◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆「管楽器は息で音楽をつくるのだ。」

2008-09-17 11:53:10 | 呼吸
・・これは、ドイツ留学時代に、室内楽のレッスンを、
その市のオーケストラ首席ファゴット奏者に木管重奏を通して
習っていたときの、その先生の言葉です。


この言葉は当たり前でありながら、実際そこにこめられている
本来の意味をまじめに考えてみると、意外と果たして、
自分は本当にできているのかと自問してしまいます。

◆◇◆◇

その先生の室内楽レッスンは、先生自身も一緒に
ファゴットとして演奏に加わる非常に貴重なものでした。

しかし、レッスン始めたての半年は、
うまい先生を前に緊張して、悲惨たるもの・・。

木管アンサンブルの場合、かなりの確率でフルートが
曲の出だしを与えなければいけません。

楽器を構えて、息を吸おうとした途端に入るストップコール。

「それじゃぁ、わからん。」

・・まだ音も出してないのに、ナゼッ!?


もう一回トライ。またストップコール。

「わからないよ。僕たち 他の奏者は、Yoriのその吸う息の長さや
速さで、曲のテンポや、その曲がどういう雰囲気なのかを
一瞬で把握しなきゃいけないんだよ。

第一、他の奏者に”いくよ!”っていうアイコンタクトすらせず、
一人で曲を吹くのかい?
この曲は何人いて初めて一つの曲になるんだい?」

吸う息から、次にどんな雰囲気の曲が流れ出るのか
読み取れない、と先生は言う。

(私はこれをきっかけに、それまで意識が甘かった呼吸法に、
本格的に疑問を抱きはじめ、メスをいれなおしていくのですが・・)


そうなると、指揮者の振りや弦楽器の弓を思い浮かべると、
わかりやすいかもしれませんね。

どんなテンポか、どんな雰囲気なのか、
指揮者は音が鳴る前の振りで、オケ奏者にそれを示す。

そして音楽は、その曲が始まってから終わるまで、
流れてとめどない。

(無音空間だって、一瞬の静寂の緊張でありながらも、
その静寂の後には次が待っている。
音楽自体の時間は止まっていない。)

その、彼らの振る”弧”はその曲の雰囲気に合って、
音が鳴っている限り、とめどなく弧を描く。

その弧が、音楽を作る。


そして管楽器は、その弧を息で作る。

ということは当然私たちは、音の出る前の振りだって、
指揮者のように、弦楽器の弓のように、
吸う息でもってそれが成されなければならない。

ゆったりした曲であれば、深くゆったりした吸気を、

早くて元気な曲であれば、弾むような吸気を・・・


その吸う息・・・いわゆる音楽の準備が、
吸い方が充分でなかったり、浅かったり、力んでたり(主に肩)、
はたまた暴力的・・など、無頓着であったりしては、

その次に出てくる音・音楽の出だしは・・音は出ても、
もちろんその音楽にそぐうものではおそらくありません。


「管楽器は息で音楽をつくる」


そのファゴットの先生からは、管楽器における、
「呼吸と音楽の、本当に大切な意味での密接なつながり」を
教えていただきました。

またそれと関連して、呼吸法、室内楽の極意なども・・

楽器は違えど、楽器というジャンルを離れ、
「音楽」における大切なことを本当にたくさん学びました。


フルート(管楽器)において、

前回のテーマであった「頭」―意思や想像力―

そして今回のテーマ「息」 ―呼気も吸気も―

この二つは自動的に私たちの体内で関連し、
それがどれほど音楽に命を吹き込むか。

指や音をきれいにする練習をしつつも、
常に念頭においておきたいテーマです。


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