今、ウォーキングコースの周辺は百花繚乱。
空き地、川沿い、各家庭の庭などすべてが花、花、花。
特にここ数日の間に桜も満開になって、まさに春爛漫という言葉がぴったりになっている。
毎年見慣れた春の花もたくさん咲いているが、あまりなじみのない、目立たない花もある。
その中の一つが「アオキ(青木)」。
「アオキ(青木)」のイメージを聞かれたら、「どこの庭でも日陰に植えられていることが多く、あまり目立たない樹木」と答える人が多いんじゃないかな。
アオキは日の当たらない庭でも大丈夫だし、手間もかからず1年中つややかな緑の葉を見ることができるから、とっても重宝する木だと思うけど・・・
でも、アオキにも花が咲くってことはあまり知られていないかも。
あまり目立たないので観賞用には向かないかもしれないけれど、今がちょうど盛りの時。
アオキは雌雄異株の木。
雄株には雄花、雌株には雌花が咲き、雌株には赤い実が生る。
最初に見つけたのが雄花で、葉っぱの間から花芽が立ち上がっていた。
この時に雌花の方はまだ花が咲く様子は全く見られなかった(雌花の方が咲くのが遅いらしい)。
そして何日かして、びっしりと付いた雄花が開花し始めた。
[雄花]
これは雄株で雄花が付いている。
雄花の特徴は4つの雄しべが目立っている。
雄花が目立つようになって数日後、雌株の花芽が立ち上がってきた。
そして開花。
[雌花]
花の色は雄花と同じ濃いえんじ色、中心に雌しべがあるだけで、雄しべはない。
雌株にたった一つ残されていた赤い実。
雄株と雌株の両方なければ結実しないので、実を見たければ2つを植えなくてはならない。
でも、雄株か雌株かを見分けるには花が付かないと難しいらしい。
学名:Aucuba japonica
英名:Japanese Aucuba
別名:アオキバ(青木葉)、ダルマ、オホキバ(おほき葉)
科名・属名:ミズキ科 アオキ属
原産地:日本
プラントハンターとアオキの話
プラントハンターとはプロの植物収集家のこと。
18世紀〜19世紀ごろ、ヨーロッパの王族や貴族たちは珍しい植物や果物を栽培するのがブームだったらしい。
その高貴な人たちから注文されて、珍しい植物を世界から探してくる人をプラントハンターと呼んでいた。
今でもその職業はあり、日本では「西畠 清順さん」が第一人者で、時々テレビなどにも出演されている。
話を戻すと、幕末にスコットランド人のプラントハンター、ロバート・フォーチュンが来日した。
彼は日本からいくつかの樹木(低木)、花などを採取していった。
その中には「斑入りのアオキの雄株」があった。
当時ヨーロッパにはアオキの雌株だけあったが、雄株がなかったため、結実させるためにどうしても雄株が欲しかったようだ。
その後、日本の斑入りアオキの雄株はヨーロッパに渡って、結実に成功し、現在のヨーロッパ庭園では大人気となっているらしい。
--- ロバート・フォーチュンの言葉(Wikipediaより)---
「日本人の国民性の著しい特色は、庶民でも生来の花好きであることだ。花を愛する国民性が、人間の文化的レベルの高さを証明する物であるとすれば、日本の庶民は我が国の庶民と比べると、ずっと勝っているとみえる」----著書『幕末日本探訪記―江戸と北京』より
[斑入りアオキの雄株]