◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ まず息ありき。

2009-02-14 09:37:26 | 呼吸
今までのブログにもアンブシュアや姿勢、構え方等々をよく
テーマにしたり、レッスンでもそのあたりの課題に集中して
言うときもある自分ですが・・

だからこそ、こちらに普段習いに来てくださっている生徒さんに、
そしてここをフルート奏法のお供にしてくださっている方に、
そして時として、
吹き方悪循環のスパイラルにはまっている自分自身にも!
このブログという機会で言及したい・・

よく陥りやすいワナが、
アンブシュアや構え方に時として多分に固執しすぎるときに、
肝心の事がおろそかになってしまう、ということがあることを。


それが「息の出」、そしてそれに伴う「姿勢」です。

良いアンブシュアや構え方というのは、
いい音を出すための数あるポイントの「一端」です。

管楽器が息を使って音が出る以上、大元の大切なことは、
息が管にまっすぐ伝わるよう 「まず息ありき」

そしてその上で、体や口の中、息の出口(唇)が息の通り道を
邪魔しないような環境をつくっていくこと・・。


さて、「息」に関して、二つ挙げたい大切な点は、

1.吸う息を充分深くすることで、音となる吐く息が充分な深み
  と量、そしてスピードが出る。

  (そして、横隔膜とそれにまつわる呼吸に使われる筋肉も、
   同時に活発に活動しはじめます。ここから、いわゆる
   「支え」といわれるものにつながります。
   無理に胸・胴回りを緊張・硬直させてしまうことは、
   かえって息の循環の妨げになりますのでご注意を・・。)

2.豊かな音の元となる息を出すには、息が、体のあちこちで
  邪魔されないように、空間をつくること。


1.に関しては、吹奏前の息の吸い方が浅い場合を見かけます。

この場合は、ノドがほどよく開いていないことも原因になり、
(時に「ヒー」という高い吸う音も伴い)そういう場合は大抵
体の空間的にも、深い音を出す準備が体の中で出来きって
ないまま、音を出してしまいます。

それに関連して2.は、息が瞬時にたくさん入るために、
口の中、気道、そして、肺がよく膨らめるように胸郭、

これらを程よく無理なく拡げて、息が深くたくさん入る準備を
体がしておかなければなりません。


人間の肋骨は、呼吸の量に応じて、柔軟にその胸郭の広さを
対応できる、実に巧みなしくみを持っています。

息がたくさん入れば、肺はふくらみ、また肋骨=胸郭も
―そのとき背筋などに力みや縮みがなければ― その肺の
拡がりを助けてくれ、結果肺の中にたくさん空気が入るのです。

またこれは、日々の意識でも、肋間筋など肋骨周辺の筋肉を
動かし、この胸郭の広さをある程度自分自身でコントロール
できるようにもなります。
そのときには、音の深みはより一層増しているでしょう。

またそれに伴い(今日は簡単な述べ方に留めますが)、
後の息の通り道である、気道と口の中も・・気道は、その咽頭の
筋肉を緊張・収縮させてしまうと気道が遮られてしまいます。

口の中の方は、上下の歯の間をもう少し開けたり、
舌が口の中で宙にういて口の中の空間を狭く邪魔したりしない
ようにして、最大限に、肺からの息が楽器まで邪魔なくまっすぐ
伝わるような環境をつくってあげねばなりません。


総合すると、順番的には、2の、息がたくさん出入りできる
(支えもつくられる)状態を体の中でつくり、そして、
実際吹奏時には、「体を力ませること無く」深く、沢山吸い、
その上で充分に豊かに流れる息を楽器に送り込んであげる・・

この、音作りにとって一番かかせない息のことを、
フルートを吹くときに、頭のどこか片隅にかならず自覚して
おきたい一つと思っています。



“人の心に響く音楽”とは、
河の流れのような、時に、ジェットコースターのような!?
Spannung [独:緊張(盛り上がるという意味での)] と
Entspannung [緩和] の連続です。

そして演奏で使う呼吸もまた、奏でる音楽同様、
曲の始まりから終わりまで、止まることなく・絶え間ない、
Spannung と Entspanunng の連続なのです。


「いかに吸うか」で次の出る音が決まる、といっても
過言ではないかと思います。

少し、普段の練習で楽器を構えてから音を奏でるその直前に、
このことを思い出して練習にとりかかってみてください。


フルートの巨匠P.L.グラーフが、この練習のための
すばらしい教材『Check up』という本を出していますので、
いつかご紹介&解説を書かせていただきたいと思います。


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