◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ソルフェージュ力(りょく)とフルートを吹くこと

2013-02-16 00:07:25 | 大切なこと
発表会というのはいいものです
あ、いえ!準備は、生徒さんも先生もめちゃくちゃ大変!
寿命が縮んじゃうんじゃないかと思うほど…(苦笑)

でも、終わったときに、また次に向けてやりたいこと、欠けていること、目標など…
あれこれと見えてくる。結果的に、本当にやってよかったと思えたということです

他の生徒さんの演奏も一挙に聞けるので、色々と刺激にもなりますし、
吹いてみたい曲探しにもなりますしね

生徒さん、発表会が終わって気が抜けるどころか、「もっとうまくなりたいと思いました!」とか
「今度この曲を吹いてみたいです」など・・・意欲が次に向けてアップ!?
とっても嬉しい限り~
いっつも痩せる思いのクラスコンサートですが(笑)痩せるのは大歓迎だし!?
今後も、頑張って例会化していきたいと思います

◆◇◆

さて今回私にとっても、皆さんの本番を聞きながら、自分としての教える方向というのもまた
一つ明確な目標が打ち出せまして…

それは、「ソルフェージュ力(りょく)」 と、フルートの関連性です。
(フルートだけでなく、すべての楽器に共通のことだと思いますが

まず、ソルフェージュとは?

「楽譜の視唱、音程やフレージングなどの総合的な学習」・・・

ちなみにwikiには、こんなことが。

「楽譜を読むには、音の高さの要素と、リズムの要素、その他の要素に分離し、
それぞれ正確に把握することが必要である。音の高さは、音符に音名又は階名を付けること、
音程を把握することである。音名または階名には普通ドレミ(イタリア音名)が用いられる。」・・・
うぅーむ。

しかし、そう、この「音程」・・・
音同士の幅、といいましょうか。

フルートにおいて、指と息はあたっていても、音程、響きとしてはあたっていない
(→管が十分に鳴り響いていない)ということは、意外に問題として大きいものです。

例えば、ゆったりな美しい曲。
指の動きは特に問題なくて、吹けているのに・・・でも何となくしっくりこない、不恰好な音楽、
流れがしっくりしてない、音程が悪い(何だかオンチ)、思う音色で音楽が流れない・・・

あるいは速い曲でも、指を練習しているのに、まだつっかえる!うまいこと流れない!

・・・これらはきっと、大抵が要ソルフェージュ。

"フルートを演奏しながら、先行して、頭の中で歌うこと(そのメロディを流すこと)"
これが、非常に重要なのではないかと私は思います。

(もちろん、ただやみくもに歌うだけでは…で、楽器を扱う技術そのものや、
その音楽を担うハーモニーのしくみ・流れなど、それぞれもちろん勉強すべきことですが・・・)


ソルフェージュって、小さい頃からの訓練が必要…ってよく言われますよね。
もちろん、音感的なことは、与えられた環境があるならば、
小さい頃からやるにこしたことはない、でしょうが・・・

でも、どうなんでしょう?
これって、大人になってからだって、ご本人のホンキのやる気次第で、
決して絶対的に不可能なことではない、気がします。

ちなみにうちの生徒さんは、フルートですから、一番小さい子でも、小学生。大半が大人です。
けど現に、ご本人の興味次第、(そして指導側の気力!?)で、歌うことにまず慣れれば、
読譜にも慣れ、歌えるようにもなってきています。

そしてそれは見事にフルートを用いた上で、スムーズな流れの息が出、自然な音楽ができる・・・
ことに、繋がっているのですよね。本当に!!


とはいえ、歌うことを躊躇したり恥ずかしがる方は多く、そもそも歌が苦手、音程がとれない・・・
そこが悩みどころな方も多いと思います。

けれどもし本当に、フルートで美しく音楽を表現したいとしたら、
そこの恥ずかしい壁は最初の試練として!?勇気をだして、取っ払う!

歌うのに階名(ドレミ)である必要も、別にないと思うのです。
そんなこと言ったら、ドレミ文化ではないドイツ人などはどうしているのでしょう
(ドレミ使用はイタリアやフランスなど)

ラララ、で良いので、とにかく、なるべく音程を正確にとってメロディをつなげていく練習から

それでも壁が高いという場合には、そこは、もしかすると指導者の力がいるところ!?
最初に指導者の手解きがあると、苦手な壁を打ち破る良いきっかけとなるかもしれません。

フルートの先生の方も、率先して積極的にレッスンに歌を取り入れるべきだと思うのです。
10のごちゃごちゃした説明より、たった1回でも歌ってみること!?結果が、早く出ます。
(↑自分自身に言い聞かせていたりして)

「フルートのフレーズを頭で歌い慣れること」、ぜひトライしてみてください。
まずはとりあえず、ドレミファソ、をラララララ~と!?
喉と頭が音程に慣れてきだしたら、フルートの楽譜のフレーズを歌ってみることに挑戦。

そして最後に、頭でメロディを頑張って流しながら実際にフルートを吹く!

最初は、うまくできなくたって全然いいのです
でも、やらないことにはゼロのままですし、とにかく慣れだと思っています。
わからなかったら、教わっている先生に思い切って指導を仰いでみてくださいね

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◆ 厳しい環境下だからこそ得られたもの

2012-04-04 15:09:38 | 大切なこと
大変、ご無沙汰を致しました・・・

前回のブログから、だいぶだいぶ久しい更新となってしまいました。。

とはいえ、音楽活動がストップしていたわけではなく、
むしろ、ここ数カ月はかつてないほど!?慌ただしく活動期を過ごしておりました

ホームページで近況のコンサート情報は何とかぎりぎり更新していたものの、
ブログは、書く内容がいつもかなり表現の慎重を要する?ものだったので、
育児の片手間ではとても書けず・・・・
ブログを楽しみにしていた皆さまには、本当に申し訳ありません


ムスメが9月に産まれ、新生児のとき、
あれはあれで初めての育児なので余裕がなかった・・・

でも6か月も経てば、けっこう余裕が出てくるもの!と、期待し夢見つつ頑張っておりましたが、

しかし!
アマい!!

ムスメちゃんはだんだん人の顔がわかるようになり、欲求も出て・・、
今ではもう、片時でもそばを離れようものなら、「ンギャーーーー」と泣く始末

あれこれやることがあって心は焦るのに、体が、それはそれはあかない日々。
携帯で仕事の返事メールすらロクに打てずに、時間ばかりが過ぎていく。。

年が明けて本格的にコンサートもレッスンも復帰したら、
もう、もう、すべてがめいっぱいの余裕のなさで
生徒さんや色々お仕事先の方々には、だいぶご迷惑をおかけいたしました



しかしこんな状況に限って、コンサートは嬉しい悲鳴!?で(普段であれば)、
2月・3月はほぼ毎週、バラエティに富んだプログラムで、舞台に立っていました。

しかしうちの赤ちゃん、3か月過ぎたころから哺乳瓶&ミルクを完全拒否。・・・
要、2時間ごとの授乳。

中には京都での遠征公演もありましたが、
気合いの子連れ公演 & 楽屋で授乳・・・

・・・いやはや。
世の中の、赤ちゃんが産まれた女性演奏家の大変なこの経験を、まさか自分もしようとは・・・。


以前は自分単体であるにも関わらず、毎回が余裕のなかったコンサート。

これに赤ちゃんが加わって、練習時間がとれないことはおろか、
本番も前後で赤ちゃんの面倒を見るなんて!!

どんな状態で本番に臨むことになるのか正直想像がつかず、
本当にコンサートを乗り切れるのかと大きな不安もありました。

が、母は強し?  はたまた、火事場の○○ヂカラ!?

自分でも驚くくらい、この勝負時を順調に乗り越えることができました。
しかもいつもより良い結果だったのです。

(もちろんこれには、家族や共演者様のあたたかい協力があったればこそ!ということも、
感謝とともに特記せねばなりませんが・・・m(_ _)m)

◇◆

これは何故なのかと、自分なりに取り組んだことを、ちょっと書き留めておこうと思います。
この限られた練習の厳しい状況下で、どう本番に向けて臨んでいったのかを。


環境的には以前より相当厳しく、練習時間などなかなか確保できないことはもちろんのこと、
一人になれる時間すらほとんどありませんでしたが、

でも逆に、だからこそ、日々の練習やメンタル部分の対策に、
いつも以上に向き合って考えて、テコを入れなおしてみました。


それが、効果に出たようです。
舞台での本番では、かつてない集中力で、演奏しきっている自分がいました。


一日は24時間あるのに、練習にとれる時間がない。
(うちは、21時までしか音を出せないので、赤ちゃんを寝かせてから・・が無理なのです

さらにあまりの寝不足っぷりに、ちょっとでも自分の自由な時間が許されるなら、
まず眠りたいのが正直なところでしたが・・・
今回は特に、共演者の方々に対しても迷惑をかけられない!とプレッシャーもあったので

とにかく、朝に30分、練習時間をください~!と夫に頼み、
(夫もピアニストなので、練習時間が欲しいのは一緒ごめんよ~

そしてその30分ですることは、とにかく短期決戦!の基礎練習。

毎日必ずしも同じ題材というわけではなく、
そのとき自分に必要な弱点の課題を中心にカリキュラムを組んで。

ソノリテやタファネル・ゴーベール、ライヒェルトなどを用いて、
ロングトーンは、ppやf、cresc.やdim.・・・ととにかく、あらゆる表現のバリエーションを凝らして。
特に今回は、管の長い部分にあたる中音域の右手エリアの音鳴らしに時間をかけます。

それから発音練習。
タンギング練習。
音階、分散和音。レガートだったり、アーティキレーションつけたり、スタッカートだったり。

とにかく、ほぼ毎日この基礎練習だけは、欠かさず行います。

あとは、最悪そのあと日中練習できないときも多いので、
あとはもう生活の片手間、フルートを用いず楽譜を読む(楽曲の勉強)。
それから、かつてないくらい!?の本番に向けてのメンタルトレーニング。

”メンタルトレーニング”は、・・・というとおおげさかもしれませんが
とにかく毎日少しでも集中した練習で丁寧に吹くことを欠かさないことで、
吹くコンディションを保つ = 自信も保つ?こと。

それから、本番に対して、不安感や「こうなったらどうしよう」というような、
とにかく、”いかなる”ネガティヴ思考も頭をよぎらせないようにすること。
よぎりそうになったら、とにかく急いで打ち消すこと(笑)。
「大丈夫」と自分に言い聞かせること。(不安要素が例えあっても)

↑こんな単純なことで、出来たら苦労ないよ。。。と思われるかもですが・・・。
(というか、私も、そう思っていましたし。)

しかし、スポーツ選手のあの、一発勝負の世界における凄い集中力、

そこを大いに参考にしたく、色々な文献を読んで学んでみたところ、
大体にして上記のような、「欠かさない丁寧な練習」と、「ポジティブ思考」に
大きなカギがあるように思われました。


人それぞれに違いはもちろんあると思いますが、
少なくとも今回の私は、このことをとにかく淡々と忠実に!?準備したおかげで、
コンサート当日はむしろ今までにないくらいの大きな集中力を舞台上でつくることができました。

本当に、とても良い経験でした。


人は誰でも、多かれ少なかれ、大きな場の前には緊張というたちはだかる壁があり、
その乗り越え方は人それぞれだと思いますが、
今回の記事が、何かのお役にたてれば、幸いです

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◆ロングトーンはなぜ・何が大切か?

2010-10-26 10:36:02 | 大切なこと
ロングトーン

曲を吹く前に、体を「フルートモード」にもっていき、
運指に神経を邪魔されることなく音をつくり、整えるための
必須の基礎練であることは疑いの余地もありません。

(楽曲を吹くときには、すでに体と音は整った状態で、
その楽曲の表現のほうの練習に、集中力を費やす必要があります。)

問題はその内容(汗)


以前ドイツで、オーレル・ニコレ氏のマスタークラスで、とあるドイツのフルートの学生が
(もともと美しい音にも関わらず)ロングトーンにほとんどそのレッスンが終始し、

その、ニコレ氏の耳の厳しさと、受講生に対しても決して妥協を許さない姿勢に、
強烈な印象を覚えています。(しかしあの妥協しない、あきらめない演奏家魂・・あれは本当に、
フルートを吹く者の心がけとして、その後の私にとても良い転機となりました)


モイーズの「ソノリテについて」の、あの、始まりのロングトーン。それだけで。

何度も何度も、シ~#ラ~の一課題を、

「響きが上に行ってない」 に始まり、
「音の方向性がわからない」
「その音には、どんな感情をこめて吹いているのだ?」
「響きの最高に美しいmf」「次はff!」「pp!!」「ff>ppへ!」

それはもう、様々な課題・・いえ、目標ですね、目標をもって、次々とロングトーンをさせます。
しかし、あぁ、ギャラリーを目の前に追い込まれて、憐れな受講生・・(涙)焦りますよ、あんな状況・・

(さらにその後、やっと、曲にいったか・・と思いきや、ヘンデルのソナタのハ長調1楽章の冒頭、
ド・ミ・ソ・シ・ド・・の、最初のドからミに移るその二音間で、音にひずみがある!とさらに数分・・(泣))


ロングトーンは、音を美しく整えるために必要不可欠な練習とされていますが、
音をルーチン的に(”こういう響き”という目標なしに)ただ伸ばしているだけでは、
吹いているうちに音が自動的に美しく成長するなどありえない、

すべての音に、自分の心と頭からしっかりとした”Meinung(意見・考え・・意味?)”
をもって音を出すことに臨まなければ、「音楽たる音」は出しえない、と・・。

(これには色々な意味があります。曲のキャラクター的な角度、それから調性、そしてハーモニー・・

 少し掘り下げて説明すると、例えば同じ「ド」を吹くにも、
 ド・ミ・ソのハ長調の明るいドなのか、あるいはラ・ド・ミの暗い響きの中のドなのか、

 はたまた和音の中でその音が根音なのか、第3音目なのか、一番上の第5音目なのか・・
 それによっても、響き(実際的には音程の高さや倍音)が微妙に違います。)

 ・・ここまで細かく考えるのは、本当に究極の理想ではありますが
(しかしバロックや古典の曲を本当に理解して吹くには、やはり避けて通れないことでしょう)

◆◇◆
ちょっと深く掘り下げたマニアックな話になってしまいました
違う角度からもう少し具体的な話に話題を戻して・・(汗)


ロングトーンにしろ、
そしてそれからこれは、さらに音階や分散和音などのテクニック練習の時にもですが、


基礎練習とは、
「適切な条件で、各音に対し、適切な息運びできちんと楽器に息を送れているか」
を、自らの耳で、本当によく一音一音に集中を払いながら、チェックしながら、吹くことです。

「適切な条件」とは、
上半身・肩まわりや腕・下半身の姿勢が、どこの筋肉も特別に固く縮んでいることなく、
常にしなやかでニュートラルであること、

また、豊かで深い呼吸のために、体(胸郭)の中は広く、
そして横隔膜が柔軟に動けるよう”お腹を固めすぎない”弾力性の備わった状態が整っていること、

口・唇の形が、引っ張ったりしめつけすぎたりせずに、下顎がほどよく脱力、
そして口の中はほどよく空間があき(上下の歯の間が狭くない、舌の位置が浮いていない・・など)、
両の唇ではきれいな適切な大きさの口の穴(息の出口)が作られていること、


それらの、音を出すための条件下で、後は一音一音が美しく響いているか…
自身に厳しく、良い音を出したい貪欲さで、一音一音出すことです。

・・・もちろん今上に簡単に書いた「条件」の一つ一つを満たすことの、
どれも一筋縄にいかない経験者の筆頭は自分です・・


最初はなかなか前に進まず、辛い時もあるかもしれませんが、集中力!
そして慣れも肝心で、そういった「細心の注意」と「飽くなき音への欲求」は、
紆余曲折を経ても、良い結果に結び付いていくでしょう。


ロングトーンなど基礎練習時間の、ひとつの大きな指標・・の今日のこのお話でした
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◆「マルセル・モイーズとの対話」

2010-10-09 18:59:10 | 大切なこと
なんと一か月(近く)ぶりの更新!
・・・このたび自分のレッスン教室で初発表会を催すことと相成りまして
そろそろ本番も近付いてきたので・・
レッスン毎時間が、集中力勝負!プラス けっこうたくさんの雑事!(泣)

なのでなかなかこちらの更新に時間がとれず・・・

でも生徒さんそれぞれと、舞台のためも視野にいれながらの音楽をつくる共同作業は、
いつにも増して充実度アップ

この貴重な舞台経験が、生徒の皆さんにとって、
緊張しつつも!?有意義で楽しい経験となりますように・・

◆◇◆

さてさて、今日は土曜にしてはめずらしく早くレッスン終了☆

外は激しい雨
こんな寒い日は、出かけずに、家でゆったりと体と心の保養をしますか

ということで、
現在行われているショパンコンクールのライヴをネット上で聴きながら
(便利な世の中になったものですね

「モイーズとの対話」という本をご縁あって読んでいます。



フルートの巨匠、マルセル・モイーズ。

日本では特に、「神様」と言われ、私も昔は「ソノリテ」を筆頭に、彼の膨大な著書を、
いったい何冊がむしゃらに勉強したか・・

しかしその後渡ったドイツでは、本当に不思議なくらいにモイーズの存在はきかず
どころかむしろ大学時代にたくさん勉強したはずのフランス音楽もだんだん縁遠く・・!?
だんだんドイツ色にそまり・・

そして日本に帰国して、しばらくドイツ音楽を主なレパートリーに過ごしてきたわけですが、

ここ最近になって、あらためてもう一度、
あの若い20代の頃とはまた違った感覚で、モイーズについて向き合い、
彼の音楽感、フルートイズム(!?)、きちんと対峙したくなったのです。


本を開き、その序章部分を読んだだけで・・・
彼の、フルートという範疇にとどまらない「音楽家」としての言葉に、
非常に強い感銘を受けてしまったので、ここに少しだけご紹介したく思います。


  「・・・フルートにおけるテクニックなど”無”にひとしいものです。・・
  テクニックにおける効果についていえば、最良のフルーティストでさえ、
  最良のヴァイオリニストにくらべたら”無”にひとしい

  真のフルーティストになるための唯一の道は、音楽を愛し、表現する方法を会得し、
  フルートの特別な、独特の性格を発展させることにあります。

  ドビュッシーやラヴェルのように、フルーティストには彼らと同等に
  名をかかげられる者がいません。私がいつも深く心にとめているのは、

  作曲家と音楽に対する深い尊敬と称賛であります。
  しかしこのためには、その神のような創造者に対する深い愛と、
  崇拝と献身とが必要です。・・・」


私もずっとフルートという楽器に取り組みながら、苦しい部分を持ち続けています。
だから、この文の言わんとすること・・巨匠には到底かなわない、
けど、何かとても理解・共感できるのです・・

その苦しい部分、とは、
フルートは、その音色などの特色から、実のところ
ヴァイオリンなどには到底かなわない限られた役が強いられていて・・

特に昔の楽器は今ほど機能性に優れておらず、音程などもあまり良くなかったので、

だから、ベートーヴェンやモーツァルト、シューベルト、シューマン、ブラームス・・
音楽的に充実した天才的な作曲家が、なかなか(というかほとんど)フルートの曲を
書いてくれなかったのではと想像しています。

(システムが進んだ今のフルートなら、もっと書いていてくれていたか・・などは
不毛な想像でしょうか・・。)


また、フルートなど単旋律楽器は非常に危険な落とし穴があって、
しかもフルートという楽器は、運動機能にとても優れているため、
特に近年の曲は旋律だけで(テクニック的に)難しい箇所が多く・・

旋律を(技術的に)吹き遂げるだけに練習の労力を使い果たしてしまい、
ピアノなどと一緒になって初めての、”音楽そのもの”に向き合う時間が実は結構少ない。


  「・・テクニック、それはないよりはあるほうがよい。
  音楽における音楽性、スタイル、美しさ、表現というものはもっと意味があります。・・・」

中には、音楽の流れ(抑揚)の基本である、和声の「T-S-D-T」を知らない
職業的フルーティストも残念ながら時々見受けられます・・。

(あえて懺悔すれば私も、ドイツに行ってあるすばらしい指導者と出会って初めて、厳しく指導を受けました。
もちろんこのことは、生徒側にも指導者側にも、根気と労力がいることですが、
これは音楽表現の基礎、美しい音楽を奏でるためには、
もっと、このことをきちんと教えるフルート指導者が増えることを願ってやみません・・。)



さて今このモイーズの本も、「演奏論」に読み入ったところですが、
これがまたもう・・!

読めば読むほどに、
モイーズ氏の、フルートを通じて音楽を奏でることの苦悩と葛藤と、しかし精神的充実と、・・
とても深い言葉が書き並べられています。

また、読み込んで咀嚼して、ブログに熱く語るかもしれません。


今、非常に慌ただしい時間の流れに、ただただ流されやすく過ぎ去る毎日ですが・・
この秋の夜長(?)に、久々にドイツでのゆったりとした時間を思い出しました。

こうやって、静かに本を読んで、「教養」という名の栄養を得、音楽に思いを巡らし、
時間に制約なしにゆったりした心持で存分に練習し、
とことんその天才たちの書いた音楽の、音楽表現追求に向き合う・・

こんな風に、私はドイツでの5年間を過ごせてきた。

(本当に自由になるお金がもてず貧乏だったけど・
宝のような時間だったな、と今更ながらの感謝と、そして今に対する反省と・・

そんな、ふと秋の冷たい雨の夕べでした
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◆フルート音痴解消!?

2010-09-16 16:27:09 | 大切なこと
今日は涼しいですね!

夏の間上がりっぱなしだったフルートの音程も!?
これから冬に向けて、調整具合が少し変わってくることでしょう。


さて今日は、その音程に関するお話です


普段一人で練習している分には気にならなくとも、
いざ、ピアノと合わせたり、フルートや他の楽器とアンサンブルしたり…

そんな時に、音程は急に一番深刻な問題として浮上してきます

今私の教室でも、10月末の発表会に向けて…
ぼちぼちとピアノとの合わせを含めた練習も始まっているので、
生徒さんにとっては現実的な問題となって!?日々取り組んでいますが


音程を合わすのに、最終的に一番理想の目標は、

自分の吹いている旋律中に、
その時はピアノなどでどんな和声(ハーモニー)が鳴っているかを把握し、

さらには、その音楽の(ピアノの伴奏の)ハーモニーの中で、
自分の旋律の音が、その和音の中のどこの位置の音(和音の第何音目か)なのか・・・

ここまで頑張って自覚できるようにすると、
ピアノのハーモニーに溶け込むよう、耳でよく聞きながら音程よく吹けます。

…んが!(^o^;)
それが、、言うは易し、行うは難し!
(しかし、そうまず心がけるのは大きな大きな一歩ではあります)


そこでやっぱり助けの手立てとなるのが、チューナー。

チューナーとは、吹いているときの音程が高いか、低いかを
メーターで示してくれる、音程測定の機械です。


チューナーを使うと言っても、
吹奏楽部で残念ながらよくみられるような、
いつでもなんでも!?響きを無視し、倍音を消してしまってつぶれた音でも
メーター0に合わしてしまうような使い方ではなくて、

(昨今の吹奏楽部の練習で、非常に多くこのケースを見ますが…
常にチューナーを気にし、見ながら練習することは、
メーターをみる目に集中がいってしまい、
本当にそれがよい響きか、耳を使う能力が育たず…
そんな使い方は却って、大きな危険をうみだします。

せっかくの若いうちの、耳が育てられる柔軟な時期に、
この方法は非常にもったいないように思います。。)

かといって、、ではフレーズの、
ピアノと合わない"なんとなく音痴"(^^;を克服するには!?


さきほどチューナーに頼りすぎの危険さを述べましたが、
チューナーも上手く利用すれば、大きな音痴改善の武器になります

もちろん、練習の傍らにいつも一応電源ONで、
時々、フレーズの終わりや伸ばしている箇所で横目でチラと
確認するのは音程を気にできる良い練習ですが、

講習会でのレングリさんからヒントを得、
私自身も普段の練習に使っている練習をご紹介します♪

チューナーを用い、なおかつ響きを損なわない、
上手く早く音感を得られるよいトレーニング…。


チューナーを用いながら、その音、その旋律を"歌い"ます!

あんまり速いフレーズは歌えませんが、
こと、音程が気になるような場所というのは
えてして長く伸ばしている音や、ゆったりと歌うフレーズです。

まずは歌うことで、音程をとり、定める練習です。


さあ実際、何となく自分の中でうまくいかない音、あるいは音の跳躍を
チューナーを見ながら歌ってみましょう!

…どうですか?
最初、メーターが激しく左右に触れてしまいませんか?
(一発でふれなかったら凄いです即フルートに戻りましょう!)

Stuetze(横隔膜の支え)を使わないと、
メーターが左右にガクガク動くのがわかります。

また、チューナーを用いながら歌う際、喉に軽く手を触れながら歌ってみると、
案外…首がカタイ!?かもしれません。

首の筋肉をこわばらせて歌っている場合、
これが下顎、及び首・鎖骨周辺が緊張している証拠です。

きっと歌ってみてかたい場合、またはかたいところなどは、
フルートでも同じことが起こっているかもと考えられます。


歌とフルートはお互いとてもリンクしています!

フルートを吹きながら私たちは、
自分の首の緊張状態をさぐることはなかなか困難ですが、

歌うことは手で首の状態を探れますから、
自分が喉をどう使ってるか、また、フルートでむずかしい音の移動など、
意外と歌うこと&喉に触れて筋肉の動きを知ることで、
あらたな発見があるかもしれません!


歌うことは、音感や音程、音楽の流れ、音の響きや呼吸…
すべてに良く通ずるオールマイティーな練習手段です

ぜひ、普段の練習に積極的に取り入れてみてくださーい(^-^)/♪
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◆歌うこととフルート

2010-09-04 10:20:17 | 大切なこと
9月に入ったというのに、まだまだ残暑厳しいですね!(+_+)


さてさて、

前回の、軽く口笛を吹くようなアンブシュア→
下顎を緊張させず、ほどよく脱力させながら吹く…
にリンクした、次のテーマです!(^-^)/


下顎の緊張は、自身では気づきにくいですが、
フルートを下顎につけると、案外気づかぬうちに起こっている場合があります。

もしかして自分の音、締まっているかも…?と心配な方、

喉(首)に手の平全体を優しくあてがいながら、
フルートを吹くアンブシュアをしてみてください。

引くようなアンブシュアなど、早い場合は、この時点ですでに
触れた手に喉の筋肉にひきつりを感じるかもしれませんし、
あるいは
そのまま、(フルートを吹くときのように)息を吸ったり吹いたりしてみると
その動作の中で、緊張を感じるかもしれません。

本当は、フルートを左手片手で持てる場合は、
実際にフルートを左手で構え、(ソかラかシの音で)吹きながら
右手で喉を触れられると、より実際的に、フルートを吹く際に
自身の喉に余分な力が入っていないか探ることができます。

(本当は…手の大きさにも拠るので、無理は禁物ですが、、
左手片手で持って吹けるくらい、楽器のバランスを"若干"外めに
構えるほうが、下唇・下顎を押し潰すような圧力が内側にかからず、
顎の自由性も増し、音も向こう側に飛び、吹くためにはよいです…)


さて、
吹こうとする瞬間・また吸う瞬間に
首の筋肉に少しでも緊張の動きが認められた場合、
それは、下顎の緊張と繋がっている場合も多々あり、
実際に音を出してみたら固い音となって現れているでしょう。

下顎と喉の筋肉はつながっています。


ここで少しそのための練習をご紹介(^-^)/

始めは楽器を使わず、どの音でもいいので、
自分にとって"低め"の、気持ちよく歌える音を、歌ってみてください。

なるべく、小さすぎない・美しい響きを伴う豊かな発声で。


さてその際、喉元を手の平でさわりながら歌ってみましょう。

歌う際、また、吸う際、喉にこわばりはありませんか?

もしこわばっていなければOK!話は早いです(^-^)/

そのまま、その喉元の脱力感で(少し拡がり感があればなおのこと○)
フルートを用いて吹いてみましょう。


もし、こわばっていたら、
少ーし、下顎を落としながら(歯と歯の間・口の中をもう少しポカンと開け、
舌を軽く下歯列の中に沈めます)
喉元がやわらかく下に下がるのを感じられたら、
もう一度歌ってみましょう。

…先程より、深い歌声が出ましたでしょうか?

(喉を無理に開けようとすると、下に下げすぎてこわばるケースもあります。
そういう場合はこわばりがとれるまで、無理な下顎の下げを、
筋肉が弛むまで、自然な自分の顎のポジションに戻してください。)


喉に過度な緊張を伴わずに歌えるようになったら、
その喉の状態で、今度はフルートを吹くことを試してみてください。

できるなら、ソ・ラ・シあたりで左手片手でフルートを吹き、
右手で喉元をさわり確認しながら…。


声を深く響かせ歌えることと、フルートを響かせることは、
とても共通点があり、
体や体の中の使い方、また音感・音程(頭)のためにもとても良い練習です!

正直、100の技術に関するポイント(お腹がどうとか口がどうとか)を並べ、
却って体のあちこちを意識しすぎておかしくなる結果になるよりも…
美しく歌えることを体で学び覚え、会得するほうが
もしかしてフルートの美しい音のためにシンプルで早道かもしれません。


歌は音程もとれないし、苦手…
もちろん、そうおっしゃる方も多いでしょう。

でも、歌うこと=声帯も、筋肉の慣れ(場合によって鍛えとも言えましょうか…)

とりあえずやり始めてみること、

そして、スポーツ選手が欠かさず筋トレするように…継続することが、

筋肉が鍛わり、歌うことに慣れ、自信が次第につきだし、
よいフルートの息づかい、音、歌いや流れに繋がっていくのではないでしょうか。


他にもおすすめ練習に、
声を出しながら、フルートを同時に吹くやり方があります。
(低めの声が、喉のポジションも力のあまり入らない下になってよいでしょう(^-^))

グラーフ氏の『チェックアップ』にも、その"声出し(歌い)練習"が
載っていますが、多少難易度が高いので、まずは単に、
低めの単音を+声でロングトーンで充分よいでしょう。

歌うこととフルートの大事な関連性、でした!(^o^ゞ
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◆豊かに響く音を

2009-11-17 10:21:26 | 大切なこと
前回の更新から、何と日が経ってしまったことか!

実は帰国直後に感じたインスピレーション(!?)を書きためておいた
草稿があったのですが、そのまま慌しく日々に流され、、
とうとうこんなに間が(泣)

しかし、先日ドイツのフルーティスト、ヘンリック・ヴィーゼさんの
コンサートを聴きまして、その時に、この草稿で書いた内容がやはり
今回のヴィーゼさんの音を通しても強く感じたので・・
この草稿を完成(!?)させようと思います。

それは、音の響きに関してです。

◆◇◆

今回のチェコとドイツでのコンサート、その他にもちょこちょことと行く先々で
ミニホームコンサートをやりながら、その度ごとに感じた音を出す感覚、

そして現在再び日本に戻って、特に帰国直後に一音出したときに強く感じた感覚、

音の伸びが両者違うのです。

ちょっと一部の方にしかわからない話になってしまいますが、
かの有名な音楽マンガ、「のだめカンタービレ」で、主人公「のだめ」ちゃんが
パリに留学して初めてヨーロッパの家屋でピアノで音を出すシーンのセリフが、

「音が違う・・・」

まさに、これなのです。

※ あのマンガは、本当にちゃんと調べ上げた勉強のもと書かれており・・
  音楽内容だけでなく、日本人音楽学生が留学した際の心の機微や
  奮闘っぷりまで!?とってもよく描かれております。作者さまに拍手!

音の伸びが違う話は、チェコでのコンサートのブログにも話題にしましたが、
例えば、ドイツでのミニホームコンサート時に、そのお邪魔したお宅の
普通のリビングで軽く音を出してみても、何か音がポンッと響くのです。

そして帰国直後に、そのドイツでの吹き方そのままに自分の練習室で出した音は、
ツアー前までのその部屋での自分の音に比べ、多少雑音がある?
・・・けど音が太くて豊かだなと。

ウチのレッスン室も壁はコンクリートだし、そうとう天井が高いので
楽器の良い響きは得られる方なのですが・・長くそこで練習しているうちに、
つい、変な場慣れで、音の響きの注意を失っていたようです。。(反省)


これにはやはり日本が「温暖”湿潤”気候」であることも少なからず影響しており、
きっと、空気中に含まれている水分の量というか、空気の重さが違うから
なのだろうね、と以前知人から話がありましたが・・

それから、建物の素材。

そういうこともきっともちろん影響しているのだと思います。


けど、日本でもヨーロッパでも、力まずに金属をうまく・よく響かせて
ポンッと音を発音し、楽器を真に鳴らすことには変わりありません。

先日のコンサートでのヴィーゼさんの音は、力が抜けて太く、深く、見事でした。


むしろ響きの空間をあまり得られない家屋で練習する際は、

音を鳴らそうとつい知らずのうちに力んで息を過分に強く出してしまう、とか、
逆に息を少なく、小ぎれいにまとめてしまい、
 →しかしこれは、例えきれいな音でも、なんとなく小さく表現の幅が少ない、
  こじんまりとした音楽演奏になってしまい、
  例えばホールなど広い会場で吹く際に顕著に違いが出てしまいます。

ですので楽器本来の響きとはどういうものであるのか、
少し音の響きの聴き方・つくり方に特に注意をはらっていかねばなりません。



具体的に大切なことは、息はたっぷり、ですがスピードは・・
そこまで直線的に速くない、とでも言いましょうか・・?

それよりもむしろ、音の伸びる方向を、前などの一方向だけでなく、
上にも、斜め上にも、前方にも、斜め下方にも、そして後方にも!?
”3D”に、音の伸びる感覚をとっていくのです。

  これに関しては、もう少し言及しますと、、
  低音域・中音域・高音域、すべての音域同じ方向に音の伸びをとらえる
  というわけでもなく・・少しずつ、音の伸びの方向は変化させます。


音が太く豊かに響くには、口の中に少し空間をつくることもとても重要ですので、
音をこれら多方向に感じることで、口の中の空間も、自然と無理なく
ぽかっと開けていってみましょう。

(ちなみに口の中の空間とは、舌の表面から軟口蓋(上顎)の空間のことであり、
”ノドを開ける”という表現は、ノドに却って力が入り、また下顎=アンブシュア
にも影響が出・・、表現としては少々危険ですね!?)


プロの声楽家などの歌っている姿、さらに言いますとお顔を(失礼ながら)よく
拝見しますと、実はよく顔の筋肉を使っています。

これは、歌声の響きが下にいってしまわないように、おのずと顔の表情筋を
しっかりと使い、音の響きを上に・3Dにとっているのですね。

フルートも然り、で、表情筋を地球の重力に負けず!?きちんと使うことで、
音の伸びは相当違ってきます。

(これらも、歌とフルートは一番似ている楽器だ、といわれる所以なのでしょうか。
声楽の方の、歌っている立ち姿勢や、そこから連動される呼吸のとり方、
音の響かせ方、フレーズ・・などなどはフルートの吹き方にとても共通しており、
本当に参考になります。)


肩・指周辺の力みをなくすことや、お腹の支えなどにももちろん注意をはらいながら、
音の響きを3Dに意識して感じながら吹く・・・
真に太く豊かな音につながっていくことでしょう


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◆ロングトーン~音を”つくる”とは

2009-09-21 23:14:19 | 大切なこと
19日の教会コンサートには、5連休の初日にも関わらず
たくさんの方にお越しいただき、また大変あたたかいご声援を
いただきまして・・本当にありがとうございました!!


私にとりましても・・前回までのブログにも書かせていただいたように、
今回は音楽の大先輩、大ベテランであるチェロの金木さんと
共演させていただけたことは、最高の経験であり、宝物であり、財産でした!

演奏も、選曲のメリハリも、機知にとんだトークも・・
聴衆の心を引き込む術を知っている、とにかく絶妙で・・!
すべてにおいて、色々と間近で実地に教えていただいたように思います。

そういう意味でまだまだ私は若く・・(いえ青く!)
知らないことがたくさんあることを痛感しました。

これにはより一層一回一回のコンサートの経験値、
そしてその時のお客様の反応も大切な参考に、
プラス私自身特有のエッセンスもうまく考えて混ぜこみながら、

より一層演奏家として・・というよりも一つの芸術に携わる者として、
演奏的にも人間的にも成長していきたい、と決意新たに思うのでした。


金木さんに、普段の自分とはまた違った演奏の味を今回はたくさん
引き出していただいたように思います。

今後もなるべく視野が狭まらないよう努め、
さらなる可能性の模索に精進してまいりますので・・またぜひ皆さまには、
コンサートに足をお運びいただけたら嬉しく存じます!


◆◇◆

さて、今回コンサートの当日朝に、いつも通りウォーミングアップ・・
楽器を組み立てて、ふわ~と音を出し始めたのですが、イマイチ乗らず。。

「今日はいい音出したい~!今日だけでもいいから~!お願い鳴って~(>_<)」
・・なんて、神頼み?

いい音・いい鳴りを目指して、ただがむしゃらに、
あ、胸郭あけなきゃとか、力抜かなきゃとか、、

そんな具体的な細々したことを考えたって・・
却ってあちこちに変な「意識」が入り、不自然な型ができるばかり。

そう、ホントはその弊害を自分自身が一番よくわかってるくせに・・

この「~しなきゃ」mustの心持ちがそもそも不自然をつくるモト。・・

(これはフルートに限らず、あらゆる実生活で言える真理だと思っています!?)


そこで、金木さんの豊かなチェロ音の足を引っ張らないように!?
・・とまでは考えなくも、出来るだけ金木さんの音と溶けこみ、
良いアンサンブルとなるように気を付けてみました。

チェロのぶぅんとしなやかなボーイングなどをイメージしながら、
ゆっくりたっぷり深く吹きこむロングトーン。


チェロのボーイングのイメージにより、もう、音を出す前の体のモード自体が、
ほどよく力が抜けながらも音を深く鳴らそうとする響きモードで、
体の中の響きをだすためのエネルギーが、さっきまでと全然違います。

100の理論的な言葉を並べるよりも、人間のもつ自然な力というか・・

そういうものなのだと思います。・・それが全てとは言わなくても。


ロングトーンにイメージをきちんと持つ、いえ、
イメージを持ってこそロングトーンの本当の意義がある、と、
ソノリテを用い厳しくレッスンされたのはフルートの名匠、
オーレル・ニコレ氏。

このブログでも過去にご紹介したことがありますが、
これは本当に大切なこと。
フルートを用い、「音楽」を奏でるためには・・。


さらに言うならば、
ロングトーンがソノリテのような教本のように、決められた順序の
半音階や音階やアルペジオ(分散和音)である必要も別になく、

むしろ、自分の愛着の持てるメロディー(できればゆったりした曲)で
いいのです。

私は・・特にあえて、"が、いいのです"と言いたいくらいですが・・。



音の表情は、その音楽のイメージなしにそもそもつくれるものではない。

ですので私は、モイーズの「24の旋律的小練習曲」を、
ウォーミングアップのマテリアルとして、時々愛用しています。


これは・・おはずかしながら私は、ドイツに行って初めて、
先生に課題として出され取り組み始めた教本で、

最初は、なんでこんな短い単純なメロディーばかり・・(-_-;)
(・・しかも初級って書いてあるよ・・)

・・などとまったく愚かな生徒(私)は先生の意図を知らず、
油断してろくに楽譜も見ずにレッスンへ。

・・これが甘かった・・

本当に「音楽」という意味での音のつくりかたで、こてんぱんにしぼられ(苦笑)、
たった8小節の単純かつ美しいメロディーなはずなのに・・ぜんっぜんダメ!

しかし音って・・フルートって、音楽って、
こんな風に・こんなにも、音楽の細部にわたって耳と神経を使いながら
つくるんだ・・と、最初の頃のレッスンはこの8小節に頭ぐるんぐるん!


実はあの美しくも単純なメロディー集は、
分析しやすいハーモニーから成る、音楽の流れの極意を学べる宝庫!

よく、シューベルトのリート(歌曲)もフルートで勉強しなさい
と言われ、やりました。

その意味が、今はよくわかります。


人類の歴史と共に在る音楽・・そして「歌」は、人間の声。
それはあらゆる音楽の発祥、源であると言ってもよいでしょう。

ですのでここから私達、音楽を極めんとするものは、楽器関係なく、
学べること・・学ぶべき基本がたくさんあるのではないでしょうか。


とかく現代のフルートは、運動機能に優れすぎていて・・
つい速い曲や現代の難しい曲ばかりに傾倒しがちの今日ですが、

やはり、息で奏でる笛の音色は、声と通ずる魔力があると思います。


フルートを始める前に抱いていたあの憧れのように、

美しく、本当に心に響くようにきちんと歌いまわす術を、
難曲に取り組む以上にしっかりと身に付けたいなと・・・

チェロの金木さんが教会コンサートでアンコールで弾いてくださった
「からたちの花」と「帰れソレントへ」を聴きながら、痛感したものです・・!


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◆ 演奏に必要なこと~一流演奏家の言葉

2009-08-28 16:39:50 | 大切なこと
今回の記事は前回の続編ともいえるかもしれません。

私を含め音楽を志すものにとって、楽器の境なくとても大切な
ことですので、表現に手間取り長文になってしまいましたが・・
最後までお読みいただけましたら、幸いです。

=========================

この数日間、夏休みをかねて日本で毎年行われている音楽祭、
「草津夏季国際音楽フェスティヴァル」に行ってまいりました。

日本屈指の名湯の地・草津温泉にて行われる、世界に名高い
各楽器のヨーロッパの一流の教授たちが、夏の終わりの気持ち
の良い草津に一堂に会し、2週間まるまる、朝はマスタークラス、
夜はその教授たちを中心としたコンサート、と音楽三昧・・

一流演奏家たちの、稀有で貴重な競演もいっぺんに聴くことが
できる(そして名湯も堪能)、音楽愛好家にとっては夢の空間。


そしてその音楽祭は私にとっても、私の音楽・・だけに留まらず、
今の私の人生を導いてくれたともいえる、宝物みたいな場所。

私は学生時代からそこで、実に10年近い長いながい間、
音楽祭のスタッフとして、働かせていただいておりました。

あのときの、ヨーロッパの一流に属する音楽家の一流音楽という
すばらしい空間を、毎年どっぷり2週間、とても間近に接する
ことができたその経験が、今の私の音楽人生にかけがえのない
宝物となっており・・思えばそれが、
私が音楽の道を本格的に志すきっかけともなったのです。


特にドイツから帰ってからは、以前と違い、ドイツ語で直接
プロフェッサーから通訳を介さない生の言葉で音楽談話ができ、
彼らプロフェッショナルの音楽に対する考えや取り組みを、
生の言葉として知ることができるので、

今回はそんな彼らの貴重な言葉の一端を皆さまにも少しでも
お伝えできれば・・と、ブログを書かせていただきます。

◆◇◆

今回初めて音楽祭をゆっくりと堪能できたので、色々な楽器の
クラスを聴講したり、コンサートを聴くことが出来ました。

まず、その中で強く切に感じたのは、私も以前からブログで
記述しておりました、
楽器は様々、その都合も様々あれど・・ 「音楽は音楽」
ということです。


多くの教授の言葉を聴講したなかで、受講生に対して注意する
言葉の表現は様々であれ、教授それぞれに音楽の創造力はあれど
その大元で動かぬ、一環していることは、

その音楽のもつキャラクターを、真に音楽表現しているか?
ということでした。

音楽には、演奏家には、飽くなき探究心が不可欠だ。

テクニック練習を重ねるうちについ忘れさってしまう、
「その音楽そのものと向き合うこと」

それが、音楽の道を志す今日の若い演奏家に一番足りず、
プロフェッサーたちが切に伝えたいメッセージ。


そのためには、前回私もブログで書きました、”本当に音を聴く”

もう一度端的に書きますが、
本当にその箇所箇所で自分の望む音が、果たして本当にこれで
出ているのか・・耳をよく注意深く研ぎ澄ますことです。

そのためには、本当にゆっくりから練習を始めないことには、
音が本当に聴こえ、脳、そして体に伝達しないものだと。

これは草津でもやはり、多くの教授がおっしゃっていました。


とても新鮮だった言葉は、ピアノの遠山慶子先生のお言葉、

私たち演奏家は、そのとき演奏する楽曲の作曲された時代や
背景(例えば宮廷とか)などをよく勉強し、よく想像力を働かせ、
そしてそれを音楽にし・・

その時代の世界を、コンサートという生の空間を通して、
お客様に再現し運んであげるお仕事なの、とおっしゃられた。

そして、ドキッとしたお言葉も。

「練習とはこわいもの。技術的に難しいとき、変に集中して
しまって、何度も何度もその箇所を繰り返していくうちに、
そこにあるべき音楽をつい忘れてしまうの。

いつも、どんな難しいパッセージにも音楽を忘れてはいけない」



教授方は、とにかく楽曲を奏するのにファンタジーの宝庫。

巨匠、しかし子供のように、純粋に楽しみながら音楽している。


高音のひらひらしたパッセージ・・でも難しいから力が入って
しまうようなところを、蝶々が舞うようでしょ!?と表現したり、

その楽曲がバロックや古典の宮廷音楽時代の作曲であるような場合、
これは宮廷音楽、ひらひらしたドレスで踊るの、想像できる?とか

とにかく創造力を生徒に促す・・


しかしそれはだからといって、単なるイメージと感性からくる
何となく・・というだけのものではなく、

そこで発生する、音楽に絶対必要不可欠な「緊張」と「緩和」の
”寄せてはかえす波”の中には、トニカ・ドミナントなどの和声、
様式、拍感、転調、などなど・・

これら、きちんとした「知識」から発生する緊張と緩和の法則。

それに「感性」と「想像力」が加わり、感動を伴う音楽が創られる。


楽器の分野を問わず、すべての音楽を志す者に・・
これはもちろんものすごく時間と手間と根気がかかり・・努力が
必要なことですが、そこを努力した人だけに与えられる、

音楽をよく聞かせ、奏者自身にも聴いている人にも、最高に楽しい、
これぞ「音」を真に「楽」しめる、神からのプレゼントだと・・
私は自分自身の変遷でもって、強く確信しています。


◆◇◆

私はフルートという、ハーモニーを同時に奏でられない単旋律
の楽器を吹く者として、特に声を大にしてお伝えしたい、

機械的で抑揚に乏しい演奏でなく、本当に良い音・良い響きで
音楽を音楽らしく奏でたい、と思うならば・・少しでもいい、
どうか、
楽器を奏するのに必要な技術的なことや、実質的に楽譜に書いて
ある通りの強弱などの表現を実行しようと練習する前に、

並行に、
「音楽全般」に必要な基本的なこと、ハーモニーや様式、
またヨーロッパ音楽にまつわる作曲家や時代背景の歴史など、
興味をもって取り組んでみてください、と。

もしそれら音楽の知識に興味はあるけど・・その勉強をどこから
どう始めていいかがわからない・・というフルートの方がもし
いらっしゃったら、私は、私の知りうる限りですがその取り組み
方を、喜んで、努力を惜しまずご提供したく思っています。


そこをもってしない限り・・いくら吹き方や運指・音の響かせ方を
がむしゃらに技術的な吹くことのアプローチから練習しても、

本当にその音楽やハーモニーにあった生き生きとした息運び、
またそこから来る正しい音程には辿りつかない・・

例えチューナーのメーターが「0」を指したって、
微妙に音が和音にとけこんでなく音痴に聴こえたり、

それから、演奏中のからだの動き!ここに多くの無駄が発生し、
音楽の自然な流れの大きな妨げとなります。
(体を全く動かさないという意味ではなく、適材適所な動き)

しかしこの、フルートを吹く際の「動き」に関しては、
私自身が何よりまだ研究途中でもあり、これ一つで立派な
ブログネタになることですので、またそのうち自分の中である程度
確信がかたまったら、書かせていただきたく存じます。


自身の音楽とフルートに対する取り組みを、気持ち新たに、
また次への活力となった素敵な3日間の休暇となったのでした♪


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◆ 音を本当に「聴く」とはどういうことか

2009-08-19 11:17:55 | 大切なこと
お盆が過ぎ、暑い中にもなんとなく涼しさもでてきましたね。
暑い夏には活動数値(?)が半減する自分にとっては、やっと
過ごしやすい時期となってきました



先日の静岡のホテルでのコンサートには、台風にもかかわらず
多くの方にお越しいただき、ありがとうございました!

ホテルでのトークコンサートは初めてで、それはそれで普段の
コンサートとはまた少し違った、古く由緒あるホテルの雰囲気、
それによる落ち着いたあたたかい空間・・・

そして何より三島のお客様の良さ!!
とてもあたたかい眼差しで真剣に聴き入ってくださり・・
本当に演奏する側にとっても心地よいひとときでした。
ありがとうございました!

しかし実はその日静岡は大地震・・。

偶然静岡に居合わせ、まずは大事に至らなかったことに
ホッと胸をなでおろしつつ、しかしある意味、人間いつ自分に
降りかかるかわからない災難を再認識したのでした。

◆◇◆

さて、今回は、「音を聴く」ということについて、
先日ピアニストの辻井伸行さんの特集をテレビで見たことを
きっかけに、考えてみました。


辻井さんは、数年前のワルシャワでのショパンコンクールに
訪れた際に、演奏をお聴きしたことがあります。

われながらものすごい陳腐な表現に嫌になりますが・・
とても美しい音と音楽でした。音楽の流れが極めて自然・・

そして先日のテレビの特集では、
2歳の小さいころに、お母様の歌っていたジングルベルを、
おもちゃのピアノで音を探しあて、いつのまにか弾いていた、
というエピソードがありました。

彼にとって、音は本当に聞くことだけが頼り。
音符や楽譜の視覚にとらわれず・・それはきっと、最初から
音の響きだけを頼りに音楽をつくっているのでしょう。

彼の演奏シーンには、完全に別の世界がつくられているように
見えます。本当に、演奏中のその時間、
その自分の奏でる音楽のもつ世界に身をおいている・・。



話は少しとびますが、ワイマールでのニコレ氏の講習会の時、
「なぜフルーティストは暗譜をしないのだ!おかしなことだ!」
と非常に怒っていらっしゃいました。


暗譜の必要性・・その根拠の一端には、あまりにも楽譜という
視覚にとらわれ、音楽を本当に聴けないから・・というのが
あるからなのだろうな、と思いました。

実際、自分の練習において目を瞑って取り組んでみました。


目を瞑ってよく聴きながら吹いてみると、
クレッシェンドやディミヌエンドの度合い・タイミングが
自分で思っていたより微妙に早すぎたり遅すぎたり、

フォルテやピアノの表情が、その音楽に見合っているように
本当に出ているのか・・目を瞑ると案外、
音や音楽の表情の凸凹の乏しさが浮き上がってくる・・。

自分では聴いてたつもりが、やはり知らずのうちに
つい視覚に頼って耳が鈍いことを知らされました。


目を瞑ると、時々、ふとした音の跳躍や、クレッシェンドの
行き着いた先、速い連符中の音、またその行き着いた先の音、
ディミヌエンド後の音の処理、等・・

様々な「つい」のシチュエーションで、その音はキィを一応
きちんと押さえている関係で、きちんと出て「聞こえている」
にしても、ちゃんと「自分で聴こえている=認識している」
音程をとれていないことがある。

こういうのが、自分の録音を聞いてみた時に・・ふとした
音痴な部分、いい加減なおろそかな部分として聞こえるのだ。


そしてこういうことが、音階やアルペジオ、その他基礎練習、
こと、かの有名なタファネル・ゴーベールのような、
一見運指のために書かれているような連符だらけの基礎練習で
もっとも心がけなければいけない、いや、
そうしなければ意味のないことなのです。


昔、当時習っていた先生から、次はテンポ120の速さで、
次はテンポ132で・・・とどんどん指を速く動かすように
要求され、ノンストップで全音階をできるように、などとも
言われ、とにかく当時は必死で指の可能な限り速い動きと
完走(!)を目指して練習していた・・。

鍛えればどんどん伸びる、10代20代にはそんな練習も必要だ。


とはいえ反面、そのときに音をきちんと聴かずに練習した
自分に悔やまれる・・

あのときに、速い練習しかしなかったがために、一つひとつの音に
見合った適切な息運びから成る、真に「鳴っている」音を聴く
能力が、自分の耳に備わらず、それで慣れてしまっていたのだ。

それは、ドイツで指摘をうけた。

指だけ押さえて、音をぶっとばしているだけだ、と。
そこに音の粒・音程は聞こえない。

そして、信じられないほどゆっくりな速度で、
音階をあらためて練習してみた。

ゆっくりな練習の中でよくよく意識してみると、一音一音、
笛のつくりとも関係し、息の入り方が微妙に違う。

その音に見合った適切な息の具合とエッジとの距離など、
音によって微妙に気をつけなければならないこと、
まずはゆっくりじっくり聴きながらそれらを認識し、練習し、
体にその感覚を叩き込ませ、そこから速くしていかないと・・
例え指が速く動こうとも「音楽」には使えないのである・・。


炊き立ての新米のような!?みずみずしくもふっくら艶のある、
まず一粒一粒にそれがあってこそ、全体的にも美味しいごはんだ。


昔から「ゆっくり練習しなさい」とは言われていた・・その本当の
意味・必要性が、ようやく真にわかった近頃です。


テクニックを育てると同時に、どれが悪い状態の音でどれが良い
状態の音なのか、自身の「聴く耳」を養うことが、
本当に楽器を極めるのに必要不可欠であり・・

自分の演奏により反映させるよう精進しなければならないことは
もちろんのこと、

同時に小学生や中学生、高校生などの次世代の子を育てる立場に
自分がなった今、教育者としての自分の大切な使命も
あらたに思うのでした。


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