和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

日米の硫黄島。そして中国の情報戦。

2006-08-24 | 硫黄島
8月15日の新聞全面広告が印象に残ります。
「クリント・イーストウッドが描く 日本とアメリカ双方から見た2つの『硫黄島』。」とあります。
そして真ん中にはイーストウッドの言葉「日本のみなさまへ」がありました。
御覧になりましたか?
「61年前、日米両軍は硫黄島で戦いました。・・・
この戦いに興味を抱いた私は、硫黄島の防衛の先頭に立った指揮官、
栗林忠道中将の存在を知りました。彼は想像力、独創性、そして機知に富んだ人物でした。私はまた、栗林中将が率いた若い兵士たち、そして、敵対するにもかかわらず両軍の若者たちに共通して見られた姿勢にもとても興味をもちました。そしてすぐに、これをふたつのプロジェクトにしなければと悟ったのです。私は現在、『硫黄島からの手紙』『父親たちの星条旗』という、硫黄島を描いた映画を2本、監督しています。・・・」

栗林忠道という方はどんな人なのか?
たとえば、昭和23年生れの留守晴夫氏は、今年の7月に出た本の中でこう書いております。
「私が栗林に関心をもつようになったのは、十数年前、アメリカのマサチューセッツ州の小さな大学町に、在外研究員として滞在していた頃の事・・ある日、行きつけの古書店の店頭に積み上げられた古書の山を眺めていたら、IWO JIMA と背表紙に記された一冊の書物が目にとまった。リチャード・ニューカムというジャーナリストが1965年に上梓した硫黄島戦の記録であった。出版されるやベストセラーになったそうだが、それを読むまで、私は・・・ニューカムがかなり詳しく紹介している栗林中将の為人(ひととなり)については全く無知であった。武人として卓越していただけでなく、父親として、夫として、そして何よりも一人の人間として、実に見事で魅力的な栗林忠道という日本人を知る事が出来たのは、私の場合、ニューカムというアメリカ人のお蔭であった。」(p18)
以上は留守晴夫著「常に諸子の先頭に在り 陸軍中将栗林忠道と硫黄島戦」(慧文社)のはじまりの方に書かれております。

これから映画を観てから、留守さんのように興味を持つ方が増えるかもしれませんね。

梯久美子著「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」(新潮社)は2005年に発売され、大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しておりました。
今年は留守氏の本と、それから
「栗林忠道 硫黄島からの手紙」と題して新潮社から8月に発売になっております。

それとは別ですが、
今年2006年4月15日産経新聞。古森義久氏の「緯度経度」が古い記事ですが印象深く思いおこされます。
それはちょうど、日本が国連安保理常任理事国入りを果たしたいと願っている時期に合わせて画策された問題でした。その時期が過ぎるまでの嘘を大げさに並べてみせる手段を示しておりました。
それは、どんな風にしておこなわれていたか?
「発端は読売新聞1月19日付朝刊に載った上海発の記事だった。上海紙の『文匯報』に出た南京事件ハリウッド映画製作の報道をそのまま転電していた。記事は『米国の有名な俳優兼監督のクリスト・イーストウッドが旧日本軍の南京での中国人虐殺を米国人宣教師の目を通じて描く【南京・クリスマス・1937】という映画・・・来年12月の南京事件70周年に合わせ、全世界で同時公開する』という要旨だった。」
そこで米国駐在記者である古森氏が取材すると
「本人には直接、話せなかったが、同氏の仕事を取り仕切るエージェントのレオナード・ハーシャン氏に電話で問い合わせることができた。
すると、なんのことはない。ハーシャン氏は『イーストウッド氏が南京事件映画にかかわるというような話はまったくのウソ』と答えた。しかもよく聞いてくれたという感じで、そんな『報道』がデタラメでることを日本や中国の人たちに幅広く伝えてほしいと、こちらに要望するのだった。」
そして、古森氏は「この種の日本についての国際情報は早めにチェックすることの不可欠」を自戒をこめて記したあとに
「マスコミを管理する中国発の・・『情報』の点検の重要性を痛感した」としております。
具体的には
「文匯報は中国共産党上海市委員会の監督下にあり、この規模の地方新聞にしては異様なほど海外支局の数が多いという」
さらに調べるとALPHAという常に日本を攻撃する一貫性から、はっきりと反日団体と呼べる在米中国系組織へと行き当たるのでした。
ここから丁寧に中国とその組織のつながりや、安保理常任理事国への反対の試みの画策を調べております。
そして最後に古森氏は、こう締めくくっておりました。

「『イーストウッド、ストリープ共演の南京虐殺ハリウッド映画』などという日本側を動揺させる虚報の背景を探っていくと、中国から米国へ、南京事件から国連常任理事国入り問題へ、政治意図に満ち満ちた黒い情報戦略を感じさせられた次第だった。日本側としても中長期の効果的かつ敏速な対応が不可欠なことを証する典型ケースだと思った。」

だいぶ余談になりました。
ALPHAは、これくらいにして、
せめて、栗林忠道中将についてぐらいは知っておいてもよいと愚考するのでした。

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