◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ 譜面を見るという時点で

2010-07-05 20:28:36 | 姿勢
こんにちは!
夏になり、湿気が増えると、どぅ~もパワーダウンな私です・・

暑い中での練習は、、パワーや集中力ダウンのモト そんなときこそ、
有効でパワーいらず!?「エコ」な吹くコツをご紹介できればと思いますので、
暑さを吹き飛ばして楽しくフルートを吹いていきまっしょう~!


さてさて先日は、NHKで、現ベルリンフィル首席・・でありますが、というより、
現フルート界まぎれもないトップフルーティスト
エマニュエル・パユ氏のバッハリサイタルが放映されていましたね~

パユ氏は私にとっても長年の憧れ・・お手本?
いえ、世界中のフルート吹きにとってもちろんそうだと思います。

それでも彼がまだ若い頃の演奏に対しては、フルートを吹くことに関しては
本当に凄い!!と思いながらも、バロックでも古典でも近現代でも・・わりと
同じ感じで、テンポが速いのが少し目立っているかな・・?などと、
ことドイツ作品に関しては若干個人的にまだ多少思うことがあったのですが・・

この前のバッハ!それからその前のテレマンの無伴奏なども聴いて・・
バロック音楽に必要不可欠な「間」とか「しゃべり」、和声など、
音楽の説得性にさらなる素晴らしい磨きがかかっていて!!

彼の最近のプログラミングの傾向と、その演奏そのものに、
ある意味あれだけの演奏活動をこなし、忙しい中であるはずなのに、
彼の飽くなき挑戦心と確実なる進化に、やっぱり凄い!のひとことです。

・・と、音楽に関しても色々と熱く語りたい部分はあるのですが、
そんな中で演奏姿勢に関しても、演奏姿勢は人それぞれ・・と言えども、
参考になる部分が多々ありましたね



その中で、吹く際の立ち姿勢と譜面台を見る関係もひとつ。

しかしパユ氏は、譜面台がとても低かったですね~!
もちろん、ほとんど曲は覚えていて、本番は確認程度にチラッと見るほどで
OKなくらいに、頭の中に構築はできているから、とも言えると思いますが

もう、譜面台の位置や高さに影響されることなく、演奏する体が出来上がっています。

実はこれは意外に、簡単なようで会得するまでは難しいことだと思います。
この「楽譜を見る」という動作一つとっても、案外に音の美しい出を妨げる場合があり・・

これは私にとっても、舞台に立つようになってから長年の課題でもありました。

舞台に立つと、音が固まる、呼吸が浅くなる、・・

そんな経験やお悩みを持たれた方、いらっしゃいませんか?
そう案外これには、こんな観点からも原因が見出せるかもしれません

以前の、カイロプラクティックの施術を受けたら音がするっと出た!というブログ
とも非常に強く関連しておりますが、

そのときに受けた指導に、壁に一直線に体(背)をつけてみてください、とありました。
頭の後ろ、肩(肩甲骨のあたり)、仙骨(尾てい骨)、ふくらはぎ、かかと・・

そのとき、頭の後ろをつける動作だけが若干無理して後ろめにしないときつかった。

そう、頭部だけが一つ前に出てしまっていたのです。

実は頭部というのは相当重い。(カイロの先生は5~10Kg!?とおっしゃっていましたが)
重いので、ついパソコンをしているとき、ついだるく座っているとき、などなど・・
その重い頭部が、一つ前に出てしまうのです。

そして、その重い頭部を支えているのが首周りや肩周りの筋肉たち。
(もちろん首の骨もですが・・^^;)

さてそこで。
頭一つ前へ出るだけで・・それら、支えている首や鎖骨あたりの筋肉は引っ張られます。
カイロの先生曰く、そのときの筋肉の支え(というか負担)は倍くらいになるとか・・

ということは、仮に頭部が5Kgだとすると、引っ張る筋肉の負担は10Kg・・
5Kgのお米二つぶんっ!?・・・それは重い・・

そしてそれだけ引っ張られ、負担をかけられた筋肉により、
首・鎖骨周りは固まり(緊張し)、その緊張は当然、
息を、自然呼吸よりも多く、早く、そして深く必要な楽器演奏にとっては
非常に大きな妨げのモトになる、と・・

当然のことながら、鎖骨や上体が緊張で上がること(胸を過度に張る事など)も
同様に筋肉の不必要な引っ張り・緊張を招きます。


そして実はここで・・
「譜面を見る」

実はこの動作一つも、この、顔や顎が一つ前に出てしまう、
またもしくは、胸すらも、譜面(台)に寄せて前へでてしまう、・・

ことが、容易に意識外に起こってしまっているケースがけっこう多いのですね。
特に「下顎の上がり」でしょうか・・

ですのでこの、頭部を、人体に負担のかからない本来のポジションにするという、
壁に全身をつけてみるプラクティス・・ぜひ一つ参考になさってみてください

頭の後ろ(頭頂部ではないですよ~!)がつかない人、あるいはつくのがツライ人・・
いらっしゃるかもしれません。しかしながら、これが本来人体にとって、
首・鎖骨まわりの筋肉に負担のかからない首と頭のポジションであるとのことです。

ちなみに私の場合ですが、これを気をつけて以来実は
ほとんど肩こりをしなくなりました!

前述の理論でいくと、首・鎖骨まわりの筋肉の負担が減ったということで・・
なんとも理にかなっていますよね!?


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◆ 奏法改善 ~盲点は「立ち方」!?

2009-05-29 12:10:19 | 姿勢
このブログを書き始めて以来、演奏に様々な疑問や悩みを抱く
フルート吹きの方々がレッスン室に訪れてくださっています。

とはいえ、お一人お一人、唇の形、歯並び、顎の大きさ・出具合、
腕や手など体の大きさ、あるいは顔の表情筋の発達加減など、
千差万別ですから、良い音の出るポイントやコツは「これ」と
いった決まったマニュアルはなく、一人一人の実際の吹奏時に

体はどこがどのような状態か、
筋肉のどこの部分を過度に固まらせてしまっているか、
あるいは、どの部分にもう少し意識が必要か・・・

細かく状態を観察しながら改善を試みていくことになります。

これには、レッスンを受ける側にも、そして、
その人独特の細かなクセを見つけ出し改善していく側にも、
双方どちらにとっても時にとても忍耐と努力が必要となります。


しかし、本当に体と共鳴するような深い豊かな音を得るには、
一朝一夕にいくことではなく、不断の努力と忍耐が必要なことを、
やはりどうしても、申し上げなければなりません。
こと、体にある種の吹き方のクセがついてしまっていては・・

奏法改善とは、筋肉の使う場所や力の方向を変えていく訳です
から、クセの程度にもよりますが、数ヶ月、ましてや1・2回の
レッスンで治るなどということはほとんどありえないでしょう。

これまでのクセに負けないよう、レッスン時はもちろんですが、
個人の練習時に特に、細かな注意力が必要になります。

(私自身は、ドイツ1年目に吹き方のマチガイを指摘されて
180度奏法の転換をされて以来、毎日の奮闘・紆余曲折を経て、
本当に、少し・・吹き方が安定してきたかな?と思ったのに
3年はかかったと思います。石の上にも3年!?今思えば・・

しかしその間全く曲を吹けなかったか、といえばそういう訳で
なく、少しずつ・・。毎日が「三歩進んで二歩下がる」ような
奮闘の日々でしたが、その経過も楽しみの一つ・・!?)

ですので奏法改善にそれだけの忍耐力がいること、時として
その苛立ちなどは私自身よく経験してますから共有できます。

あきらめず、あせらず、長い目で・・
フルートとゆっくり長く楽しく向きあっていきたいですね。

◆◇◆

さて、今回はひとつ、万人に効く特効薬は無い・・としながらも、
私がお教えしている方々の内で、すごい高確率で音が変わる、
限りなく特効薬に近い、構えのある種の「型」・・
「立ち方」をご紹介したいと思います!

百聞は一見に如かず、下の図をご覧ください。



これは、私が普段初級者用教材として愛用させていただいている
加藤克朗さんのフルート教本から引用させていただいた図です。

この教本、よくよく熟読してみると、何と大切なことがしっかり、
わかりやすく書かれていることか・・!


さて、加藤さんのこの図に対する説明、

●左足は正面(譜面台の方向)に向け、右足は少し後にひいて
 45℃ほど外側に向けます。

●首を左に少しひねって正面(譜面台方向)を向き、
 フルートを譜面台と平行にします。

他にも、この図に対し注意事項が多々記されてますが、
特に重要な点を抜粋しますと、

・肩の力を抜いて、低く
・両腕が身体にくっついてしまわないよう、無理なく肘を離す
・フルートを(譜面台とは平行でも)床と平行にする必要はない

これらの注意事項すべて、裏付け論理説明がつけられますが、
今ここで、まとめ・特筆すべきは、


【体は譜面台に対し、少し右斜め、
 しかし顔は正面、フルートも譜面台と平行】

ということは、
右手右腕がけっこう前に出(肘が胴体側面より後ろにいかない)
フルートを構える右側が、その分少し、角度が空きます。

実はこの空きが、
アンブシュアで、発音に多大な悪影響を及ぼす「下顎の引き」・
下顎へのプレッシャーを改善してくれるのです!

逆の言い方をすると、肘や腕が身体から離れてない、ある意味
楽器を体に近く引き寄せるような構えの時は、

それだけフルートで下顎にもプレッシャーをかけており、
下顎を「引かざるをえない」状況をつくっているということです。


とはいえこれにはその他にも、
楽器を「三点支持」に近い”バランス”できちんと持つことや、
また特に、右手のフルートの持ち方も関わってくるので、
とてもここですべてを書ききれないのが残念ですが・・



日々練習と譜面に奮闘している最中、気がつかないうちに
思わず譜面にかじりついていることがあります!

そのふとした日常の練習の一時でさえも、音を悪くしてしまって
いる要因をつくってしまっている場合もあるのです。

この譜面台との構え関係だけでもとりあえず、ぜひ日常の練習に
ご参考の一端として加えていただければと思います!


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