◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆ 本番の緊張には

2010-01-30 00:13:39 | 雑談
遅れましたが、、
先日日曜日の神奈川県立音楽堂でのコンサートには本当に多くの方に
ご来場いただきました、どうもありがとうございました~!

コンサートの24日って実は誕生日だったのですが、
お客様にもなんとあたたかいたくさんの拍手でお祝いをしていただきまして、
もう、こんな感動は初めてで・・思わずじわっときてしまい、
その後のアンコールがあまりよく口のコントロールができず

誕生日のお声がけをしてくださった語りの田添さま、
そしてあたたかい拍手で誕生日お祝いをしてくださったお客さま、
重ねて心からの感謝を申し上げます!!


↑終演後、語りの田添さん(お着物素敵でした♪)とパートナーのピアニスト玄氏と。

◆◇◆

さて、、今回の舞台は、一年以上前から計画が決まっていた、演奏だけでない
大きい企画もの。ホールも、私にとっては初めての1000席規模でした。

本番前は、自分に暗示をかけないよう(笑)あまり口に出して言わないように
心がけていたのですが、私はもともと昔から本番には強くない心臓です

ですので今回は、かつて経験のない大ホールに、映像などともコラボもあり、
実はピアノの演奏もしなければならなかったので(←これが一番・・
当然のことながら多分今までで一番、コンサート前はキンチョウをしておりました

・・が、実は。いざ本番になってみると、今回が一番変な緊張に一度も見舞われずに、
或る意味とてもいい緊張感で、ものすごい集中した演奏をすることができたのです!

これは我ながら非常に驚いています。(笑)
なので今後の自分のため、と何らか皆様の参考になれば・・と、
これを自分なりにちょっと分析してみますと・・


一つは、体をつくったことでした。

大きいホールに、フタをあけたフルコンのピアノ自分の銀の笛の音量がどこまで通るか、
そして体力も最後まで耐えうるだけ持っているか・・など不安要素もあったので、
今回はその心配を見越して、呼吸筋を鍛える某器具(笑)で自分の胸郭周りを鍛えたり、
ジムにいったり・・考えたあらゆる対策で体・体力づくりを試みました。

そのおかげで、今回は呼吸に使う筋肉はもちろんのこと、
あと何となく体全体、足元から頭のてっぺんまで立位の安定感も非常に増し、
息をたくさん吸ってもたくさん吐いても、体内部が変に緊張することもなく・・

この安定が、演奏における安心感に繋がったのだと思います。

いつも、本番になると自分の場合、
「本番は息が浅くなるから深くたくさん吸わなきゃ」とつい考えて、
しかしかえってこの、胸郭をいつも以上にたくさん拡げ吸ってしまうことが、
無理な吸いすぎは、体のバランスを逆に崩し、
息を使う楽器に一番いけない、のど周り・鎖骨周辺の緊張を促してしまうことも・・

今回、本当にちょうど程良く力の抜けた状態でないと音が飛ばない環境で、
よく学ぶことができました。



それからもう一つは、これが本当に大切なことで、

それは、
楽器という概念を離れ、「音楽自体」にイメージと意思をしっかりと持つことでした。

今回一番練習にあたり時間をかけたのは、技術的な練習でも音作りでもありません。
イメージトレーニングでした。

言い換えれば、技術と音色というのは、その曲のイメージがきちんと構築されてはじめて、
こういう音色で奏でたい、こういう風に音を運びたい、と出、練習が行われるものです。

例えば、モーツァルトのアンダンテ、ハ長調。

まずは調性的な角度から。→このハ長調はどんな表情をもつのだろうか?

ハ長調やへ長調、ト長調など明るい長調、そして悲しげな響きをもつ短調など・・

それに加え、同じ長調でも、♭が増えれば増えるほど音楽は低くあたたかく、
また♯が増えれば増えるほど音楽は明るさを放つ響きをだします。

その音楽のもつ「調性」はとても大切にしたいものです。

ハ長調は白色、とか、調を色に例える方もいらっしゃいますね。

それぞれの作曲家をとってみても、その作曲家の色々な他の作品も勉強してみると、
その作曲家の大切な人生の局面で書いているような曲には、
けっこう調性が同じものが使われていたりもして・・とても興味深いです。

そして、調性とともにもう少し掘り下げて考えたいのが、ハーモニー。

もちろん、和声の知識は演奏において、とてもとても大切です。
しかし、例えばそんな「和声の知識はハードルが高い・・」という方でも、
”なんだかここの響き、不協和音で胸をしめつけられそう”とか、

あとは大体、曲中で”あ~!ここのフレーズいい~!”と私たちが純粋に思うところは、
そこは大抵ハーモニーが、ぐっと心をつかむようないい響きやいい進行をしているのです。

そんな、いつもの演奏中の耳から、もう少しだけ注意深く耳を使ってみると、
(ピアノが大体は担っている)ハーモニーの色々な「味」をより感じることが出来、
演奏の集中力は高まってきます。



それから、
その曲の作曲家の生まれた国、生活した国、その作曲家の人生・時代背景・・
といった知識。

曲と、その作曲家の使っていた言語は相当強くリンクしています。

というか、音楽は、言語そのものです。

ドイツやフランス、ロシアやハンガリー、ポーランド、チェコ・・というように、
まずは言語単位でも大きくわけられますし、

もっと掘り下げれば、例えば同じドイツ語でも、
モーツァルトやシューベルトのいたオーストリア(ウィーン)のドイツ語と、
バッハやブラームスの故郷、ドイツのドイツ語はまた違います。

オーストリアのドイツ語は、何だか英語のようにくるくる軽やかな流れも持っていて、
ドイツのドイツ語はもうすこしはっきりゆったり?と重い流れがあったり・・

それは、彼らの音楽と非常に深く強くリンクしているように思います。

それから彼らの生きていた時代を、その時代の全容までは知れなくとも、
今はたくさんの本やテレビで私たちは調べることもできますから、
そこは逆にたくさんの想像力が働いて、音楽づくりにはとてもよく役立つでしょう。


・・・といった具合に、今回は相当に一曲一曲、いえ、1フレーズ1フレーズ
丹念に、「知識」と「イメージ」をつくり上げたおかげで、
1フレーズも緊張にジャマされる暇などないくらい集中できたおかげと、

それから自分のコンディションを努力の限り調整した上での、
あとはある種の、普段は忌々しい!?自分の「キンチョウ」くんと共存の覚悟(笑)

あとは、当日「うまく出来なかったらどうしよう、失敗したらどうしよう」などと
絶っ対にぜったいに考えない!
ただただ、その音楽と、その作曲家と、会場の聴いてくださるお客さまと交信(?)する。


いうなれば、すべてにおいて納得いくまで丹念に準備をして舞台に臨むこと、とまとめ・・
今後の自分によく言い聞かせたいと思います


次回の舞台は2月11日の祝日!
久々に自分の十八番(オハコ)のドイツバロックに世界を戻し、
歴史深いいい雰囲気の洋館、大倉山記念館で、数人のアンサンブルメンバーとコラボで、
ドイツの宮廷で優雅に繰り広げられていたであろう、バロック音楽を再現しまーす
コンサート情報

これはちょっと優雅なドレスを着なければ!?・・笑


♪クラシックブログランキングのサイトです♪
人気ブログランキングへ 応援よろしくお願いしま~す!


◆ 音楽は「知る」とより楽しい!

2010-01-22 22:00:43 | 楽曲
24日(日)に神奈川県立音楽堂で行う新春コンサート、
今日から「直前お篭り練」に突入です。

でも・・ん~~~いいお天気だしたまった掃除や片付けや洗濯をー
・・って早くも予定から脱線



さて、昨日はコンサートの後半で映像担当してくださる方と最終リハ☆

私は演奏本番は背をむいて絵を見られないので、
昨日はコンサートで映し出される絵を見ながら演奏。

ライネッケのフルートソナタ 「水の精」、
「人魚姫」のような童話を題材にしたこの曲ですが、楽譜自体にはもちろん特に
何の解説もないので、案外音楽だけ聞くとまだ情景をつかみにくいです。

なので現在は絶版になっている「水の精」の絵本を、古書を扱うお店で探し入手、

それに加え、楽譜も、私のドイツの師匠の師匠が校訂しているものを今回は使用。

その校訂には、決して具体的なところまでは言及せずとも、とても的を得、
でもすばらしく簡潔に巧くまとめあげられた楽章解説が書かれており、

Ⅰ.水の妖精ウンディーネ。
  水と波の第一テーマ、そして魂を持つ人間への憧れ。

Ⅱ.妖精世界と人間世界の対比。
  妖精で魂をもたないウンディーネと、人間の騎士の恋。そして発展。

Ⅲ.妖精と騎士、恋人同士の対話。
  ・・しかし水の世界から入る二人の愛への妨害をあらわす中間部。

Ⅳ.愛の冷却と悲劇。
  ・・・・

・・4楽章の最後は今はちょっとナイショで!(^^;)


このすばらしい、音楽に対する個々人の自由な想像力を決してかき消さない解説をもとに、
絵本を読みながら、楽譜に向き合うと・・・

1楽章~4楽章の楽曲全般に渡り、ピアノ(時にフルート)の速く・流れるような連符が
常に水の流れをあらわし、それが物語の進みによって穏やかな流れになったり、
吹き荒れる嵐の濁流となったり・・

そんなピアノの奏でる水の流れの中で、フルートやピアノの別フレーズを使って
ウンディーネや騎士の物語を表現し、お話が進んでいく。

あらためて、「音楽のもつ力」のすばらしさの一端を再認識です。
作曲したライネッケは実にすばらしく、物語を彼の閃きで音楽に映し出しています!


またそれを一緒に演奏するピアニストと、
音楽のこの部分はお話のこの部分かな、いやいやこの場面かも、と、
あぁでもないこうでもない、と楽曲を掘り下げながら、
当日語りの方に読んでいただく物語のあらすじも、物語の本質をなるべく壊さないように
要約し、まとめ、原稿に何度も書きなおし・・、

またウンディーネの絵も、そこまでお話に完全に沿うほどの数が残念ながらなかったので、
難しい局面も多々あり・・・

そんなこんなでこの「ウンディーヌ」にはとても手間と時間はかかりましたが
しかしそうしてできた作品は、実際にリハで、楽章ごとに前であらすじを読んでいただき、
自身で演奏しながら絵が目に飛び込んできたときには・・ものすごい感慨深く!
絵を見ながら演奏はとても不思議な感覚で、吹きながら鳥肌がぞわぞわぞわ。。。

聴覚に、視覚や知識(物語のあらすじ)が加わるのってすごい!というか、
こんなにまた聴き方が変わり、曲への入り込み方もまた違うんだ、と我ながら・・
新鮮な驚きを隠さずにはいられませんでした。



さてそして、今回さらにちょっと面白いのは、
その後演奏する曲として、ピアニストがチョイスした「オンディーヌ(ウンディーネ)」。
作曲家ラヴェル(かの有名な「ボレロ」の作曲者ですね^^)の手による同じ題材です。

こちらも、ラヴェルが直接作曲するにあたり閃きを得たという詩を、やはり
バックスクリーンに映し出しながら当日演奏しますが、

こちらのウンディーネは、前作ライネッケと違い、はっきり言って「 面妖 」(^^;)

何だか、こちらのほうがより妖精色が強い、悪ふざけで、口さけで「ケケケッ」と
笑っているような、そんなおてんばで面妖なウンディーヌが特徴の曲です。

同じ物語題材でも、かかる作曲家の手によって、こんなに曲が変わってくるんだなぁ、と
ピアニストの演奏と写しだされる詩をみながら面白く感じました。



そんなオンディーヌの後には、今度も同じラヴェルの曲で物語系、
「マ・メール・ロワ」という曲をやりますが、これも「眠りの森の美女」や
「おやゆび小僧」、「美女と野獣」といった5つのおとぎ話が題材。

物語の雰囲気を、ラヴェルがこれまた音楽で巧みにつくりあげているので、
楽譜を見、演奏しながら、

あ、このフレーズおやゆび小僧が道に迷っちゃったっぽい!
で、ここで鳥が道しるべに撒いたパンを食べちゃったんだ~とか、
このテーマは美女、そしてこれは野獣のテーマ、で二つのテーマがだんだん
3拍子のワルツ風な中で融合していくから、これは二人で踊っているシーンだろうな・・
などなどなど。

イメージを考えれば考えるほど、想像は面白いほど湧き出でて、
演奏しながら飽きることがない・・

通常コンサートでは、耳に入る音楽で、その人それぞれの想像力をかきたてながら
聴くのが楽しみなのですが、

こういう曲たちを集めて公で一挙に演奏することは、中々実現できない貴重な機会なので、
本番はとても新鮮で生き生きと演奏ができるコンサートになるかな
わくわくもしています♪(もちろん稀な大舞台に緊張していますが

こんな企画いっぱいのコンサート、よろしかったらぜひ聴きにきてやってくださ~い!


♪クラシックブログランキングのサイトです♪
人気ブログランキングへ 応援よろしくお願いします!



◆ 24日(日)新春コンサート☆

2010-01-17 00:00:11 | コンサート情報
あけましておめでとうございます!!
・・ってもう本当にどれだけ遅いのだか・・

新年もあけてあっという間に2週間が経ち
本当は奏法関係でブログに書きたい話もたくさん貯まっているのに(><)

当面コンサートがいくつか続き、レッスンの合間に何とかコンサートの準備を
している始末なのでなかなかブログが更新できず・・・・
奏法話を楽しみにこちらに来てくださっている方、本当にごめんなさい~!

それにしてもレッスンには本当に、それぞれに面白く素敵な魅力を
持った方々がたくさん集まってきてくださるので、
この方々と良い音・良い音楽探しを一緒に追求していることで、
奏法お悩み解決のカギの引き出しが確実に自分の中で増していることを実感したり、
私も色々逆に勉強させていただいたり・・で、書きたいことはたくさんなのに!

・・なので少しずつでも、とにかく今年もフルート演奏に有益になる情報を
がんばって発信していけたら、と思っていますので・・
ものすごい(悪い)更新頻度ですが(汗)どうぞ今年もよろしくお願いいたしますm(_ _)m


☆★☆

さて!現在は、今月24日(日)に行うコンサートの準備で、
わたくしけっこうアタマいっぱい、手一杯!になってしまっております(@@;)

今回は1000席規模の大ホールでの「新春コンサート」となるので、
年明けにふさわしく、できるだけ<お祭りコンサート>にしようじゃないか!と、
(といっても決してすごく派手ではありませんが

通常のコンサート形式ではなく、全般にコンサート進行(司会)を
田添菜穂子さん♪にお任せし、演奏以外にも色々な角度から
音楽会を楽しんでいただこう!と現在企画中でございます。

さて、このコンサートの進行・語りを今回一挙に引き受けてくださった田添さん。
元々はアナウンサーとしてご活躍されていたのですが、
現在は多方面でお話語りや司会のお仕事でご活躍されています!

同世代として、同じ女性として、私、かなり普段から尊敬しきりなのですが・・
本当に近くにいらっしゃるだけで周りがぱぁっと明るくなる
すっごくステキな方なのです!

そしてそんな素敵な方は、やはり素敵な趣味もたくさんお持ちでいらっしゃって・・
実は田添さんご自身、フルートをご趣味にしていらっしゃって、
私たちの出会いもフルート!
だから、良く音楽をわかっていてくださり、私たちも安心してお任せなのです

そしてさらに、たしなんでいらっしゃる茶道を活かし、
このコンサートでは新春らしく、お着物でやってくださるとか~!

もう、今から楽しみです♪♪(→そんな素敵な田添さんのブログ『田添菜穂子の一期一会

コンサート前半は、「春」にちなんで、日本の春の歌曲や、
ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ『スプリング』など春の曲中心で、
お聞き馴染みのあるような曲で新春を満喫していただこう、という
普通の演奏形式なのですが、

コンサート後半に、いくつかヨーロッパの童話を題材にした曲を集め、
その童話を田添さんに語っていただきながら、
そのお話の絵や元になった詩も、バックステージに流して演奏をする・・といった形で、

バックスクリーンに映像投影、演奏の合間に語りや他の小道具もはいる・・など、
私にとっては初試みばかりの大プロジェクト、

これらの童話を、ステージでの読み聞かせにおかしくないように、
語りの田添さんと原稿をあーでもない、こうでもないと書き書きしたり・・

音楽のどの部分で、どの絵をスクリーンにうつそうか、と考えたり・・

・・ていうか肝心の演奏はどうなのよ!(@。@;)

・・などと、目をシロクロさせながらも、現在一生懸命準備中でございます


24日の日曜日、もしお時間がございます方はぜひ、お昼過ぎの午後時間ですので
横浜のみなとみらいに、ふらりと音楽付の優雅な日曜の午後を満喫しに
神奈川県立音楽堂に足をお運びください


第25回 かながわ女性会議主催新春コンサート
~ 語りと音楽で綴る、楽しくわかりやすいクラシック「フルートとピアノの妙なる調べ」

 2010年1月24日(日)【開演】13:30 (開場 13:00)

 葛西賀子(フルート)
 瀬川玄(ピアノ)
 田添菜穂子(語り)
   
【場所】神奈川県立音楽堂 (桜木町駅・みなとみらいそば)
【主催】かながわ女性会議
【後援】神奈川県・神奈川新聞社・TVKテレビ神奈川

【チケット】(指定席)4,000円 (自由席)3,000円 (学生席)1,000円
【チケットお申込み】
かながわ女性会議 :(Tel&Fax)0466-27-4089
(E-mail)info@kanagawa-josei-kaigi.org

~Program~

モーツァルト:アンダンテ ハ長調
グルック:妖精の踊り(オペラ”オルフェオ”より)
日本の春 ~ 花(滝廉太郎)春の海(宮城道雄)
      ====
ライネッケ:ソナタ ホ短調 ”ウンディーネ(水の精)”
ラヴェル:オンディーヌ(水の精)<ピアノソロ>
ラヴェル:マ・メール・ロワ(5つのおとぎ話)


♪クラシックブログランキングのサイトです♪
人気ブログランキングへ 応援よろしくお願いします!