都会の喧騒が聞こえない夜は、
静かな雨音に旅の憧憬が見えてくる。
夏休み前の4連休は、
静かな少し涼しい雨の夜になり、
日中の都会の喧騒を忘れ去り、
雑木林の風雨に揺れる音だけ聞こえた。
その海辺の街は、日中暑い陽射しがさしていた。
そして、僕は今、
その街の星のきらめきの多さと、
夕食のグレープフルーツの香りの残りと、
一緒に騒いでいた仲間たちを思い出し少し興奮していた。
しかし、すでに暗くなっているホテルは、各階の非常口の青白いサインがだけ目立ている。仲間たちが去り二人だけになった部屋の窓からは、街頭で浮かびあがった白い波頭しか見えず二人を空虚にしている。
そして、その街の星のきらめきの失せた暗い海の景色は、二人には漠然とした不安が横たわっているように思えた。
「明日は晴れるだろうか?」、と僕は彼女にひとりごとのように尋ねると、彼女は今にも雨の降りそうな海を見ていた。
僕は明日も晴れれば良いと思った。
Fleetwood Mac - Dreams [with lyrics]
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