和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

文春・夢の図書館。

2006-12-08 | 硫黄島
出たばかりの文藝春秋2007年1月号に、「文春・夢の図書館 読書の達人が選ぶ337冊」という特集。
各リストでは、半藤一利「昭和史入門の10冊」というのから、はじまっておりました。
そういえば、半藤一利と表紙に名前があるPHP文庫「完本・列伝太平洋戦争」(2000年)の目次をめくっていたら、栗林忠道の名前が見あたりません。その名前も忘れられていた人が、この文藝春秋1月号では「イーストウッドが惚れた名将の真実 硫黄島 栗林忠道の士魂」と題して俳優の渡辺謙・作家の梯久美子お二人の対談を掲載。雑誌の表紙グラビア日本の顔でも渡辺謙がとりあげられて、イーストウッド監督の映画「硫黄島からの手紙」日本プレミアでの写真が載っておりました。半藤さんの「完本・列伝太平洋戦争」は太平洋という名で、どうやら海軍の列伝を意味しているようです。そういえば栗林忠道は陸軍でした。対象外だったのですね。
そんなふうにして、一般の戦後生まれには、その名さえ聞いたことのない栗林忠道を、鮮やかに浮かび上がらせたのはクリンスト・イーストウッドの功績として長く賞賛されてよいでしょう。
雑誌の特集にもどりますが、その特集の終わりに日垣隆さんが「14歳からの【人生の教科書】100冊」という11ページのリストと文がありました。思い浮かぶのは今年発売された谷沢永一著「いつ、何を読むか」(新書・KKロングセラーズ)です。そこでは15歳から読む本が並びます。ちなみに谷沢さんが15歳でまずお薦めの柳田国男著「木綿以前の事」(岩波文庫)は、「14歳からの・・」の日垣さんのリスト100冊では柳田国男の名前も登場しておりませんでした。ということで、今回の特集に柳田国男を選んでいる方がいるかとパラパラとめくると、
まずは最初に浅田次郎さんの「すべては一冊の本から始まった」という文に、
「・・物語の魅力を最初に教えてくれたのは童話です。・・グリム童話には人間臭さがある。そんなところが気に入ったのでしょう。童話の次は民話と伝説。小学三年生の頃、学校の図書室で『日本の民話と伝説のシリーズ本を見つけたのがきっかけです。・・その影響で、後に柳田国男さんや折口信夫さんなど民俗学者の作品を愛読するようになります。勿論、全集をすべて読んだのはこれが最初です。・・・」
ほかにはと、各リストを見ると山折哲雄「日本人のルーツを考える10冊」が古典を踏まえており、④に柳田国男の「先祖の話」をとりあげておりました。ちょいとどういう経緯かを引用しておきます。
まず万葉集・源氏物語・平家物語をあげて
「戦後日本の教育は、右の三古典をいまのべた観点から読むことを怠ってきたために、日本人とはそもそも何かという課題をつきつめて考える上では大失敗を演じてきた。そしてこのことの意味をよく知っていたのが柳田国男と折口信夫であった。・・日本の戦後教育はここでも、その歴史教育、文学教育においてこの二人の仕事をまったく無視してきたのである。・・・」
この山折さんの短文はステキなのでなのでまた読み返してみよっと。

それからマンネリと言われようと、忘れてならないのは夏目漱石ですね。
どなたか取り上げておられるかなあ。
ありました。池内恵「歴史と文明をひもとく10冊」の10番目に「漱石人生論集」(講談社文芸文庫)が載っておりました。
ちなみに、日垣さんの100冊リストにも、浅田次郎さんの文にも漱石は登場しません。


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