◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆エミリー・バイノン講習会&コンサート

2010-11-20 08:45:39 | 雑談
昨日は、
一度CDでその演奏を聴いてから、とっても生(?)でお会いしたかった、
アムステルダムのロイヤル・コンセルトヘボウのフルーティスト、
エミリー・バイノンさんの講習会&ミニコンサートにとうとう行ってまいりました!



本当に行ってよかった、

なんていうんだろう・・とても心地よい息吹。
なんと自然で、気持ちの良い音楽。

楽器を超えて、音楽が美しい。

(ちなみにご本人もとっても美しくてチャーミングで、素敵な女性です!
飾った美しさじゃなくて、内面から出る美しさが・・本当に美しい)

昨日のアンコールで、フォーレの美しい小品を演奏されたのですが、
(その曲、題名は『コンクール課題曲』・・ってなんとも色気のない題名なのですが・・
実はなんとも、極上に美しい曲です!フォーレさんってば


正直初めて、フルートの演奏を聴いて、涙が出ました。
(自分の専門楽器って・・すっごく良い演奏!って思うことはたくさんあるのですが、
涙がでるほどっていうのは、実はちょっと自分にとってはなかなか難しかったりするので・・

自分も同じ楽器を専門にしていることを、昨日は心底幸せに・・再確認しました。


曲中の和声をしっかり把握して演奏していることは、聴いてすぐわかりますが、
それを密に密に考え、構築されていながらも、聞こえてくる音楽は非常に自然な流れで美しい。


講習会でも、もちろんそのことにはしっかり言及していました。

その講習会中に、すごくおもしろかったお話。

 「以前に取材のための撮影でプロの方にメイクしていただいたときにね、
  すっごくすっごく時間をかけて(1時間以上!?)、丁寧にていねいに、
  何重にも顔に色々塗り、目なども・・あんまりにすごい時間かけているので、
  
  いったい、私はどんなすごい顔になってしまっているんだろう!?と、
  メイク後に鏡を見たら、・・いつもの自分の顔と変わらないの!!すごく、自然なの!
  でも、何かが、いつもの自分とは違ってすごく美しいの・・

  演奏も、そうでなければいけない。
  すごくすごく、丁寧に、細部にわたり、(音を、音楽を)練って。
  
  けれど、それが聴く人にとってものすごく自然に聞こえる流れる音楽であること。・・・」


この意味は、本当に心に響いたし、痛いほどわかるし、自分も今本当に目標としているところです。


・・しかし、いざ音楽を練ろうとしても、やる方法を勉強しなければ、それは難しい。

そのメイク法が、音楽では、形式を知り、楽節を把握し、和声を勉強することにつきるのです。

シューマンや、ラモーなど、あまたの音楽家が説いている言葉、

 《音楽を導くのは、和声(ハーモニー)》

モーツァルトやベートーヴェンなどは、まだまだシンプルな和声なのでわかりやすいですが、
時代が進んで、複雑な色合いが増えたフランスの近現代の曲など・・解析は難しい
それでも!きちんと和声は存在しています。

フルートは基本メロディー楽器で、メロディーに潜むハーモニーを聴くことは難ではありますが
それでもやっぱり音楽の抑揚のカギは、和声に存在するので、そこは私たちフルーティスト、
日常に気を付け、慣れる・・頑張って努力しなければなりません


講習においても、バイノンさんは色々な表現で受講生に、音楽の抑揚を教えていましたが、
その説明に存在する奥には、和声の制するところが実に多かった。
(倚音や、バロックのバス進行や・・)


フルートを思い通りに扱えるようになることは、もちろん、私たちにとって、最大に難しい。
けれど、音楽は音楽で勉強しないといけないことが山ほどあって・・
なんだか、そう考えると気が遠くなりそうですけれど

でもだから、フルート、音楽、やめられない!一生のやりがいになるんですよね。


・・あ、もちろん、フルートを吹く上でのバイノンさんの講習も少しご紹介せねばですね

・・といっても、実はほとんどが、その、音楽(フレーズ)を丁寧に構築すること・・に尽きてて・・
フルートに関しては、
私の覚えている限りでは、

とにかく、息を、お腹から出すこと、
お腹を柔軟によく使って、息を外まで・楽器まで、送り込んであげること、

そのためには、息の流れが遮られてしまわないよう、上半身のあらゆる部分を解放すること
(とくに、喉周辺・顎回りと、口の中やアンブシュアだと私は見受けましたが・・)

また、息が楽器により入るように、ほとんどの受講生の頭部管を、
若干外めにまわしていたのではないでしょうか?
 →頭部管を内めにすると、容易にまとまった音が得やすいのですが、やっぱり息が入るところが
  少なくなるから、聞こえてくる音は美しくとも細めにはなりますね。

これ実は、、私も常レッスンでなかなか理解されるのが難しいところなのですが・・、
本当の意味で美しく響く、豊かな音は、
日本の気候・家屋的には、正直ちょっと合いにくい(聞きにくい)です。

  (やはりフルートは、ヨーロッパ出身の楽器・・
   のだめカンタービレにも、あれはピアノでしたが、のだめがパリで初めてピアノの音を出したとき、
   「音が違う・・」ってセリフがありましたが、まさに、あれですね、
   基本石造りの家の壁に共鳴し、乾燥した空気にのって、上に響いていく音・・)

バサッと雑に聞こえる、と言われてしまうことが多い・・。

けど、これは、舞台など、広い空間に出てしまえば全然OKなのですよ~!(><)
むしろそこでこそ発揮される、とでもいいましょうか・・

・・ついつい、内向きな、ノイズのない、無難にまとまった音を美しい音として、
認識しがちな厳しい日本の家屋や気候ですが、

頑張って!?よく軟口蓋!?を解放(開放?)し、上に響いていく美しい音をめざしたいものです。
バイノンさん講習会レポでした!
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◆アンブシュア改善新兵器

2010-11-09 11:23:35 | アンブシュア
じゃーん

これ、最近の我がレッスンスタジオの、
アンブシュア(フルートを吹く口の形)改善新兵器です。


はい…ただのストローなのですが(笑)

しかし、
今までどう試行錯誤しても、フルートのリッププレートが口元に近づくと、
あるいは息を吹き込み出すと、

下唇が引けちゃってアパチュア(口の穴)が整わない、
またはアンブシュアが両唇うまく揃わない、
息が下方向にいっちゃうし、いまいち音やタンギングが散ってしまう…

などなどの悩みに、今このストローが、てきめんに活躍してくれています!

◆◇◆

ストローを唇のみでやわらかく挟みます。歯では噛みません。
(歯までストローの先はいかず、歯の手前でとめます。
その際、両唇を中に巻き込むのはNGです!唇の裏でやわらかく挟む感じ・・。)

唇のみでやわらかく圧力をかけ、挟み、息を前方にフーと吹いてみます。

 →さらに、そのストローの先から出る息を、フルートのエッヂにあて、
  音がどの角度で出るのか実験してみるとより面白い発見・・というか、
  息がエッヂにあたり音が出る仕組みが見えて、音が出るイメージが明確になります。



本当はさらに、そのまま唇のみでストローの先を上下に動かしたり運動すると、
フルートのための唇・顎周りの筋肉の鍛えにもなり一石二鳥なのですが、

これは、一人で間違った動かし方をしたり、長時間やってしまうと、
顎を痛めるなど危険が伴うので、
動かすことは決して無理をなさらないでください。

ストローを少し、強めに挟む運動だけでも、
唇周りの筋肉を強化できます。

 →フルートのアンブシュアに、ガチガチに鍛わった筋肉が必要というわけではなく、
  しかしその、微妙な柔らかさを備えながらもアパチュアを両唇で整えられるアンブシュア…
  この繊細な力加減には、
  多少なりとも唇周りにはしなやかな動きが可能な程度、
  鍛えられた筋肉が必要なように私は思えます。

とりあえず、こちらの解説の下…が大前提ですが、
生徒さん達にも、実は自分自身にも!(私にとってはすごく良い準備運動
アンブシュアが揃うためのとても良い兆しがみられ始め

ずっと試行錯誤してきたアンブシュア改善のいち・手段として、
光がさして、
吹く楽しみも 教える楽しみも、また一つ増してきた今日この頃です

しかし、、レッスンでストローを持ち出すと、一瞬にして苦笑の表情になる生徒さんたち。
めげませんよ~ワタクシ(笑)
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