和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

最近養老孟司。

2008-01-14 | Weblog
毎日新聞2008年1月6日の「今週の本棚」で、養老孟司さんの書評が読めました。中村哲著「医者、用水路を拓く」(石風社)について書いております。
まずは、その最初と最後を引用してみましょう。
「著者はもともと医師である。二度ほど、お目にかかったことがある。特別な人とは思えない。いわゆる偉丈夫ではない。最初にお会いしたとき、なぜアフガニスタンに行ったのか、教えてくれた。モンシロチョウの起源が、あのあたりにあると考えたという。その問題を探りたかった。自然が好きな人なのである。そのまま、診療所を開く破目になってしまった。・・・」
「同時に思う。やろうと思えば、ここまでできる。なぜ自分はやらないのか。やっぱり死ぬまで、自分のできることを、もっとやらねばなるまい。この本は人をそう鼓舞する。若い人に読んでもらいたい。いや、できるだけ大勢の人に読んで欲しい。切にそう思う。」

というわけで、若くはないのですが、書評のメッセージのままに、さっそく本を注文してみました。まだ本はとどきませんが、それについての話をしたくなりました。

月刊雑誌「Voice」2007年12月号には、養老孟司さんの連載「解剖学者の眼」が最終回でした。題して「議論している場合か」。その最後はこう終っております。

「大切なのは教育で、教育は議論ではない。子供と付き合うこと自体である。食糧難を心配するなら、過疎地に住み、自分で畑を維持すればいい。資源が心配なら、間伐をし、木を植えることである。やることはいくらでもある。言葉で議論している場合か。・・」

これでちょいと、養老さんの対談を読みたくなり古本で「ニッポンを解剖する」(講談社)を買いました。ここには中村哲さんとの対談も載っているというのです。

それで、対談を開くと最初がリービ英雄さんでした。
まずそれに興味をもちました。
すこし引用。

【養老】万葉集を翻訳されて、何年くらいになるんですか?
【リービ】・・2004年に、こういうちょっと変わった本(「英語でよむ万葉集」岩波新書)を出したんですけど、非常に初歩的な、批評自然のレベルでいわれたのが、『これを読んで、初めて「万葉集」がわかった』ということです。喜ばしいと同時に、世界的に見て、少し奇妙な現象かなと思いました。
【養老】それが日本ですね。日本の特徴の一つは、自分たちのことについて客観性が乏しいことですから。でも、こういう本が出版されるようになったということは、時代が追いついてきたのかもしれませんね。


まあ、こんな風にはじまっておりました。
そういえば、とどんどんと脱線してゆきますが、戦前はどうだったかの好例がありました。「諸君!」2008年2月号に昭和13年の東京帝大学生調査というのが載っておりました(p137)。そのリスト「古典の愛読」の最初が万葉集(417)で、つづいて論語(135)ファウスト(123)新約聖書(115)源氏物語(100)古事記(78)徒然草(55)。ちなみに括弧内の数字は人数。
古典の愛読では、万葉集が2位を三倍も人数で差をつけておりました。私に思い浮かぶのは司馬遼太郎氏の「学生時代の私の読書」という文でした。その最後にこういう箇所があったのです。
「あとは、軍服の生活でしたから、ただ軍服時代二年間のあいだに、岩波文庫の『万葉集』をくりかえし読みました。『いわばしる たるみのうへの さわらびの もえいづるはるに なりにけるかも』この原初のあかるさをうたいあげたみごとなリズムは、死に直面したその時期に、心をつねに拭きとる役目をしてくれました。」

「諸君!」の「古典の愛読」のそばには「崇拝人物」というリストもありまして。
興味深いので、これも引用してみましょう。
西郷隆盛(262)吉田松陰(109)ゲーテ(99)乃木希典(88)楠正成(71)野口英世(59)寺田寅彦(51)ヒツトラー(47)パスツール(39)ベートーベン(37)。

いつの時代にも、ベストテンにはヒットラーみたいなのが紛れ込むのでしょうなあ。
などと思いながら引用してみました。

え~となんでしたっけ。そうだ養老さん。
養老孟司著「ぼちぼち結論」(中公新書)の最後の題は、「結論は一つ」というのでした。こちらの新書は中央公論に連載していた最後の分を入れてあるということです(まだ、私はちゃんと読んでいないのでした)。つまり2001年から7年にわたった連載で、中公新書の「まともな人」「こまった人」につづく三冊目の連載最終の分なのだそうです。
まったく、ちっとも読んでいないのに、こうして書いてしまうのでした。
今年もこんな感じで書き込みをしてゆくのだろうなあ。
ということです。ご勘弁ください。



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