原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

Japan as No.1.

2012年03月09日 08時00分25秒 | 社会・文化

 いまや昔懐かしい言葉となってしまった。Japan as No.1は、バブル景気に沸いた日本経済を評価する社会学者エズラ・ヴォーゲルの1979年に出した著書のタイトルである。再びそんな時代が、と早とちりをしてはいけない。経済とは関係ない国別の観光客イメージ調査の結果の話。ベストツーリスト(世界最良の旅行客)に2年連続で日本が選ばれた。2008年の調査(なんで今頃発表?)というのがちょっと気になるのだが、ま、それも良しとしよう。ベスト10はほとんどが欧米の国。その中で日本は断トツの一位。この評価はやはり嬉しい。では、最下位はどこかと気になる。これまた納得の国であった。イメージ調査というのは、いろいろな意味で正直である。

 (参照:http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0806/10/news016.html#l_ay_tourist02.gif

調査した会社はオンライン旅行販売会社の米国エクスペディア社。世界の4004軒のホテルマネージャーを対象に調査している。いろいろな項目で調査し総合点を出す方式。日本がトップで評価されたのは「行儀がよい、礼儀正しい、静か」の三点。面白いのはこの三項目でいずれも最下位となったのがアメリカ。しかし、「お金を使う、チップをくれる」という二点ではトップ。従って総合点では11位にランクされていた。最下位の項目は一つもないにもかかわらず、各項目で下位に位置し、総合で最下位(21位)となったのが中国であった。やはり、と、ひとり納得した。

 北京オリンピックや万博が開かれ、多少は国際的標準が国民に理解されつつある中国ではあるが、そのマナーの悪さというか文化の違いなのか、政治同様でかなり異質なのだ。一度でも中国を旅した人なら、まず彼らの日常にただ驚かされる。そのまま外国でも同様に行動するのだから、たまらない。当然、彼らには外国人が驚いた目で見ていることなど全く気付いていない。

端的なのはレストランの行動。彼らはレストランのテーブルは汚すことがマナーだと思っている。汚すほど料理がうまかったという証明となる。そこで食べかすをテーブルの上にどんどん置いていく。口から直接吐き出すのである。当初その行動を見た時はさすがに驚いた。これを理解するのに時間がかかった。中国のレストランでは当たり前の行為なのだ。レストランはテーブルクロスに紙を使い、食後はその紙ごと食べかすを包んでごみ箱へ運ぶ。中国国内はそれでいいのだが、外国はそうはいかない。ましてホテルのレストランではただ驚愕するのみ。

時間を守らない、列を作らないという習慣は旅に出ても全く変わらない。日本に来た中国人グループが集合時間でトラブル見せるのは、もはや当たり前のこととなっている。

引率してくる中国人添乗員が懸命に観光客を教育するのだが、そんなことに耳を貸す人たちではない。いきおい添乗員も怒鳴り散らすようになる。中国人観光団は喧噪のなかで旅を続けている。信号を守らない、並んで順番を待つことを知らない人たちは、外国に行っても同じなのだ。これではたしかに嫌われる。外国に慣れていないとか、急に豊かになったから、という言い訳もあろうが、基本が違うのだから修正は難しい。

 かつて、日本も非難を浴びた時期があった。バブルの前、高度成長で海外へ旅行をする人が増えた頃である。当時の日本人の海外旅行と言えばパックツアーの団体旅行。列をなして海外の町を歩く姿が見られた。この時、悪評を呼んだのが「ノーキョー」。ステテコ姿でホテル内を闊歩して評判を落とした。ノーキョーの言葉はマナーを知らない日本人の代名詞となった。しかし、これは日本バッシングの一部として過大に宣伝されたもので、より多くの日本人が海外に出かける時代が来ると見事に評価が変わっていた。日本人には基本的なマナーがあった。国際感覚がないと言われた時代でも、自分の家と他人の家の違いくらいは理解していた。

同じことが中国人に言えるかと言うと、それはちょっと難しい。まず彼らに反省が全くない。むしろ、急成長した自信が表に出てきて、傲慢にさえなっている。アフリカや中東などに進出する中国企業が増え、中国人観光客もこれらの国で急増している。同時にいろいろなトラブルが噴出している。これらの国では中国人は来ないでほしいという声さえあがっている。

アジアの観光地でも同じ声を聞いた。十年ほど前は韓国人が一番嫌われていたが、今は完全に中国人が嫌われている。日本人の我々にこぼすくらいだから、相当困っている。評価を落とす要素は、「うるさい、汚す、威張る」の三点。中国人の特性はどこでもよく表われている。

いま、日本経済はどん底に喘いでおり、観光地はとにかく人が来てほしいと願う。中国人の受け入れにも躍起となっている。北海道知事などは中国にまで出向いて誘致に力を入れた。格安飛行機便も登場し、日本への上陸は一層増えている。しかも政府与党はなにを狂ったのか、中国人の入国ビザの規制を緩和した。これにより迷惑な中国人観光客が一層増えることを覚悟しなければならなくなった。断言するが、国際感覚に慣れたならマナーが変わるなどという甘い期待は、中国人に関しては持たない方がいい。彼らは中国でも海外でも同じようにしか行動できない国民性なのだ。このことを十分に理解して受け入れるべきだ。

 アメリカ人への評価もかなり正確だった。彼らはとにかく部屋を汚す。使い方が滅茶苦茶なのだ。シーツに食べ物のしみがつくなんて言うのは当たり前、タオルはべとべと、部屋はゴミだらけ。アメリカ人観光客の後は掃除が大変というのがホテルマンの常識なのだ。これはアメリカ人も認めている。それでも金はよく使う特徴がある。ホテルにとっては痛しかゆしと言うことだろうか。

ドイツが総合二位にランクされていた。これは少し意外に思う。ドイツ人は日本人によく似ていて、礼儀正しく、静か。この点では納得できるのであるが、意外にホテルマンにとっては評判はよくない。何しろきちんとしすぎているというのがある。時間通りレストランがオープンしないとすぐ文句を言う。特にイタリアなどのように時間にルーズな国ではドイツ人の評判はすこぶる悪い。

 こうして見ると日本人というのは観光客として実にバランスがとれていると言えるだろう。この品の良さが逆に外交力の弱さにつながっているとしたら、残念でもあり、問題でもある。国際的な評価が年々下がっていくのも、単に経済的な衰退だけでなく、この品行方正さが裏目に出ているとも言えるかもしれない。

 *なおこの調査で言う中国人には台湾人は含まれていない。台湾人は中国人と全く違う感性を持っており、むしろ日本人に近い。誤解のないように。

*写真は今週、道東を襲った大雪の様子。ドカ雪は一晩で1mも。道東では珍しい風景なので、テーマとは関係なく紹介。


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3 コメント

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スペイン人・・・ (numapy)
2012-03-09 08:54:20
もう35年も前のことになりますが、スペインを三週間かけて旅したことがありました。
アンダルシアにはバスツアーで行ったんですが、このバスの運転手に実に気に入られました。事あるごとに話しかけてくる。英語とスペイン語、それに身振り手振りで話をするんですが、話の締めくくりはいつも「ニホンジン スキ アメリカジン ノー!」でした。もっとも彼もスペイン人らしく、昼食時にはワインをたらふく飲み、セビリアでは二日酔いのためバスの出発が2時間遅れた。お国柄ですかねぇ・・・。
スペインも確かに。 (原野人)
2012-03-09 09:18:34
スペイン人の人柄にはとても惹かれるものがありますが、我々にはなかなか理解できないことが多いです。飛行機の中で携帯を使い、CDを聴き続け、CAに注意されても言うことを聞かない。あげくは飛行機を下ろされそうになってようやく、やめる。などと一部の人だけだとは思いますが、自分流を貫きますね。日本人には考えられない常識があるようです。これが海外と言えば海外ですね。ちなみにこの調査ではスペインは16位でした。
日本人のバランスの良さはやはり世界一だと思います。震災後の日本人の落ち着きを諸外国は驚いていますが、我々には当たり前のこと。この日本を理解するのは外国人にはやはり無理だと思います。
NHK (ぽけっと)
2012-03-09 21:51:51
こんばんは ぽけっとです 土曜日朝7時30分から
8時までの間 SLの番組があり わずかにぽけっとが
でます お時間あいましたら ごらんくださいませ

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