夜の雑木林の風雨に揺れる音は消え、
夏らしい蒸し暑い夜が始まった。
しかし、
明けきらぬ朝の始まりは、
その涼しさに少し秋を感じる。
梅雨の明けない不安は、
コロナ感染の増加からのイライラからだった。
谷戸の雑木林では一足早く、
小さなコスモスがひまわりと一緒に咲いている。
学生が休みに入り人波ができる海岸線の街路は、マスクをしながらどこか彼らは楽しそうだ。前方の黄金色に染まる夕日は、彼らの背中をその色に染め鬱陶しさを忘れる。夏らしい厚い入道雲の夕暮れは、街路の木陰からの蝉の声に夏休みの旅の空を思う。
自動ドアが開くと早朝の海辺の街の陽ざしは、二人のうつらうつらとして眼にまだ届いていない。けだるい朝に白色のTシャツきた二人は、ヨットハーバーに向かって歩き始めても、二人はまだ目覚めずにいた。僕は昨日と同じように、砂浜に下りると貝殻集めを始めた。彼女も昨日と同じように貝殻を拾い始めた。“Take my lips, I want to lose them”、と彼女は言った。