政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

蟻地獄にはまった麻生太郎

2009-02-12 08:07:15 | 麻生太郎
ブレながらも、支持率は上昇することなく下降の一途。
今回の「郵政民営化”わたしは反対だった”騒動」で、麻生はさながらアリ地獄にはまった蟻。もがけばもがくほど深みにはまっていく。
発端は
麻生首相:郵政4分社化体制「見直すべき時に来ている」 (毎日jp 2/5)

記事から要点だけピックアップすると、

麻生太郎首相は5日の衆院予算委員会で、日本郵政グループの4分社化体制について「四つに分断した形が本当に効率がいいのか。もう一回見直すべき時に来ているのではないか」と述べ……

首相は05年4月の同法の閣議決定当時は総務相。5日の予算委で「小泉(純一郎)首相のもとで私は郵政民営化に賛成じゃなかった。私が反対と分かってたので、(総務相の担当職務から)郵政民営化担当は外された」と自ら披露した。


4分社化の是非に加えて、民営化反対であったことを明言した。
犯人は竹中平蔵でオレは濡れ衣、とも。
しかし、その日のうちに発言を微調整。

首相は5日夜、首相官邸で記者団に「(見直し)内容に私がこうしろああしろと言う立場にない」と述べ、具体的な議論からは距離を置く姿勢を示した。

総理大臣が「見直すべき時」と言ったら、それを指示するのが総理としての責務であろう。
総理大臣・自民党総裁は「ああしろ、こうしろ」という立場である。
国会で独り言を言ったわけではないのだ。

麻生首相:郵政巡り、迷走 民営化「賛成じゃない」→「勉強して賛成」 (毎日jp 2/10)
民営化に反対していた時期について首相は、5日の段階では05年の関連法の閣議決定や衆院の郵政解散時としていたが、9日になって「03年の総務相就任時」と修正。「(その後の在任中の)2年かけて勉強し、最終的に賛成した」と説明した。


図々しくもまた大修正。
「最終的に賛成した」のなら、結局は賛成だったのだろう!
「2年かけて勉強し」?
”口は重宝なもの”、というが、それも説得力ある言い訳ができた場合。
麻生の場合は、”口は災いのもと”。

郵政めぐる混乱、「支持率の内容の分析は私の仕事ではない」 2月10日午後5時過ぎ (毎日jp)
A:郵政を含めます総務大臣というのですが、総務大臣を私、2期やりました。小泉内閣の下で。1期目は間違いなく、郵政民営化を担当する所管の大臣、しかし後半の二期目、いわゆる決定する時には、私は、郵政民営化担当というのを外されて、郵政省所管の大臣ではありました。従って二つ分けてお話にならないと混線されるんだと思います。


笑うしかない。
こんどは二重人格論。
総務大臣を二人に分けて弁解。
ウーン。
意想外の反論である。
馬鹿馬鹿しいが、それにしても「よく言うわ」
言い訳もだんだん程度が低くなる。

Q:昨日の予算委員会の答弁で、総理は「2005年の郵政選挙で民意を問うたのは、郵政の民営化であって、4分社化は通っていない」との発言をされました。

A:ああ、法律的にはね、あの中に入っていますよ。だってあの時、法案は通っていますから。だけど多くの国民の中で、4分社化、3分社化、2分社化というのを知っていた方はほとんどおられないと思いますね。

Q:それでも1年前に決定した郵政民営化の基本方針。4分社化というのは盛り込まれているわけです。

A:はい。

Q:選挙をやる以上、そういった基本方針の具体的な中身についても問うていると考えるのが自然では?

A:ああ、それはそうかもしれません。それはそうかもしれませんが、ほとんどの方は「あの時、4分社化知っていましたか?」と言われて、知っている人はほとんどおられないというのが私の認識ですから、当時は郵政民営化か、そうではないかであの選挙は問われた。私は、一般的な有権者の方々の意識は、みなさんほど詳しくないと思っていますけどね。

Q:総理は矛盾されているとはお考えにならないですか?

A:いいえ、私はあの時、その4分社化、3分社化入ったというのは、法案を知っていますから、内容は知っていましたよ。知っていましたけど、国民が感じていたのは民営化か、そうではないかだけだったと思います。内容を詳しく知っておられる方はほとんどおられなかったと思います


こうなるとどんな悪口雑言も麻生のひどさには追いつけない。
あの郵政選挙は、国民の十分な理解がないまま行われた、と言っているのである。
あの選挙は詐欺であったといっているのである。
自分たちの議席は、詐欺によって得た議席であるといっているのである。

弁解が次の弁解を呼び、そのたび麻生の本性を暴き出す。

さてまたまた世論調査。
もはや麻生による頽勢挽回の可能性がないことは、自民党の連中にも分かってきただろう。
内閣支持、最低の14% 朝日新聞2月世論調査 (asahi.com 2/9)
景気回復後に消費税を引き上げることには賛成が45%、反対が47%と拮抗(きっ・こう)した。

引き上げ時期を決めなかったことを「妥当だ」とする意見は67%で、「妥当でない」は21%。

国家公務員の天下り問題についても聞いた。省庁によるあっせんは3年以内に禁止され、国の官民人材交流センターに一本化されることになっていたが、これを麻生首相が来年に前倒しする方針を示したことには、「評価する」が55%。「評価しない」の30%を上回ったが、「評価する」と答えた人の間でも内閣支持は19%しかなく、支持回復には役立っていない。


これらの数字は何を意味しているか?
国民は政策によっては支持するものもある。
しかし、内閣支持率にはつながらない。
つまり、今後自民党がいくらまともな政策を打ち出しても、麻生がいる限り内閣支持率は上がらないということである。

自民党に残された道は”麻生隠し”くらいしかない。
なるべく麻生を人前に出さないようにする。
やむを得ず人前に出すときは、なるべくしゃべらせないようにする。
「あんたは黙って座っていなさい」としっかり念押ししてからでないと、どこにも出さない。
それでも自分がバカだとは知らない麻生は、黙ってはいられない。
マイクを向けられれば反射的にしゃべりだす。
このまま麻生が総理・総裁を続けていれば、次に来るものは”自民党隠し”ということになる。
選挙に自信のない連中は麻生の名ではもちろん、自民党の名の下でも戦えまい。
極力、自民党という名前を出さずに選挙に臨むことになろう。
かといって、自民党を出ることもできない。
対立候補でも立てられたら、元も子もない。

次の総選挙で自民党が政権を維持できる可能性はきわめて小さくなっている。
一旦政権から離れれば、自民党は時の経過とともに空中分解、雲散霧消ということになる。
政権にしがみつこうとすればするほど、じり貧になり、再生の道は遠のく。



麻生や今の自民党では無理だろうが、ここは一度自ら政権の座を離れるという決断
をすべき時である。
予算が成立した時点で麻生内閣は総辞職をする。
続く総理大臣の指名選挙には候補者を立てない。
つまり黙って政権を野党に譲るということである。
民主党は政権を獲っても、この状況下では解散はできないだろう。
しかし、9月には必ず総選挙が行われる。
自民党はこの間、民主党政権の失敗や混乱をじっと見つめ、徹底的な自己改革の努力を国民に見せて総選挙に臨む。
民主党政権のもたつきやつまずきは必ず随所で見られるはずである。
潔い自民党、生まれ変わった自民党と口ほどになかった民主党。
9月の総選挙で、たとえ勝てなくとも再逆転の芽は残る。
このまま麻生で大惨敗を喫するよりはよっぽどましだろう。
永遠に弱小野党に成り下がるか、それとも近い将来の政権奪還の可能性をとるか?

しょせん今の自民党には無理な話か。




暫定税率廃止!天下り禁止!議員世襲禁止!


古書 那珂書房

特に歴史書が充実しています