◆ふえ・のおと◆フルーティストYoriko KASAI 葛西賀子 officialblog

~ヨーロッパ仕込みの音楽作り、研究を重ねたフルート基礎奏法・・最近は太極拳を通して体幹づくり研究も進んでいます!!

◆下顎の緊張は副産物!

2009-09-30 10:39:15 | 持ち方
「下顎の緊張」というものは、普段特に指摘される機会でもないと、
なかなか自分では”顎が緊張しているな。。”とは自覚しにくいものですが、

これは実はフルートを吹くに際し、あらゆるところに支障をきたす
大きな大きなやっかいものです。


下顎の緊張により、

・繋がっているノドや鎖骨にも緊張がはしり、ノドがしまる
 →呼吸のスムーズさを遮る。

 ついでに・・演奏中のブレスというのは大体が、
 限られた短い時間で瞬時に多量の息を要するのですが、

・下顎が緊張していると、容易に口が開かない!
 息の入り口である口がほどよく開かないと、多量の息を瞬時には
 当然取り込めません。(これは意外と自覚症状が少ないです)

この二つの要因で、呼吸のスムーズさに支障をきたします。



しかしこれはまだ呼吸についてだけの話で・・悪影響は
これだけに留まらず。。。


・下顎が引かれると、口の中の空間が狭くなります。

まずこれだけで、狭い口の中で、舌がその長さを持て余し、
口の空間真ん中にどっかりと居座り!?それが息を遮り・・

またタンギングする際にも、舌はその狭い空間の中で暴れ(!?)
ベタベタな、立ち上がりのスッキリしない発音になってしまいます。

しかし口の中の狭さは、これ(タンギング)だけの問題に留まらず。。



空間が狭いと、出る息柱も当然遮られた息量の少ないものになり、

加えて唇の引きで、息の出口である穴(アパチュア)も大抵は
つぶれますから・・この二つの息遮り要因で、息が楽器に入る頃には、
つぶれた息=つぶれた音となってしまうのです。


 よく私はアンブシュアに関しては、庭の水まきホースを例えにします。
 (子供の頃に実家の庭で植樹に水を捲いた記憶・・)

 ホースで木に水を捲くとき、ホースの先をよくつぶしていました。
 そうすれば水は、スピードがついて四方に散りながらよく飛ぶからです。

 とまぁ・・木に水撒きのときはそれでも良いのですが・・!?
 

 フルートにその水のような息では、音に現れてしまいますよね。

 そう、しかし私たち人間は・・どこかで知らずのうちに、
 唇を引くことで、少ない息でもスピードを容易に上げられてしまうことを
 本能的に知っており、やってしまっている場合があります。

 しかしそれは、簡単に音は出せますが・・先ほど述べたとおり、
 つぶれた、響きを伴わない音。 豊かな音とはかけ離れています。
 
 本当に豊かな音のためには、元の蛇口をもう少しひねり・・!?
 豊かな水流が必要です。(元々の息の方の話ですね。)

 しかしこれはもちろん、
 口・口周りを完全に脱力するという意味ではありません。

 息を最終的な形に”整えるため”くらいの「程よい緊張」は
 むしろ必要ですから・・



少し横道にそれましたが(汗)このように、下顎の緊張は
フルートの音の響きに様々な影響がありまして・・


しかし今日の本題はここで!

実はこれは、顎独自のせいだけではありません!

むしろ、下顎が”そうせざるをえない”状況下におかれ、
緊張が生じてしまっている、ということが最近の研究(!?)でわかってきました。


それは、楽器の保持(持ち方)に大きく因ります。

今回全部は書ききれませんが、
楽器を体に引き寄せ、ほぼ体と平行くらい「真横」に構えることは、
これだけで下顎の圧迫につながり、上記に書いた支障が生じてきます。

実は、楽器は体より「前」。特に、楽器の足部管のほうは、
完全に頭部管よりも前に出てよい、と言っても過言ではないでしょう。
(と、いうことは、右腕が胴体よりけっこう前に出ます。)

これには驚かれるかもしれませんが、それくらい、
唇の下にほぼ平行にガッチリベッタリと楽器をつけることは、
下顎の引き・緊張を(無意識下に)引き起こします。

少し、唇の右側が空くくらいの「斜め構え」が・・
下顎のためにはちょうど良いくらいです。


そうなると、以前のブログで、楽器はうまく「バランス」で保持する
ことを書きましたが・
・このこともとても大切で、

楽器のバランスを保たず、楽器の重心が内側(自分側)にまわっている
状態で下顎につけていることは、下唇と顎にとって大きな負担であり、
知らずのうちに顎の緊張を引き起こしてしまっているでしょう。。



元々ががっちり(!?)握るように持って吹いてしまっている場合には、
治す最初は、慣れずにかなり!!の根気が必要ではありますが、

そもそも、前述のブログ内容のように楽器の持ち方を正すことは、
運指のスムーズさにも大きくつながりますし・・


それを乗り越えれば、楽に吹ける道が必ずひらけていますので

フルートを軽やかに吹きたい!と思っていらっしゃる方は、
ぜひこちらも見直してみてください


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◆アンブシュアを心配する前に、右手??

2008-11-23 16:01:44 | 持ち方
フルートのもつその美しい音色を極めることは、
フルートを吹く上で追い求める永遠の課題の一つだと思います。

そこでよく問題にもちあがるのが、アンブシュア(口の形)。

けれど、ちょっと待ってください!
口の形は、言うなれば息の出口。

水まきホースの口がよく例えにあげられますが、口の形状は
息の出方や方向が変えられるという一つの要素ではあります。

しかし、もともと息でつくられるこの楽器の音は、口を考える前に、
注意すべき「盲点」が実はたくさんあるように思います。


このブログによく登場する、「音を頭でイメージすること」は
今回はさておき(とはいえ技術面とは別に常に大切な事ですが)

今日は技術面において、アンブシュア以前に見直す箇所の一つ、
「右手の持ち方」について少し言及したいと思います。



以前、「持ち方はバランス」というお話をしましたが、その中でも
特に、”右手が楽器にどうつくか”が、アンブシュア(に限らず、
腕や肩、ひいては呼吸までにも)に多大な影響を及ぼします。
あえて、
”右手が楽器をどう持つか”という書き方はしませんでしたが、


右手の親指や、ましてや他の動かす指で、楽器を
”(握るように)持って”しまうことは、
一見楽器をしっかり支えているかのようですが、

この長い楽器・・右手に力が加わりすぎていると、「てこの原理」で
反対端であるリップ部分にも反動で振動が大きく伝わってしまい、

その振動を感じた口が、振動に堪えようと、力が入ってしまう、
という悪循環ループに陥ってしまうのです。

そういううちに、おのずと力んだアンブシュアになってしまう
可能性もあるわけです。


またスムーズな運指の問題からいっても、
本当にリラックスしての速い指の動きの実現には、

理想的には(ピアノ等でもいえることですが)どこの関節にも
過度の力がはいっていない状態をつくってあげることが、
速く、邪魔なく、そして一本一本きちんと独立した指の動きを
させてあげることができるのです。

そのためには、指でなるべく楽器を持つことなく、
前述した「バランス」で楽器を保持することが必要なのです。

◆◇◆

さて、前置きが長くなりましたが、具体的な話です。

① ×            ② ○
  



まずは、親指の指紋側の面積をたくさん使ってがっしり管を
つかんでしまっているようでしたら、やめます。(①)

親指はたたでさえ他の指に比べて短い上、五本すべての指先が
一つの管に位置しなければいけないわけですから、

その短い親指がさらに、指紋部分を完全に上に向けるように
べったり指の腹で管につけて、楽器の下から持ってしまうと、

他の長い指などは否応なしにさらに関節を曲げないと
キィの上に指を置けない状態になってしまいます。

その状態で、(― 人によっては関節が過度に曲がった指でも
問題なく速く動かせるかもしれませんが)

実際的には、指の動き(特に「薬指」)が完全には独立せず、

あるいは、各指が微妙に変な方向に曲がってしまうために、
リングキィだと穴がふさがらない、などの問題が生じてきます。

仮に指の動き的に問題がないにしても、さらには
「手首の曲がり」と相まって、楽器を内側に回してしまい、
下唇・下顎が自然と引かれてしまい、

自在なタンギングや、柔軟なアンブシュアによる音の跳躍や
pp~ffなどの音量のレンジに対応しきれない、など、
フルートを吹く上でどこかしら不都合が生じてくるはずです。


これらすべてをクリアするには、前述したような、

手指をリラックスさせた状態 ―
どこの関節も過度に緊張していない、各関節が緩やかな曲線を
描いているような状態をつくってあげることです。
(もちろんこれには手首も含みます)


右親指は、指の腹の方でなく、なるべく指先に近い方(そうすると
親指が長くなり、他の指が曲がる負担が少なくなります。)
そして、
爪の右上側(ほとんど指先に近い部分)で、管の真下でなく、
管体の少し手前側に軽くつけ、前方向に押す程度で充分です。

もちろんこの親指は、正しいバランス
(左人差し指の付け根の支えを軸とした、
下顎・左人差し指・右親指の”バランス”)をしないことには
楽器がズリ落ちてしまうようでうまくできませんので、
今までどちらか片方の手に負担をかけて持っていた場合には、
一朝一夕にはできず、時間をかけて慣れなければなりません。


しかし、本当に最終的に、
一部の手指に過度の負担がいかない正しいバランスで
楽器を支えることができれば、

アンブシュアへの負担も減り、腕や肩などの過度の力みも減り、
しいては呼吸等への良い影響にもつながっていけることでしょう。


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◆「指の動きが悪い」・・なぜ!?

2008-10-23 14:49:19 | 持ち方
今回は、「私は指の動きが悪くて・・」というお悩みについて。

もちろん、指の運動機能には個人差というのがまずありますので
これから書くことはあくまで、参考の一端としてお読みください。

◆◇◆◇

「指の動きが悪い」 と悩んでいらっしゃる生徒さんに、
私も日々あの手この手の色々な角度から、
その難所が出来るような方向へ導くことを試みております。


もちろん、難所を吹くには、普段(不断)の練習が第一です。

そして普段、”テクニックの基礎練習”として音階や分散和音の
練習をすること、それはもちろん少なからず身になります。

が・・?

そのときの「やり方」、というよりはむしろ「心がまえ」が
ここで非常に大切な分かれ道となります。


私はドイツ修行時代に先生にキッパリと言われました。

「基礎練習に、その日その日に毎日練習目標も定めず、

音に対する細心の(耳の)注意も払わないで、ただ日課として

書いてある音符をただひたすら最後までこなす(通す)

などというものは、おおよそ時間と体力のムダです。

それどころか最悪の場合は、

間違った吹き方を”重ね塗り”しているにすぎない」、と。


◇◆◇◆

さて、「速い動きが苦手」 これには時々、
単なるその人の運動能力に因るものでないことがあります。


私の今までの自分の経験、そして行っているレッスンの中で、
音階などの基礎練習「以前」の問題というものが、指運びに
かなり大きな影響を及ぼしている場合があると考えています。

その中で、無責任にならないよう、
本当に確実な変化がみられた原因をとりあえず大きく2つ・・

一つには、

【楽器の、バランスをきちんと考えた上での「持ち方」】

これは、バランスが悪い持ち方によっては、
指や手、腕、肩などの緊張を引き起こし、運指時に楽器がブレ、

また何より肩の緊張は、呼吸に多大な悪影響となり、
息がまっすぐ管に入っていきません。


意外と見落としがちな、持ち方の見直し →
  体のあらゆる部分において余分なところに力みのない演奏法

というのは、速い指の動きはもちろん、呼吸や豊かな音の為にも
非常に重要な根底問題なので、多分に見直す必要があります。



そして指運びがうまくいかないと言われるもう一つには、
(おもに、音階など速いパッセージができない、というケース)

指実際の、動きの遅さだけが原因でなくて、それ以前の、

【「頭(脳)での音の認識」】

そして、それに伴う息の運び方、さらに言うと、
管に入る息の「不適切さ」が原因となっている場合があります。


このことを文章で説明するのはとても難しいですが、

一定のテンポでしか(しかも速くばかり)練習しないケースに
よく起こってくる害です。


フルート曲によく見られる長い連符の渦・・例えば12連符、
4・4・4で分けるか、6・6で分けるか、はたまた・・など、

これらは、意外と仕切り方を変えると、今まで出来なかった
難しい指まわりがいきなりスラッとできてしまうことがあります。

これは、頭でその音群の認識方法を定めるからなのです。

そして、それを以ってしてはじめて、
「その音」のための「その息」が成されるのです。


モイーズの『ソノリテ』という言葉も、

元々はその「頭の認識」を養っていくことでもあると、
ニコレさんから以前お聞きしたことがあります。



具体的に言えば、「音を頭で認識する」とは、

フルートという楽器はもちろん指使いがあって、
そこに指をおいて息を吹けば、一応その音は鳴りますが・・

最終的には、
声で歌うのと同様に、吹く音いちいち、きちんと頭でまず音を
(瞬時に先行して)奏でる必要があります。

それでこそ、体がその音を鳴らすための用意ができて、そこで
はじめて意味をもった「真の音」が鳴るのではないでしょうか。

※この「意味をもった真の音」に関しては、
 さらに述べたい事項がありますので、後日後述します。


その、「頭の認識度」を息運びと共に鍛え深めていくことこそが、

誰もが、難所でよく言われてしまう、
「ゆっくり練習をしなければならない」

の真意であると、私は思うのです。


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◆フルートって横に長いのです。

2008-09-07 00:41:11 | 持ち方
他の管楽器と違って、横になが~いフルート。

フルートって、アンブシュア(口の形)やら指の動きやら
呼吸やら、色々と考えなければいけないことは多いですが、

そのすべてに大元となる問題が、この横の長さからくる
「持ち方」(そして姿勢)の難しさにあると思うのです。

この横に長い棒が、ヘンな方向を向いてしまっていたり、
ヘンな角度をしていたりすることで、
持つ指や、吹く口、唇、そして顎などに負担がいってしまう。


フルートはバランスで持つ。

さながら、天秤のように。シーソーのように??

左人差し指下の支えが中心の要です。
右手の親指などではありません。

そしてそのシーソーの両端が、口と右手の親指となるのですが、
それらのどちらかに、支える比重が偏っては
この長い棒、もう一方の端に負担がいってしまいます。


なぜこのバランスの大切さを痛感したか。
それは、私がものすごくヘビーな楽器を使いはじめてからです。

この新しいヘビーな楽器を、それまでの楽器の持ち方で持って、
しばらくして右親指が痛い日々が続きました。

そこで重心のバランスをあらためて考え直し、
この「シーソー」を実行したところ、
右の親指の痛みが消えたどころか、指まわりもより軽快になり、
ついでに下顎(アンブシュア)への負担も減りました。

そして、指と顎の負担が減ったことから、
今まで難所だった部分が急にするっとできるようにもなったり。

ほんの些細な一部が、思った以上に色々な所に関連しあって・・

考え出すとキリがない、けどおもしろい!ですね。


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