和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

小説音痴。

2008-01-13 | Weblog
自分は小説が読めないのでした。
ということで、それに賛成してくれるご意見が読めると嬉しくなります。小説を読まなくとも、それなりに存在理由があるのだと、励ましをもらった気分になれる(笑)。
さて、谷沢永一著「生き方通」(PHP研究所)という新刊が出ているというので、検索してみたら、なあんだ、以前出た「一生のうちにすべきこと、しなくていいこと」(PHP研究所・新書サイズ)の改題改訂とあります。う~ん。確かそれなら買ってあって、読まずにホコリをかぶっているはずだというので、ちょいと見渡すと本棚にありました。それで、あらためて改題してでも出るような本なら、ひとつ読んでみようと思ったわけです。どうも一月そうそうのものぐさで恐縮です。けれども、読んでみると2ページ完結の箇条書きスタイルが連なった一冊です。一月に人生の先達の有意義なご意見を拝聴したという味わいをもちました。そう。気軽にスラスラと読めちゃうのがなによりのよさ。

ということで、ここに、すこしその楽しさをお裾分けしようと思うのでした。
そのまえに、そうでした。小説を読まなくてもいいよ、という箇所を引用しておきます。

「『近代人が喜びとしている快楽のうちで、ギリシャ人が知らない快楽はふたつしかない。すなわちタバコと小説を読むことである』とピエール・ルイスがわれわれをからかうようにしていった。・・・18世紀に近代小説が生まれ、19世紀に至っては小説の全盛時代となった。それからというもの、洋の東西を問わず、小説が読書の牽引力として働いたのであった。しかし現代はもはや小説が読書の主流ではなくなった。歴史および社会思想の分野で表現力が発達し、従来の堅苦しい裃(かみしも)がとれて、読ませる叙述が一般化した。哲学も我が国では新しく明晰な翻訳が出はじめている。小説のお株を奪うように、ノンフィクションが範囲を広げつつある。図書館や書店が分類に苦しむほど、ジャンルが多様化して興味を惹くようになった。現代は書物のバラエティーが頂点に達している。こういう時代に何を読むべきかを選びだすのはむつかしい。昔は権威あるシリーズものに頼ればよかったが、今はすべて自分の判断に従うしかない。以前は荘重な本を読むだけでも教養があったが、当今は何が現代にむいているかを個々に見分けなければならぬ。つまらぬ本にひっかかったらお金と時間の無駄である。・・・」(すべきこと「本を読む」p22)

この本には「人間通の幸福論」とも小さく題名の脇に書かれております。
それでもって、「まえがき」は「幸福な人生をおくりたい。」とズバリはじまっております。そして「幸福になるためには人とつきあうことが楽しいという心境にならなくてはならない。それは意欲をふるいおこす元気によって可能である。引っこみ思案をやめて、一歩二歩踏みだす気持ちで交際を求めてゆく。そのうち次第に慣れてくるし、コツがわかってくるであろう。人生の幸福は人間関係に熟するか否かにかかっている。それは汗水たらさねばならぬほどの難業ではない。要は微妙なコツである。・・・」

この微妙なコツを、一話が見開き2ページで、なんともスラスラと書き記しておりまして、お正月の気分がぬけない私にとって、今頃読むのに何ともうってつけなスラスラ本なのでした。

では、お正月の気分にふさわしいとしたら、こんな箇所はどうでしょう。

「一般になんらかの感動が湧きあがるのは、こちらのほうに悩みや疑いや迷いがあって、それを解決できない状態にある場合が多いのではなかろうか。そこへきっぱりとした何物かが示されたとき、その感動はとくに大きいと思われる。感動にはそれを可能にする条件が準備されているのではなかろうか。・・・・自分が大切な話題をもちかけているときに、相手がほとんど反応を示さない場合の当惑は処理しがたい。感動は相手に対する畏敬の念から生まれる。感動しない人は周囲の人から敬遠されるであろう。相手に対する理解の確かさから感動が生まれる。」(すべきこと「感動」p27)

どうでしょう。新年にふさわしい言葉じゃないですか。
せっかくですから、もう一箇所引用。

「人間がいちばん興味をもつのは人間である。・・・・『人間に興味をもつ』とは、その人の長所を見出して評価する眼力を意味する。そのためには人を尊敬する姿勢を身につけなければならない。人を見る目がない人は、必ずまわりの人を軽蔑している。いったん人を見下したら、その人の美点は目に入らないのである。人間には、『やる気』というものがある。書類のどこにも書いてないが、確かにある。人間を評価するには、その『やる気』があるかどうかを見抜けばよいのである。」(p83)


人を見抜くよりも、まずは自分の『やる気』なのですが、
今年はなんとしても頑張ってこのブログを続けるぞ。
ということで、本年もよろしくお願いします
(まあ、なんともおそい新年の挨拶になりました)。



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