(数字で表すとすれば僕が80%以上無知な重要問題に関して、朝刊より)
イスラエルとパレスチナ自治政府の直接和平交渉が、1年9カ月ぶりにワシントンで再開された。
オバマ米大統領が双方に強く働きかけた結果である。大統領には11月の中間選挙に向けて外交成果を強調する狙いがあるだろう。しかし、外交ショーだけに終わらせてはならない。
交渉を取り巻く状況は厳しい。イスラエルは和平で強硬姿勢をとる極右政党を含む右派連立政権である。一方のパレスチナ自治政府はヨルダン川西岸だけを支配し、ガザはイスラム組織ハマスが抑え、政治的に分裂している。
米政権は1年以内の合意を目指すとするが、直接交渉で双方が合意に達する可能性は低いと言わざるを得ない。
だからこそ、和平実現には米国の強い指導力が必要である。むしろ、双方の主張を聞いたうえで、オバマ大統領が双方に具体的な和平案を提示するような踏み込んだ役割を期待したい。
オバマ大統領は就任以来、和平はイスラエルとパレスチナの2国共存によって実現すると明言してきた。
それは、イスラエルが西岸とガザの占領を終わらせ、パレスチナ国家が独立することで成就する。そのためには西岸のユダヤ人入植地問題の処理や、双方が首都と主張する聖地エルサレムの帰属で合意する必要がある。
アラブ首脳会議はすでにイスラエルが占領地から撤退すれば集団でイスラエルと国交を正常化することを決めている。イスラエルにとっては自国の安全を確立する重要な機会である。
1948年のイスラエル独立で生じたパレスチナ難民問題も忘れてはならない。国連総会は難民の帰還権を認めたが、イスラエルは約500万人の難民が国内に帰還すれば国が破綻すると懸念を強める。しかし、難民問題が未解決では紛争は終わらない。
オバマ大統領の和平仲介では、同じく米民主党のクリントン元大統領が2000年12月に示した包括的な和平指針の提案が参考となるだろう。
提案では、イスラエルが西岸の9割以上から撤退するが、停戦ラインに近い入植地はイスラエルに編入し、その代わりに、パレスチナ側にイスラエルの土地を与える土地交換案が示された。エルサレムは双方の共通の首都とし、難民問題ではパレスチナ国家を主な帰還先とすることを唱えた。
クリントン提案は任期切れ直前に出され、成就しなかったが、オバマ大統領には双方を説得し、国際社会の理解と支持を得る時間が残っている。
米国が踏み込んだ案を出せば、和平の実現に悲観的になっている双方の民衆に希望を示すことができる。双方の選挙で、和平派が影響力を強めるうねりが出てくるかもしれない。
交渉再開にあたり、そんな期待を描きつつ、和平の行方を見守りたい。
イスラエルとパレスチナ自治政府の直接和平交渉が、1年9カ月ぶりにワシントンで再開された。
オバマ米大統領が双方に強く働きかけた結果である。大統領には11月の中間選挙に向けて外交成果を強調する狙いがあるだろう。しかし、外交ショーだけに終わらせてはならない。
交渉を取り巻く状況は厳しい。イスラエルは和平で強硬姿勢をとる極右政党を含む右派連立政権である。一方のパレスチナ自治政府はヨルダン川西岸だけを支配し、ガザはイスラム組織ハマスが抑え、政治的に分裂している。
米政権は1年以内の合意を目指すとするが、直接交渉で双方が合意に達する可能性は低いと言わざるを得ない。
だからこそ、和平実現には米国の強い指導力が必要である。むしろ、双方の主張を聞いたうえで、オバマ大統領が双方に具体的な和平案を提示するような踏み込んだ役割を期待したい。
オバマ大統領は就任以来、和平はイスラエルとパレスチナの2国共存によって実現すると明言してきた。
それは、イスラエルが西岸とガザの占領を終わらせ、パレスチナ国家が独立することで成就する。そのためには西岸のユダヤ人入植地問題の処理や、双方が首都と主張する聖地エルサレムの帰属で合意する必要がある。
アラブ首脳会議はすでにイスラエルが占領地から撤退すれば集団でイスラエルと国交を正常化することを決めている。イスラエルにとっては自国の安全を確立する重要な機会である。
1948年のイスラエル独立で生じたパレスチナ難民問題も忘れてはならない。国連総会は難民の帰還権を認めたが、イスラエルは約500万人の難民が国内に帰還すれば国が破綻すると懸念を強める。しかし、難民問題が未解決では紛争は終わらない。
オバマ大統領の和平仲介では、同じく米民主党のクリントン元大統領が2000年12月に示した包括的な和平指針の提案が参考となるだろう。
提案では、イスラエルが西岸の9割以上から撤退するが、停戦ラインに近い入植地はイスラエルに編入し、その代わりに、パレスチナ側にイスラエルの土地を与える土地交換案が示された。エルサレムは双方の共通の首都とし、難民問題ではパレスチナ国家を主な帰還先とすることを唱えた。
クリントン提案は任期切れ直前に出され、成就しなかったが、オバマ大統領には双方を説得し、国際社会の理解と支持を得る時間が残っている。
米国が踏み込んだ案を出せば、和平の実現に悲観的になっている双方の民衆に希望を示すことができる。双方の選挙で、和平派が影響力を強めるうねりが出てくるかもしれない。
交渉再開にあたり、そんな期待を描きつつ、和平の行方を見守りたい。