政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

おいしすぎるおまけつき・かんぽの宿とオリックス

2009-02-03 12:18:17 | 政治
鳩山総務相の提示した疑問は素朴な国民の疑問でもある。
今回だけは鳩山が正しい。
日本郵政は入札手続きの正しさだけを言っているが、国民の疑問をそらし、あるいは問題を矮小化しているだけにすぎない。
疑惑は入札手続きだけではなく、郵政民営化論議から始まる筋書きにある。
不思議なことがいっぱいある。

◎ かんぽの宿が簡易保険会社ではなくなぜ日本郵政の所有になっているのか?
西川が自分の手で売却できるようにしておいたのか?

◎ 資産評価を収益還元法で行っているが、赤字事業にこの評価法を使えば、評価額はとんでもなく低いものになるのは当然ではないか。
もともと収益還元法とは将来の収益予測をもとに現在価値を計算する評価法である。赤字の事業資産にわざわざこの評価法を適用するのはおかしかろう。
わざと評価額を低くするために用いたとしか考えられない。

◎ 毎年の赤字が40億円というが、これらの資産の簿価と償却費の内訳を発表してほしい。
取得費用は土地で400億円。建物・設備等に2000億円とか。
とすると年間償却費は30~40億円になっているのではないか。
(耐用年数を仮に50年、残存価額10%とすると年間36億円)
ということは、オリックスがこれを100億円程度で取得したとすると、償却費負担は限りなくゼロにちかづく(せいぜい1~2億円)。オリックスは何もしなくても初年度から利益がでてしまうのではないか。
もっとも耐用年数が短くなっているだろうから、償却費はもう少し大きくなるか。
かんぽの宿:売却額、対立深く 総務相・日本郵政、ともに譲らず (毎日jp 2/1)
日本郵政によると、70施設の土地代は約295億円、建設費は約2107億円。例えばさいたま市の「ラフレさいたま」(00年9月開業)は約286億円をかけたが、08年9月末時点の帳簿価格は約16億円。


普通に償却を続けていれば有り得ない簿価である。もともと、収益をあげることを目的としていない事業資産を、収益があがらないからといって、減損処理し、無理矢理簿価を下げたとしか思えない。
こんな巨額の減損処理を行えば、どんな事業でも赤字になるのは当たり前だ。
民間の営利事業資産の評価に適用されるべき評価法を非営利資産に適用した現在の簿価を見直すべきであろう。

◎ これはこの話の一番おいしい部分。こんなおまけまで付けて何で売り急ぐ?

Press Release

2008 年12 月26 日
各 位
オリックス株式会社
オリックス不動産株式会社

オリックス不動産株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:西名 弘明、
2009 年1月1日より山谷 佳之が就任)は、2008 年4 月1日付の日本郵政株式
会社による公募、および二度の競争入札( ※ 1)を経て、この度「かんぽの宿( ※2)」
の事業譲渡先に選定されました。本日、譲渡契約書への調印を完了し、2009 年
4 月1日付にて譲り受ける予定になりましたのでお知らせします。
※1 :日本郵政株式会社法附則第二条第一項により、2012 年9 月末日まで(民営化後5年以内)
に宿泊施設はすべて譲渡または廃止されることになっています。
※2 :かんぽの宿・かんぽの郷・ラフレさいたま、および各施設に付帯する社宅などの施設、首
都圏社宅を含みます。
オリックス不動産㈱は、別紙のように既に4つの温泉旅館(別府「杉乃井ホテル」、会
津若松「御宿東鳳」、熱海「ホテルミクラス」、鳴子「鳴子ホテル」)の再生事業に取り組ん
でいるほか、研修施設、水族館、ビジネスホテル、高齢者向け介護施設、京セラドームな
どの施設運営を手掛けており、これらの運営で蓄積したノウハウを「かんぽの宿」の運営
に生かしてまいります。さらに、全国36箇所でゴルフ場を運営するオリックス・ゴルフ・
マネジメント㈱
との提携商品の開発や、全国でレンタカー829店舗を運営するオリックス自
動車㈱
とも連携し、将来的にはカーシェアリングのサービス提供など、エコツーリズムの
普及にも寄与したいと考えています。加えて、オリックスグループの主要顧客である全国
50万社の中堅中小企業さま
に対しては、新しい福利厚生プランのご案内なども積極的に進
めてまいります。
また、団塊の世代を中心に現在110 万人を超える「かんぽの宿メンバーズ会員」の皆さ
まに、新たなリテール商品・サービスの提供も可能です。オリックスグループのみならず、
広く民間の英知・活力を結集し、会員の皆さまのご期待に沿えるよう努力してまいります。
オリックスグループは、本事業譲渡を受け国内最大規模の温泉旅館ネットワーク(総室
数4,200超、年間宿泊者数250万人超 ※オリックス不動産調べ)
をリテール・運営事業の新た
な柱と位置づけ、移籍を希望される全従業員の方々とともに、国民の皆さまに親しまれて
いる「かんぽの宿」をさらに発展させてまいります。
なお、新設分割による具体的な譲受けの仕組み、および取得後の各種施策・投資計画な
どについては、後日改めてご案内する予定です。
以上
オリックス不動産 「かんぽの宿」など全国70 施設+社宅9 施設の事業譲渡先に選定
~オリックス、リテールサービス・運営事業に本格進出~
【本件に関するお問い合わせ先】
オリックス株式会社 社長室 横井 河合 ℡:03-5419-5102
オリックス不動産株式会社 社長室 高橋 永井 ℡:03-3435-3411

(Press Release をクリックしてみてください。かんぽの宿を組み込んだオリックスの全国展開の地図があります)

「団塊の世代を中心に現在110 万人を超える「かんぽの宿メンバーズ会員」
一番お金を持っている世代が110万人。
金貸し・カード事業会社オリックスとしてはおいしすぎてよだれタラタラ。
これだけで100億円だしても惜しくないというものだろう。

本事業譲渡を受け国内最大規模の温泉旅館ネットワークを築く積もりでいるようだが、そのためにも一括譲渡はもってこい。むしろ一括譲渡でないとオリックスとしてはうまみがないのだ。個別に取得していたのでは、国内最大のネットワークの構築というわけにはいかないし、110万人の会員組織が手に入らない。

それやこれやでオリックスにはまさに100年に1度の大もうけ。
オリックスはそもそものはじめからかんぽの宿を狙っていたとしか思えない。
とにかく、うますぎる話には裏がある、とかんぐるのは庶民の常。

◎ 入札経緯について。
入札参加者ははじめ20数社。それが最終的に2社にしぼられ、その2社のうちの1社が辞退したそうだがこれも不透明な印象を与える。
その1社の辞退の理由も明らかにすべきだろう。

◎ 民間企業の取引について政府が口出しするのはおかしい、というようなことをいう連中がいるが、日本郵政は形だけは民営化しているが、民間会社ではない。100%政府保有の会社である。つまり国民のものである。株主(財務大臣一人だと思うが)の主人である国民が経営に口をはさむのは当然の権利であり義務である。

今回の払い下げは、「オリックスの、オリックスによる、オリックスのための」払い下げ事件というべきだろう。
日本郵政は資産を安く売るための努力をしているとしか見えないのも納得できない。
「入札価額は決して安くはない」などと言い訳するところはなお怪しい。




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