父親が購入した百田尚樹氏の3作品を借りて読みました。
とにかく、読みやすくて、人気が出るのも納得です。
影法師 (講談社文庫) | |
講談社 |
中士の家に生まれて、人柄も素晴らしく文武両道に秀でた彦四郎と
貧しい下士の生まれで、父親を目の前で惨殺された勘一。
この二人の友情物語です。
まあ、ここまでかっこいい二人の男を書いて、マンガにならないためには、
舞台は江戸時代しかなかったでしょうね。。。
ラストシーンでは泣かされますよ。
永遠の0 (講談社文庫) | |
講談社 |
年末には映画も公開される本作品に、またまた、泣かされてしまいました。
自分の祖父が、特攻で戦死した零戦パイロットだったと知った、姉弟が、
祖父の事を知る人たちを訪ねはじめます。
この作品は、その祖父の宮部の物語という完全なフィクションの部分と
零戦をめぐる戦線のドキュメンタリー的な部分が交互に折り重なっており、
小説としてはややバランスの悪い作りですが、
巧さで読ませてくれます。
自分の祖父や曾祖父が、天皇陛下万歳、お国のためにと、洗脳されて、
部下を殴ることもなく、自分を失わず、家族をいちばんに思って死んでいったと
思いたいですよね。
でも、実際に宮部みたいな人はいなかったと思います。
戦場はそんなにきれいごとではすまないのではないかと・・・。
だからと言って、この作品が心を打つ作品であることを否定するものではありませんが・・・。
海賊とよばれた男 上 | |
講談社 |
海賊とよばれた男 下 | |
講談社 |
本屋大賞で大きな話題になった作品。
こちらも小説ですが、出光興産の創業者出光佐三をモデルにしており、
どこまでがフィクションでどこまでが実話なのかはよくわかりませんが、
出光のホームページなどにある社歴と比べても、大筋はほぼ実話と思われます。
同じ日本人として、こういう気骨のある人がいたというのは誇りです。
大国の顔色をうかがうだけでなく、正しいと思ったことを成すということは、
サラリーマン社長には絶対できないことだし、
株式会社になって株を公開してしまっても、できないですよね。
そういう意味で、現在の資本主義がいかに”人間尊重”の精神から離れて行っているかを
考えざるをえません。
石油という資源を巡って、日本がアメリカとの戦争に踏み切ったというのが定説ですが、
石油業界からの視点でこの時代を見たときに、また少し違った様相が見えました。
この時代、まだまだエネルギーの主役は”石炭”で、”石油”へのエネルギー革命が一気におこることが
まだまだ常識として認識されていたわけではなかったのですね。
また戦後の物語の中の1つのクライマックスが
英国のプレッシャーでどの国も腰が引けていたイランから石油の輸入を行ったエピソード。
恥ずかしながら、この辺の歴史は全く知らなかったです。
今、本当に難しい状況にある、中東地域ですが、
もともと日本への感情が比較的よかった裏にはこんなこともあったのだなと感動しました。
業界にすれば、迷惑極まりなかったでしょうが・・・・。
それにしても、エネルギー業界というのは、今も昔も・・・・だなぁと実感。
百田尚樹氏の本当に読みやすい文章で、
そんな、いろんなことがすっと入ってくるこの1冊は、確かに本屋大賞の価値ありと思いました。