ある日の上級クラスの授業中のこと。
「白米」という言葉が出てきたので、ついでに「玄米(ロンティーサン)」のことを話した。
玄米にはビタミンE,B1をはじめ、ミネラル、食物繊維などたくさんの栄養分があって健康にとても良い食品であることを説明した。
そして、生徒たちに玄米を食べたことがあるか質問したところ、生まれてから今までに玄米を食べたことがある生徒は20人中一人もいなかった。
なぜ食べないのか理由を聞いたら、
「ミャンマーでは玄米を食べる習慣もないし、米屋にも売っていないから。」
という答えだった。
日本人ならほとんど誰でも、玄米を食べた経験を持っていると思う。
さらにミャンマーの米の炊き方は独特のものがある。
鍋一杯の水を火にかけて米を煮るのであるが、途中でおもゆを全部捨ててしまうのだ。
あのおもゆの中にも栄養分がたくさん含まれているのに、どうして捨ててしまうのだろう。
確かに、途中でおもゆを捨てると炊き上がりがふっくらパサパサして食べやすく美味しい。
この炊き方であれば、消化がよくお腹がもたれることはなく、たくさん食べられるのだ。
しかし、栄養価という点で言えば、問題があるように思われる。
ときどき朝の授業で女子生徒が何回か貧血で倒れたことがある。
立っているわけでもなく、座りながら気絶しているのである。
貧血で倒れる子は、朝からあまり食事しないで学校に来ているのだが、原因はそれだけでなく、日頃食べているご飯にも関係があるのではないかと自分は推測している。
数年前に体がすごく痩せていて、しょっちゅう病気で休んでいた女の子が日本に留学した。
しかし、日本のご飯が好きになり、日本で生活しているうちに、太ってたちまち元気になった例がある。
日本へ行く前は多分40キロもなかった体重が日本では50キロになった。
ただ脂肪がついて太ったのではなく、日本では過酷なアルバイトもしたり、長い距離を歩いているから筋肉もついてきて健康的な体になっているのだ。
血色もよくなり、まったく別人のように元気そうになった。
日本のご飯とミャンマーのご飯とではカロリーがかなり違うのではないか。
ミャンマーのご飯は食べても栄養やカロリーが少なくエネルギー量が足りないのではないかと思う。