原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

千葉法務大臣に、イエローカード!

2009年12月01日 10時05分28秒 | 政治
政権交代が実現して三カ月。それなりのスタートであったと、一票を投じた自分としては一応の評価をしている。しかし、問題は多い。JALやダム、普天間などの問題は自民党政権の負の遺産であるが、総理の献金疑惑や幹事長の西松建設問題は深刻。方向も定まらない経済対策も不安である。だが、それ以上の問題がある。法務大臣である。法の番人としての最高権力者だけに、政権の行く末にもかかわる大きな不安を感じざるを得ない。

千葉景子法務大臣の任命は正直、当初から疑問に感じていた。その不安が、わずか二カ月で的中した。11月17日の国会における棚橋代議士や稲田代議士の質問に右往左往する大臣(衆議院法務委員会)を見た人は、誰でも大いなる疑問を感じたであろう。
動画サイトのYOUTUBUで公開されているので、時間がある人は見るとよい。

北朝鮮による拉致実行犯として日本の警察から手配されている辛光洙(シンガンス)が韓国で逮捕された際、その解放の嘆願書に署名をした一人が千葉景子代議士。1986年のことで、旧日本社会党時代の話であった(管直人代議士も署名している)。法務大臣となって、この時のことを質問されたのである。しどろもどろの応答に動揺のすべてが表われていた。回答も実に不自然であった。
「韓国民主化のための政治犯を解放するための署名であった」と答えているが、正確には「在日韓国人政治犯釈放の要望書」であった。このとき辛光洙がそこに入っていたことを認識していなかったと答弁している。まずどんな人が拘束されているのかも確認しないで釈放要望書に署名するなんて信じられない。迂闊どころの話ではない。しかも辛光洙が入っていたかどうか、分からなかったというのは明らかな嘘。一年前に国会でその名があがっており、なおかつ新聞などでたくさん報道され、私でさえ認識していた。
当時の社会党やその後の社民党は、一貫して北朝鮮による拉致はないと宣言していた党である。その流れの中で見れば、意識的な行動であったことは歴然としている。
小泉元総理が北朝鮮に乗り込んで、あの将軍様に拉致を認めさせ、一つの道が開かれた。この時、官房副長官であった安倍晋三が、辛光洙の解放に署名をした代議士を名指しで「マヌケ」と罵倒した。さすがに社民党は怒って「あの当時、辛光洙は拉致犯として確定されていなかった」と反論した。つまり辛光洙を解放する目的があったことを自白したようなものであった。それを現法務大臣は認識していないと言い放ったのである。
辛光洙は韓国で死刑判決を受ける。その後、無期懲役に減刑され、太陽政策の金大中により、2000年のミレニアム恩赦を受け解放。その翌年には北朝鮮に帰国。国家の英雄として凱旋し、いまも、のうのうと暮らしている。彼に拉致された原さんをはじめ多くの日本人の生死さえ不明だというのに。千葉法務大臣は拉致被害者にどのような謝罪をしたのか。

この件は過去のこととして鳩山総理は不問にした。しかし、このような法務大臣には注意が必要である。その危惧が早くもでている。法務大臣に就任して一カ月もならない10月9日、国外追放の判決が出ていた中国人姉妹に、法務大臣の権限で在留特別許可を与えたのである。この姉妹は日本人残留孤児の娘と主張する母とともに一家で日本に移住してきた。ところがこの残留孤児というのは全くのウソであることが判明。不法滞在者として国外追放となった。ところがこれに異議を唱えて上告。最後は最高裁の判決で不法滞在が確定していた。それを大臣が覆したのである。その理由が不明で、国会の場でも法務大臣はきちんと説明しようとしない。納得できれば、我々も認めるはず、税金で生活保護を受けることも認める。最高裁の判決を覆す理由を言えないわけがあるのでは、と疑ってしまう。

千葉景子代議士が死刑廃止論者であることはよく知られている。「死刑廃止を推進する議員連盟」に所属していた。さすがに法務大臣となってすぐ連盟から脱退した。だが、この大臣が死刑行使に署名することはあるのだろうか。疑問に思うのは私だけではないだろう。主義主張を持つことは人間の権利として当たり前のこと、だが法律を曲げて従わないのは、明らかな違反行為となる。法務大臣が死刑執行に署名することは義務付けられている。これをしたくないのであれば、速やかに大臣をやめるべきであり、もし法務大臣となるなら、法改正をしてから就任すべきであろう。
法の最高権力者が法を守らないということになれば、法治国家日本の崩壊につながる。

しかしながら、日本のジャーナリズムはどうしてしまったのだろうか。前総理の漢字の読み違いに、あれほどフィーバーするのに、こんな重要な問題を提起する大新聞、テレビがないというのは、どういうことなのだろう。せめて国会討論ぐらい知らしめる努力をするべきだと思うのだが。

千葉景子法務大臣、あなたには限りなくレッドに近い、イエローカードを与えたい。

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4 コメント

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知らなかった。 (numapy)
2009-12-01 15:58:33
恥ずかしながら、千葉大臣が死刑廃止論者とは知ってたけれど、辛光洙(シンガンス)解放の嘆願書にサインをしてたのは知りませんでした。
そういえば、旧社会党は拉致はないと言い張ってましたね。この頃から、国民感情と離れすぎてる。
政党のための政党でしたね。だからこんな体たらくになる。それにしても、法務大臣、影が薄いですね。
夫婦別姓問題にスポットが当たるだけですね。
最も、拉致問題は首相に任せたほうがいいかもしれない。
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すべて旧社会党主導でした (原野人)
2009-12-01 22:11:58
村山富市、土井たか子、田英夫、上田哲など社会党のすべての党員が解放嘆願書に署名しています。千葉景子などは当時まだ無名の議員。目立っていなかっただけですね。
拉致問題がこれほど遅れたのは、社会党のほかに自民党の有力幹部が結託して警察に圧力をかけた結果です。拉致被害者の会の人が、絶対に許せない政治家としてその名前を挙げています。警察だけでなく、拉致被害者の会のにも圧力をかけていたそうです。政治家はだれのためにあるのでしょうかね。
千葉法務大臣をみると、日本人より韓国人や中国人を大切にする人のように見えます。残念です。
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私も…(**; (BEM)
2009-12-07 19:18:28
知りませんでした。
死刑廃止論者ということは最初に公表されていましたが、事業仕分けや普天間問題などに隠れてこんなことがあったとは。
一応ニュースは一通り目を通しているつもりでしたが、まだまだメディアが報道しないことは多いのですね。
どうも意図的に大きく報道していないような気がしますね。
旧社会党出身の議員もいるでしょうし、連立の社民党もいますから、今後もこういうことが起きても不思議じゃないかもしれませんね。
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過去はいいのですがne。 (原野人)
2009-12-07 23:28:27
つい先日、韓国人による従軍慰安婦問題を提起する集会があったそうです。その会合に、法務大臣は祝電を打ったそうです。
なにか、大きな目的を持っているのでしょうか、この人は。とても奇異な行動に見えますね。
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