
時にはしっとり、時には軽やかに、時にはぐっと聴かせるバッハ・・

ちょっと息が難関といえば難関ですが
今までにない新境地です。わくわくしてます。

今まで孤軍奮闘していた独自の音楽観(感?)に、
ひとつ、とってもいいエッセンスを勉強させていただき・・・

この「しなやかな」息遣いは、19日までのあと数回のリハの
チャンスに、もっともっと定着するまでたくさん勉強させて
いただきたいな、と強く思うのでした!


なんにせよ、一緒に演奏してくださることをお引き受けして
くださった金木さんに、本当に心から感謝です!!


昨日リハをしてみて、このトリオを、ぜひたくさんの方に
聴いていただけたら・・と心から思います。

チェロやピアノやフルートの音色がお好きな方、
生の室内楽をホールの舞台などでない間近で堪能したい方、

あと当日は、演奏する楽曲についてトーク上手のピアニスト氏が
言葉巧みに楽曲説明を加えながら・・という、楽しく親しみやすい
コミュニティコンサート形式になっております。

昼の部も夜の部も、あと若干数席があるそうなので、
よろしければ、教会という現実の喧騒を離れた、心静かな
空間での生演奏を、ぜひ聴きにいらしてくださいね

本番まであと1週間ちょっと、本気で調整がんばりまっす!


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◆ 豊かでまろやかな音

2009-03-27 09:08:04 | 呼吸
先週、水曜のあおば音楽ひろば、そして日曜のデュオコンサート
にご来場くださった方々、どうもありがとうございました!

どちらのコンサートも、お客様が本当にあたたかく・・・
始まる前までは色々と心配もあったのですが、いざ舞台にたつと
お客様の笑顔にとても安らかな気持ちで音楽に集中ができ・・

毎回ながらやはりコンサートというものは、演奏者と聴衆の
一体でつくられる芸術空間であることを実感させられます。

この場を借りて、心からの御礼を申し上げます。
ありがとうございました!


さて、今回は初めて本番前に風邪をこじらせてしまい、
咳との闘いを強いられたわけですが・・

水曜と日曜、日曜には相当風邪が回復していたこともあり
二つの舞台を比べ、豊かでまろやかな音には、
胸式と腹式を両方使った「mix呼吸」の重要性をあらためて
痛感させられました。(ケガの功名・・)

水曜は、気道が炎症を起こしていたので、ちょっとでも息を
いきおいよく吸うとむせるので、胸郭の力を借りれず
仕方なしにお腹の支えのみで頑張らなければなりませんでした。

やっぱりフルートのあのまろやかな響きは、
胸郭の空間なしにつくられない・・・

胸郭の助けがないとたくさん息を吸えないので、
それだけ音も浅くなるし、伸びないのですね。


ここで一つ思い出したのが、フルートの巨匠P.L.グラーフが、
彼の公開レッスンのときにまず最初にテーマにしたこと、

それが、「胸郭、拡げられますか?」だった。


彼の著書・・・というか、フルーティストに必要不可欠な
20のベース練習を巧みにまとめあげている優れた教本、
「Check up」の1番2番には、まずその練習がきています。

1番が「腹式」のみを使った息吸い、音だしの練習

2番が、お腹だけでなく、胸郭も使った「フル呼吸」
(または「mix呼吸」)を使った練習


最初、グラーフさんからこの言葉が飛び出した直後の私は
どこのどの筋肉をどう使えば肋骨を動かせるのか・・!?
私の胸郭はまったく動いてはくれませんでした。

具体的には、肋骨の下のほうが、肺の拡がりに合わせて柔軟に
動く・・そこを拡げるような感覚なのですが、
当時の私の胸郭は、うんともスンとも言わず。

その日から、鼻で息を深く吸ったりして毎日練習。
(そうすると胸郭がぷわ~と膨らむ感覚を容易に得られます。)

そうこうしていくうちに、やっぱり筋肉関係は毎日の積み重ね、
いつの間にかコントロール可能になりましたが・・・


よく、自分自身にも、生徒さんにも、楽器を構えて音を出す
その前に、一呼吸おくことを重要視しています。

落とし穴になるのは「楽器を吹くのに姿勢をよくしないと」と
背筋をピンと伸ばしてしまうことです。

もうこれだけで実は、上半身が上ずり、背中の腰のあたりの
筋肉が縮みます。なので、一番拡がることが可能な、肋骨の
下の方の動きを遮ってしまうのです。

胸の前面はある程度拡がれますから、そちらは使えますが・・

けれど、本当に肺の拡張能力を最大限に引き出すためには
ピンと姿勢を良くしない!?胸も背中もほどよくゆるい、
構えの姿勢というのを考え、つくらなくてはなりません。


取り掛かり始めは、体の筋肉的にもまだ未発達状態なので、
最初はとても忍耐がいることですが・・

まろやかで豊かな音を目指すには、一見遠回りでも、
音を出してその音をつくろうと試みる前に、
呼吸の体の状態を見直してみることはいかがでしょうか。


追記:グラーフさんといえば、4月に来日されますね!
この「Check up」等彼の著書を使った講習会もあり、
久々に彼の生の言葉・・しかも御歳80歳の熟練の極み!
とても楽しみです。またご報告します♪


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◆ まず息ありき。

2009-02-14 09:37:26 | 呼吸
今までのブログにもアンブシュアや姿勢、構え方等々をよく
テーマにしたり、レッスンでもそのあたりの課題に集中して
言うときもある自分ですが・・

だからこそ、こちらに普段習いに来てくださっている生徒さんに、
そしてここをフルート奏法のお供にしてくださっている方に、
そして時として、
吹き方悪循環のスパイラルにはまっている自分自身にも!
このブログという機会で言及したい・・

よく陥りやすいワナが、
アンブシュアや構え方に時として多分に固執しすぎるときに、
肝心の事がおろそかになってしまう、ということがあることを。


それが「息の出」、そしてそれに伴う「姿勢」です。

良いアンブシュアや構え方というのは、
いい音を出すための数あるポイントの「一端」です。

管楽器が息を使って音が出る以上、大元の大切なことは、
息が管にまっすぐ伝わるよう 「まず息ありき」

そしてその上で、体や口の中、息の出口(唇)が息の通り道を
邪魔しないような環境をつくっていくこと・・。


さて、「息」に関して、二つ挙げたい大切な点は、

1.吸う息を充分深くすることで、音となる吐く息が充分な深み
  と量、そしてスピードが出る。

  (そして、横隔膜とそれにまつわる呼吸に使われる筋肉も、
   同時に活発に活動しはじめます。ここから、いわゆる
   「支え」といわれるものにつながります。
   無理に胸・胴回りを緊張・硬直させてしまうことは、
   かえって息の循環の妨げになりますのでご注意を・・。)

2.豊かな音の元となる息を出すには、息が、体のあちこちで
  邪魔されないように、空間をつくること。


1.に関しては、吹奏前の息の吸い方が浅い場合を見かけます。

この場合は、ノドがほどよく開いていないことも原因になり、
(時に「ヒー」という高い吸う音も伴い)そういう場合は大抵
体の空間的にも、深い音を出す準備が体の中で出来きって
ないまま、音を出してしまいます。

それに関連して2.は、息が瞬時にたくさん入るために、
口の中、気道、そして、肺がよく膨らめるように胸郭、

これらを程よく無理なく拡げて、息が深くたくさん入る準備を
体がしておかなければなりません。


人間の肋骨は、呼吸の量に応じて、柔軟にその胸郭の広さを
対応できる、実に巧みなしくみを持っています。

息がたくさん入れば、肺はふくらみ、また肋骨=胸郭も
―そのとき背筋などに力みや縮みがなければ― その肺の
拡がりを助けてくれ、結果肺の中にたくさん空気が入るのです。

またこれは、日々の意識でも、肋間筋など肋骨周辺の筋肉を
動かし、この胸郭の広さをある程度自分自身でコントロール
できるようにもなります。
そのときには、音の深みはより一層増しているでしょう。

またそれに伴い(今日は簡単な述べ方に留めますが)、
後の息の通り道である、気道と口の中も・・気道は、その咽頭の
筋肉を緊張・収縮させてしまうと気道が遮られてしまいます。

口の中の方は、上下の歯の間をもう少し開けたり、
舌が口の中で宙にういて口の中の空間を狭く邪魔したりしない
ようにして、最大限に、肺からの息が楽器まで邪魔なくまっすぐ
伝わるような環境をつくってあげねばなりません。


総合すると、順番的には、2の、息がたくさん出入りできる
(支えもつくられる)状態を体の中でつくり、そして、
実際吹奏時には、「体を力ませること無く」深く、沢山吸い、
その上で充分に豊かに流れる息を楽器に送り込んであげる・・

この、音作りにとって一番かかせない息のことを、
フルートを吹くときに、頭のどこか片隅にかならず自覚して
おきたい一つと思っています。



“人の心に響く音楽”とは、
河の流れのような、時に、ジェットコースターのような!?
Spannung [独:緊張(盛り上がるという意味での)] と
Entspannung [緩和] の連続です。

そして演奏で使う呼吸もまた、奏でる音楽同様、
曲の始まりから終わりまで、止まることなく・絶え間ない、
Spannung と Entspanunng の連続なのです。


「いかに吸うか」で次の出る音が決まる、といっても
過言ではないかと思います。

少し、普段の練習で楽器を構えてから音を奏でるその直前に、
このことを思い出して練習にとりかかってみてください。


フルートの巨匠P.L.グラーフが、この練習のための
すばらしい教材『Check up』という本を出していますので、
いつかご紹介&解説を書かせていただきたいと思います。


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◆「管楽器は息で音楽をつくるのだ。」

2008-09-17 11:53:10 | 呼吸
・・これは、ドイツ留学時代に、室内楽のレッスンを、
その市のオーケストラ首席ファゴット奏者に木管重奏を通して
習っていたときの、その先生の言葉です。


この言葉は当たり前でありながら、実際そこにこめられている
本来の意味をまじめに考えてみると、意外と果たして、
自分は本当にできているのかと自問してしまいます。

◆◇◆◇

その先生の室内楽レッスンは、先生自身も一緒に
ファゴットとして演奏に加わる非常に貴重なものでした。

しかし、レッスン始めたての半年は、
うまい先生を前に緊張して、悲惨たるもの・・。

木管アンサンブルの場合、かなりの確率でフルートが
曲の出だしを与えなければいけません。

楽器を構えて、息を吸おうとした途端に入るストップコール。

「それじゃぁ、わからん。」

・・まだ音も出してないのに、ナゼッ!?


もう一回トライ。またストップコール。

「わからないよ。僕たち 他の奏者は、Yoriのその吸う息の長さや
速さで、曲のテンポや、その曲がどういう雰囲気なのかを
一瞬で把握しなきゃいけないんだよ。

第一、他の奏者に”いくよ!”っていうアイコンタクトすらせず、
一人で曲を吹くのかい?
この曲は何人いて初めて一つの曲になるんだい?」

吸う息から、次にどんな雰囲気の曲が流れ出るのか
読み取れない、と先生は言う。

(私はこれをきっかけに、それまで意識が甘かった呼吸法に、
本格的に疑問を抱きはじめ、メスをいれなおしていくのですが・・)


そうなると、指揮者の振りや弦楽器の弓を思い浮かべると、
わかりやすいかもしれませんね。

どんなテンポか、どんな雰囲気なのか、
指揮者は音が鳴る前の振りで、オケ奏者にそれを示す。

そして音楽は、その曲が始まってから終わるまで、
流れてとめどない。

(無音空間だって、一瞬の静寂の緊張でありながらも、
その静寂の後には次が待っている。
音楽自体の時間は止まっていない。)

その、彼らの振る”弧”はその曲の雰囲気に合って、
音が鳴っている限り、とめどなく弧を描く。

その弧が、音楽を作る。


そして管楽器は、その弧を息で作る。

ということは当然私たちは、音の出る前の振りだって、
指揮者のように、弦楽器の弓のように、
吸う息でもってそれが成されなければならない。

ゆったりした曲であれば、深くゆったりした吸気を、

早くて元気な曲であれば、弾むような吸気を・・・


その吸う息・・・いわゆる音楽の準備が、
吸い方が充分でなかったり、浅かったり、力んでたり(主に肩)、
はたまた暴力的・・など、無頓着であったりしては、

その次に出てくる音・音楽の出だしは・・音は出ても、
もちろんその音楽にそぐうものではおそらくありません。


「管楽器は息で音楽をつくる」


そのファゴットの先生からは、管楽器における、
「呼吸と音楽の、本当に大切な意味での密接なつながり」を
教えていただきました。

またそれと関連して、呼吸法、室内楽の極意なども・・

楽器は違えど、楽器というジャンルを離れ、
「音楽」における大切なことを本当にたくさん学びました。


フルート(管楽器)において、

前回のテーマであった「頭」―意思や想像力―

そして今回のテーマ「息」 ―呼気も吸気も―

この二つは自動的に私たちの体内で関連し、
それがどれほど音楽に命を吹き込むか。

指や音をきれいにする練習をしつつも、
常に念頭においておきたいテーマです。


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