「私は、ただ遊んでばかりいるには、歳をとり過ぎているし、
あらゆる希望を捨てるには若過ぎる。」
これは『ファウスト』第一部「書斎の場」で、主人公が塞いでいるのを見て、塞ぎの虫を追いはらってみせようと、悪魔のメフィストーフェレスが、金の縁取りをした赤い服、絹のマント、鳥の羽をさした帽子という派手な出で立ちで訪れたのに対して、ファウストが言い放った台詞である。
如何に若くても遊びほうけるのは愚かだし、どんなに歳をとっても希望を捨てては、生きるしるしがない。一所懸命生きることだ。
ただ最近僕は、大袈裟に言えば人生に疲れた。何故かというと、親しい人が一人去ったと思うと、また一人去っていくのだから。何故先に逝くの?