和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『 オリッサの寺院 』

2024-06-17 | 絵・言葉
静岡県天竜市の秋野不矩美術館へ行ったことがあります。
すっかり忘れてしまっていたのですが、おもいだすのに、
「藤森照信の特選美術館三昧」(TOTO出版・2004年)をひらく。

そこに秋野不矩美術館も出ておりました。
設計の段階でのやりとりが載っています。

「・・『裸で絵と向き合うような美術館にしたい』・・
 せめて裸足に。で、『展示室には靴を脱いで上る』と説明したら、
 委員の皆さんは困惑の表情を浮かべられた。・・・・・・・

 しばしの沈黙の後、私は言った。
『 日本画を土足で見るのはいかがなものか 』
 みなさん笑った。笑いはすべてを許す。
 で、世界初の裸足の美術館が実現したわけである。 」(p234)

「 素足にしたおかげで生まれた思わぬ良いことを
  もうひとつあげておこう。これはオープンしてから
  明らかになったことだが、メンテナンスが楽なのだ。

  靴と一緒に入る土ボコリがないから、
  絵の表面に土ボコリが付着しない。
  日本画は岩絵の具を使い、
  かつ油絵のように洗い直しができないから、
  絵の具の間の微細なツブツブの間に
  土ボコリが入ると除去することができない。

  土ボコリや靴の汚れがないから、
  掃除の回数がいちじるしく減る。
  管理する側にとって掃除の回数が減るのは助かるらしい。 」(~p240)

秋野不矩美術館で一番大きな展示室に
『オリッサの寺院』が展示されていて、
『オリッサの寺院』が印象的なように、
秋野不矩美術館自体もけっして負けておりませんでした。


コメント (2)
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