和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

第五回文の甲子園。

2019-02-12 | 本棚並べ
雑誌に載った2ページほどの文を、
読みたくなり、本棚に探すけどない(笑)。

しかたない。
段ボール箱に入れ込んだのだろうと、思う。
思うけれども、ないかもしれない。
まあ、それほどの量の段ボールでもなし、
昨日思い立って、今日さがしていると
出て来る。ありがたい。


1996年「文藝春秋」4月号。
表紙には題字の下に赤い字で
「さようなら司馬遼太郎さん」とある。
背に「追悼司馬遼太郎の世界」とある。

今回私が読みたかったのは、
その同じ4月号に掲載されている
「第五回『文の甲子園』決定発表」でした。
そのはじまりに掲載されている作品。

沖縄県立首里高等学校二年 〇〇幸(みゆき)さんの
「忘れられないご馳走」。

最優秀作品賞でした。雑誌2ページの文です。


うん。もう誰も読めないかもしれないので、
ここに、内容を紹介してもいいでしょうね。


父親が、小ヤギを安く買って来る。
家は農家で、農繁期の忙しさに、
主人公の娘さんが子ヤギの世話をすることに。

娘さんは子ヤギに名前をつけて
朝晩世話をすることになる。

そして、12月29日。娘さんが寝ていると、
夜中に、ヤギはあっさり殺されてしまう。

娘さんは、それから二日間。
部屋にこもり何も食べない。

そこへ、ずっと養豚をしてきた
叔父が、訪ねて来る。

さて、最後の箇所を引用しておきます。

「『済んだことで意地をはるな。
体壊したら大変だろう。皆心配してるぞ』

私もいいかげん疲れていたのだろう。
渡されたヤギ汁を、勧められるままに一口飲んで、
また泣いた。おいしかったのだ。
叔父が涙と鼻水を流しながら汁を飲む私を見て、

『お前今まで何も考えないで生き物を食べてたのか?』
と言った。

『だってずっと売っているのを食べていたのに。
ジョセフィーヌは自分で飼ってるヤギだったのに』

『食べるってのは結局こういうことよ』

私の感情は納得しなかったが、
ずっと養豚をしてきた叔父の言葉には、
妙に説得力があった。
私はヤギ汁を全部平らげた。

・・・・・」


うん。探して読めてよかった。

実は、歩いて十分ほどの近くの家の方が、
絵本を自費出版なさいました。

おじいさんと孫の娘さんの話で、
ツバメの巣が、カラスやヘビに襲われて
何回も、子ツバメが孵らないということを
テーマにした絵本のストーリー。


連想から古雑誌を引っぱり出して、
この文を再読したというわけです。
 
ちなみに、この「文の甲子園」の第一回の
選考委員に司馬遼太郎の名前がありました。
大会は、2003年くらいまで続いたようです。





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